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2013年7月28日日曜日

映画 『最後のマイ・ウェイ』(2011年、フランス)をみてきた-いまここによみがえるフランスの国民歌手クロード・フランソワ


映画 『最後のマイ・ウェイ』(2011年 フランス)をみてきた。オリジナルのタイトルは Cloclo: la fabuleuse histoire de Claude François(クロクロ-クロード・フランソワの驚くべき物語)。

フランク・シナトラが英語で歌い世界的に爆発的ヒットとなった『マイ・ウェイ』は、じつはフランス語のポップスがオリジナルであった。その曲をつくり歌ってフランスでヒットさせたクロクロことクロード・フランソワ(1939~1978)のヒューマン・ドラマを描いた伝記的映画がこの作品である。

"The Voice" といわれていた美声の米国人エンターテイナーであったシナトラにあこがれていたフランスの歌手クロード・フランソワ。その彼がみずからつくりフランスでヒットさせた曲をシナトラがとりあげ、英語の『マイ・ウェイ』として歌い世界的なヒット曲となる。

フランス語のオリジナルは、『コム・ダビチュード』(Comme d'habitude)(1967年)という曲だ。日本語だと「いつものように」。男女のすれ違いの恋愛を描いたものだ。

この曲にポール・アンカがシナトラのために英語の歌詞を書いた「マイ・ウェイ」は、「わが人生に悔いなし」というテーマになっている。フランス語のサビである comme d'habitude (いつものように)は、英語歌詞では  And did it my way (オレはオレ流で生きた)となる。

フレンチポップスといえばシルヴィー・ヴァルタン、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンなどが思い浮かぶ。シャンソンがいまでもインテリ好みのものだとすれば、フレンチポップスは戦後アメリカのジャズやポップスの影響を受けたエンターテインメント性のつよいフランスの大衆音楽である。

日本でもそのむかし奇抜なファッションで有名であったミシェル・ポルナレフが人気があった。『シェリーに口づけ』の歌手かと思い出す人も少なくないだろう。だが愛称クロクロことクロード・フランソワは日本ではそれほど有名ではなかったのではないかと思う。すくなくとも大衆レベルでの知名度は日本ではなかったと思う。

「マイ・ウェイ」(1969年)のオリジナルが、フレンチ・ポップスで歌手がクロード・フランソワによるものだとわたしが知ったのは、いまから20年くらい前のことだ。

Un homme et la femme: Les plus grandes chansons d'amour (男と女-よりすぎりのフランス語の愛の歌) というフランスから輸入されたCDに収録されていてのを聴いてはじめて知ったのであった。このCDはたしかいまは亡き新宿のヴァージン・メガストアで購入したのだと記憶している。

だからこそ、クロード・フランソワの人生が映画化されて日本で公開されることを知って、上映が待ち遠しい思いであった。




クロード・フランソワの人生

1960年代から1970年代にかけて、浮き沈みの激しい芸能界で18年のキャリアを、つねに全力疾走によって走り抜けたスーパースター

自分が歌いたい曲だけでなく、マーケティングの観点からその時代のアメリカの最先端の流行、たとえばブラックミュージックやディスコなどを果敢に取り入れ、歌手以外にもさまざまな関連ビジネスに手を出し、作詞、作曲、音楽プロデューサー、出版などつごからつぎへと事業を拡大していく。

1939年生まれで裕福な生活を送っていたエジプト時代への郷愁、1956年のスエズ運河国有化によってエジプトから脱出した一家は困窮した生活に、人生を変えるため音楽の道に賭けるも最初の曲は鳴かず飛ばず、しかしあきらめずに努力しついにスターダムへ、そして父親との葛藤と死後の和解。

エジプトというフランスにとっては植民地ではない海外で生まれ育ったこともあり、余計にフランス人意識がつよいのだろう。ジョニーなどといったアメリカ風の芸名にすることは断固拒否している。いかにもフランス的なクロードという名前で押し通したからこそ、フランスの国民歌手としてフランス人に受け入れられのだろう。

しかし、これからフランス語圏というローカルマーケットから、音楽の分野では英語圏が支配している世界マーケットへむけて飛翔しようとしたまさにその矢先、1978年に不慮の事故で39歳で急死する波乱万丈で悲劇的な人生。

フランス映画の黄金時代はすでに過ぎ去った過去のことだが、この2011年制作の映画はパワフルでエモーショナルなヒューマン・ドラマである。フランス映画の再生も始まったといっていいのだろうか。

大きすぎる野心とエゴイズム、その裏腹につきまとう不安と孤独、ときに襲ってくる自信喪失、トラブルつづきの私生活とつかの間の安息。アイドル歌手フランス・ギャルとの恋愛。まさにドラマのてんこ盛りのような人生である。その伝記映画が面白くないわけがないのだ。

