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2013年7月26日金曜日

書評 『アップル帝国の正体』(五島直義・森川潤、文藝春秋社、2013)-アップルがつくりあげた最強のビジネスモデルの光と影を「末端」である日本から解明



スマートフォンという概念をつくりだした iPhone の売り上げが鈍ってきているようだ。サムスンなどとの競合も厳しくなってきており、アップルの業績が2四半期連続で悪化していることが昨日(2013年7月25日)ニュースで報道されていた。

ジョブズが死んですでに2年近くたち、アップルの神通力にも陰りが見えてきたのかもしれない。いやスマホというガジェットが普及した結果、市場はすでに飽和状態にあるというのが正確かもしれない。

アップルの業績が上がろうが下がろうが関係ない、ということはないのである。それはアップル製品の熱狂的なファンにとってだけでなく、日本の製造メーカーの多くにとってもそうなのだ。とくに部品製造にかかわる日本の製造業にとってはきわめて大きな問題である。

アップルの各種製品の生産量が減少すると、それはもろに日本のメーカーにはダイレクトにはねかえってくる。アップル製品に日本の部品がじつに多く使用されているだけでなく、生殺与奪まで握られているケースが多いからだ。つまり日本企業はアップルの下請けになっているのが実態なのだ。

いまや時価総額で50兆円を超える巨大メーカーに成長したアップルは、自社だけが高い利益率を確保することができるよう設計された、自社を頂点とする生態学(エコ・システム)を形成してきた

その生態系のなかには日本企業、台湾企業、中国企業などがガッチリと組みこまれており、徹底した在庫管理と販売計画、生産計画の24時間リアルタイム化によってアップルは組立メーカーと部品メーカーを管理している。ジョブズがモデルとしてきたソニーですら、現在のアップルにとってはカメラ用の半導体というキーデバイスの調達先にしか過ぎないのである。

アップルは製造機能をもたないファブレスメーカーであり、受託製造に特化した台湾のフォックスコンなどEMSに大きく依存している。しかも、iPhone や iPad といった少数の品目に絞りこみ、その単品ごとの販売量と生産量がきわめて巨大な「少品種大量生産」モデルとなっている。現在ものづくりの世界では標準となっている「多品種少量生産」モデルの真逆である。

2008年時点ですでに iPhone の累計販売数は1,000万台を突破しており、部品メーカーからみれば膨大な量が販売できるので魅力的だが、一方ではアップルとの「独占供給契約」にしばられて、生産量を自社でコントロールできないというデメリットがある。

まさにアップルという「毒リンゴ」を食べてしまった日本企業の苦悩は深い。それは製造メーカーだけではなく、販売会社や通信会社にとっても同様だ。美しいバラだけでなく、うまそうなリンゴには毒があったわけだ。

本書は、アップル社がつくりあげた最強のビジネスモデルの光と影を日本からみたレポートである。徹底した秘密主義のベールに隠されているアップルの生態系(エコ・システム)を末端からみた内容だといっていい。そう、日本企業はアップルにとっては「末端」なのである。

とくに第1章と第2章をよめば、アップルをアップル帝国たらしめているのはスティーブ・ジョブズという天才肌のビジョナリー経営者がつくりだした神話だけではなく、完璧主義であったジョブズが指示してつくりあげた盤石のビジネスモデルにあることがわかるのである。

アップルの完璧主義は、よくいえばあたかもかつての高度成長期の日本企業のようでもある。完璧や徹底といった基本姿勢は、文字どおりアップルで働く人間にとってはそこで生き抜くためには不可欠のマインドセットとなっているのである。

しかし一方では、悪くいえばアップルは、なんだかいま日本で問題になっている「ブラック企業」そのものようだきわめて過酷な労働環境といっていいだろう。しかも、そのなかで働いている人にとってだけでなく、その生態系(=エコ・システム)にかかわっているすべての人にとってもまたブラックな存在となっているのではないかという気もする。

だが、冒頭に書いたように「アップル帝国」もゆらぎが生じ始めている。「死せるジョブズ」の神通力にも影が見え始めている

普通の会社になりつつあるアップルが今後いかなる状態になっていくか、それはアップルにとってだけではなく、日本企業にとっても関係のない話ではないのである。

ビジンスパーソン以外にもぜひ一読をすすめたいビジネス・ノンフィクションである。





目 次

プロローグ アップル帝国と日本の交叉点
第1章 アップルの「ものづくり」支配
第2章 家電量販店がひざまずくアップル
第3章 iPodは日本の音楽を殺したのか?
第4章 iPhone「依存症」携帯キャリアの桎梏(しっこく)
第5章 アップルが生んだ家電の共食い
第6章 アップル神話は永遠なのか
エピローグ アップルは日本を映し出す鏡


