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2015年2月5日木曜日

ボリウッド映画 『ミルカ』(インド、2013年)を見てきた-独立後のインド現代史を体現する実在のトップアスリートを主人公にした喜怒哀楽てんこ盛りの感動大作


映画 『ミルカ』(2013年、インド)をTOHOシネマズ日比谷で見てきた(2015年2月4日)。この映画にはほんとうに感動した。余計なコメントなど必要ないくらいの感動大作だ。

英国の植民地だったインドでは、クリケットやポロという球技がスポーツの中心というイメージがある。だが、400メートル走という個人競技で、メルボルン(1956年)とローマ(1960年)の二度のオリンピッックにも出場したトップアスリートがいたことは、この映画の存在を知るまでまったく知らなかった。

原題は Bhaag Milkha Bhaag(=『走れミルカ、走れ!』)。153分のヒンディー語映画。映画大国インドの、いわゆるボリウッド映画である。


主人公は、国民的スポーツヒーローであったミルカ・シン(1935年生まれ)実人生の実話をもとにした映画である。ミルカは、獅子(=ライオン)を意味するシン(Singh)という名字でわかるようにシク教徒シク教は、インド世界の二大宗教であるヒンドゥー教とイスラームを平和的に融合させようとして成立した宗教である。言い換えれば、インドの二大宗教の架け橋的存在でもある。

シク教徒の男性は、長髪を丸髷に結うことが宗教上の義務となっている。正装する際にはターバンを巻く。ミルカはスタート前に、手を合わせて神に祈り、シク教の創始者のグル・ナーナクに祈りを捧げる。「走る聖者」とか、飛ぶような走りを形容して「空飛ぶシク教徒」(The Flying Sikh)とよばれていたのだそうだ。

(インド版ポスター)

シク教徒のコミュニティに生まれて幸せな少年時代を送っていたミルカは、大英帝国からのインド独立で人生が暗転する。それは1947年、ミルカ12歳のときであった。

独立じたいはインド人の悲願であったのだが、残念なことにヒンドゥー教徒が主体のインドと、イスラーム教徒が主体のパキスタンという形での「分離独立」となってしまう。ヒンドゥー教徒のガンディーがヒンドゥー至上主義者に暗殺されただけでなく、ミルカもその一人であったシク教徒のコミュニティにも悲劇がもたらされたのであった。

なぜなら、シク教徒の多いパンジャーブ地方は、インドとパキスタンの国境地帯にあり、現在のパキスタンにあったミルカの一族は立ち退きを拒否して戦うことを選択したために皆殺しにされ、生き残ったミルカとその姉は難民となってインド側に命からがら逃れることになったのである。自分の目の前で家族が惨殺されるという残酷な体験がトラウマとなり、ときにフラッシュバック現象となってミルカの人生を苦しめつづけることになる。

(シク教徒の多いパンジャーブ地方 『シーク教の世界』(帝国書院、1988)より)

難民となった少年ミルカは、敗戦後の日本国民がそうであったように、生きのびるために盗みやかっぱらいなどで手腕を発揮する。一言でいってしまえばゴロツキである。「兄貴」としての存在感をもっていたが、ひと目惚れした美少女のために真人間になることを誓って足を洗い、最終的には19歳で新制インド陸軍に入隊することになる。

そこで出会ったのが陸上競技であり、厳しくて愛情あふれる同じシク教徒のコーチでもあった。まさにその出会いから人生が変わっていったのである。ミルカのつぎの世代になる日本人マラソンランナー円谷幸吉(つぶらや・こうきち)もまた自衛隊員であったことを想起する。選手として選出されれば軍務から解放されるのだ。

ミルカはランナーとしてインド代表になる夢をイメージとして心に焼き付け、世界最高記録を出すために、あらたなコーチのもとで過酷なトレーニングに耐え抜く。そしてインド陸上競技会のトップに躍り出ることになる・・・。

(原作のミルカの自叙伝はインドのベストセラー)

という内容であれば、過酷な前半生をもったトップアスリートのサクセスストーリーを描いたヒューマンドラマということになるのだが、そこはなんといてもボリウッド映画!

シリアスなヒューマンドラマ一本槍の映画と思いきや、映画がはじまってからしばらくたって始まったのは歌ありダンスありのシーン。歌とダンスのないボリウッド映画など存在しないのである。その後は、全編にわたって歌とダンスのシーンが挿入され、喜怒哀楽は役者の演技だけでなく、パンジャーブ地方のバングラ・ビートをつうじて全身で表現されるのだ。

感動で涙した瞬間、つぎの瞬間にくるのは笑い。トップアスリートの栄光と挫折に、いったいなんど涙がこみ上げてきたことか。ほんと喜怒哀楽てんこ盛りの映画である。まさに映画大国インドのボリウッド映画人間くさい等身大の主人公がまた、映画を見る者を共感で捉えて離さない。

こういった感想をコトバだけで表現するのは絶対に不可能だ。ぜひ映画館に足を運んで、この生きたインド現代史そのものである主人公の実人生をもとにした感動大作を体験してほしい。そして思いっきり涙してほしい。間違いなく泣ける名作だから。








<関連サイト>

『ミルカ』日本版公式サイト

Bhaag Milkha Bhaag official trailer (公式トレーラー 英語字幕つき)






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