著者プロフィール

後藤直義(ごとう・なおよし)
週刊ダイヤモンド記者。1981年、東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業後、毎日新聞社入社。2010年より週刊ダイヤモンド編集部に。家電メーカーなど電機業界を担当。

森川 潤(もりかわ・じゅん)
週刊ダイヤモンド記者。1981年、米ニューヨーク州生まれ。京都大学文学部卒業後、産経新聞社入社。横浜総局、京都総局を経て、2009年より東京本社経済本部。2011年より週刊ダイヤモンド編集部に。エネルギー業界を担当し、東電問題や、シェールガスなどの記事を執筆する
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。





著者の元アップル社員の松井氏がいう「私設帝国」ともいうべき超巨大グローバル企業企業が、ビジネスだけでなく、消費のあり方や労働のあり方を根底から変えていく様子がアップル社での体験を踏まえてよく描かれている(2014年6月20日 記す)。


<関連サイト>

アップルのニッポン植民地経営の深層(1) “リンゴ色”に染まる巨大工場の苦悩(ダイヤモンドオンライン 2013年7月18日)
アップルのニッポン植民地経営の深層(2)キャリアを悩ます“iPhoneブルー”アップル・通信会社支配の裏側(ダイヤモンドオンライン 2013年7月25日)
アップルのニッポン植民地経営の深層(3) クックCEOが抱える時限爆弾 アップルのテレビ開発の深層 


製造を外注しても技術力を失わないアップルの凄み -  欧米モデルを誤解し安易に模倣する日本企業のリスク (ダイヤモンドオンライン 2014年5月7日)


拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』、iBookstore から「電子書籍化」されました!(2013年10月23日)


<ブログ内関連記事>

書評 『日本式モノづくりの敗戦-なぜ米中企業に勝てなくなったのか-』(野口悠紀雄、東洋経済新報社、2012)-産業転換期の日本が今後どう生きていくべきかについて考えるために

書評 『ものつくり敗戦-「匠の呪縛」が日本を衰退させる-』(木村英紀、日経プレミアシリーズ、2009)-日本の未来を真剣に考えているすべての人に一読をすすめたい「冷静な診断書」。問題は製造業だけではない!

書評 『中古家電からニッポンが見える Vietnam…China…Afganistan…Nigeria…Bolivia…』(小林 茂、亜紀書房、2010)
   
書評 『グローバル製造業の未来-ビジネスの未来②-』(カジ・グリジニック/コンラッド・ウィンクラー/ジェフリー・ロスフェダー、ブーズ・アンド・カンパニー訳、日本経済新聞出版社、2009)-欧米の製造業は製造機能を新興国の製造業に依託して協調する方向へ

書評 『現代中国の産業-勃興する中国企業の強さと脆さ-』(丸山知雄、中公新書、2008)-「オープン・アーキテクチャー」時代に生き残るためには
・・「垂直分裂」というコトバが定着したものかどかはわからないが、きわめて重要な概念である。この考え方が成り立つには、「ものつくり」において、設計上の「オープン・アーキテクチャー」という考え方が前提となる。 「オープン・アーキテクチャー」(Open Architecture)とは、「クローズドな製品アーキテクチャー」の反対概念で、外部に開かれた設計構造のことであり、代表的な例が PC である。(自動車は垂直統合型ゆえクローズドになりやすいが電気自動車はモジュール型)

書評 『中国貧困絶望工場-「世界の工場」のカラクリ-』(アレクサンドラ・ハーニー、漆嶋 稔訳、日経BP社、2008)-中国がなぜ「世界の工場」となったか、そして今後どうなっていくかのヒントを得ることができる本

スティーブ・ジョブズの「読書リスト」-ジョブズの「引き出し」の中身をのぞいてみよう!
グラフィック・ノベル 『スティーブ・ジョブズの座禅』 (The Zen of Steve Jobs) が電子書籍として発売予定

三宅一生に特注したスティーブ・ジョブズのタートルネックはイタリアでは 「甘い生活」(dolce vita)?!

An apple a day keeps the doctor away. (リンゴ一個で医者いらず)

(2014年8月18日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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