だから日本公開タイトルに「マイ・ウェイ」の文字が入るのはまことにもって適切だ。クロード・フランソワの人生は「マイ・ウェイ」の英語歌詞そのものだといっても言い過ぎではないからだ。

この映画は、なによりもエンターテインメント作品としてこの波乱万丈のヒューマン・ドラマを楽しむことができるし、クロード・フランソワというフランスの国民歌手とフランスのサブカルチャー、そしてかれが活躍した1960年代から1970年代のフランス社会を知ることもできる作品になっている。




クロード・フランソワとエルヴィス・プレスリー

たしかにそれほどハンサムというわけでもないし、背も高くないのだが、独特のオーラがあったことは、上記のビデオを見ていただければ理解していただけると思う。

この映画で主人公を演じたジェレミー・レニエがクロード・フランソワに瓜二つなのはほんとうに驚きだ。

映画のラストに近い場面に、オペラ劇場であるロンドンのアルバートホールで「マイウェイ」を英語で熱唱するシーンがある。英語の「マイ・ウェイ」の歌詞の内容がクロード・フランソワの人生とシンクロすることを感じながら聴いていると、見ているわたしも胸にじーんとくるものがきた。

映画の場面ではなく、クロード・フランソワが英語で歌う「マイ・ウェイ」の映像を紹介しておこう。 Claude François - My way (En anglais) + Paroles それほどうまい英語ではないが、味のある歌いぶりである。

「マイ・ウェイ」は大御所フランク・シナトラが歌って世界的なヒットになったが、わたしはエルヴィス・プレスリーによるカバーが大好きだ。エルヴィス自身も自分が大好きな歌の一つだといっているのが「マイ・ウェイ」だ。

人生を演劇にたとえた英語の歌詞は大御所フランク・シナトラのためにポール・アンカが書いたもだが、人生の終わりに近い時期に自分の人生を振り返って感慨にふける内容の英語歌詞は、まだ40歳前後であったクロード・フランソワやエルヴィスが歌うと、また異なる感慨を聴いていて抱くのである。

調べてみてわかったが、1977年にエルヴィスが42歳の若さで去ったあとを追うかのように、1978年にクロード・フランソワも39歳で去っている。クロード・フランソワ(1939~1978)と同様、エルヴィス(1935~1977)もまた、短い人生を全力疾走で駆け抜け、若くして世を去ったのである。

映画ではエルヴィスについてはいっさい言及されないが、同時代のこの二人のスーパースターの人生を重ね合わせてみるのは決して間違いではないと思うのだ。ブラック・ミュージックの大きな影響を受けていた点も二人に共通することである。

「神々に愛されし者は短命に終わる」という格言が西欧にある。現代の神々は一般大衆というファンであるとすれば、そのとおりなのかもしれない。








<関連サイト>

『最後のマイウェイ』 公式サイト
・・日本語版ネレーションの海老蔵は声はいのだが、やや耳に付くことも否定できない

Cloclo: la fabuleuse histoire de Claude François
フランス版トレーラーはシンプルに『コム・ダビチュード』の歌声のみ

Cloclo Movie US Trailer アメリカ版トレーラー(英語字幕つき)

Cloclo (film 2012) wikipediaフランス語版

Cloclo - Le film (フランス版 facebookページ)


「いつものように」(コム・ダビチュード)
Comme d'habitude - Claude François
Claude François - Comme d'habitude (My way)


マイウェイ英語バージョン
 エルヴィス Elvis Presley - My Way (with lyrics)
 フランク・シナトラ Frank Sinatra, My Way (With Lyrics)

 クロード・フランソワ Claude François - My way (En anglais) + Paroles 

elvis-cloclo my way sous titres (フランス人が作成したらしい映像 エルヴィスとクロクロの夢の顔合わせコンピレーション フランス語字幕つき)





1997年の出版で内容的には古いがフレンチ・ポップスについてまとまった文献といえば、ペヨトル書房から出版された『Ur (ウル)12号 特集:フレンチ・ポップス』(1997年)が参考になるだろう。このほかの情報はネット情報を検索していただきたい。




<参考> Comme d'habitudeの 英語版 My Way とフランス語版の歌詞
My Way

Songwriters: JACQUES REVAUX, CLAUDE FRANCOIS, GILLES THIBAUT, PAUL ANKA

And now the end is near
So I face the final curtain
My friend, I'll say it clear
I'll state my case of which I'm certain

I've lived a life that's full
I've traveled each and every highway
And more, much more than this
I did it my way

Regrets, I've had a few
But then again, too few to mention
I did what I had to do
And saw it through without exemption

I planned each charted course
Each careful step along the byway
Oh, and more, much more than this
I did it my way

Yes, there were times, I'm sure you knew
When I bit off more than I could chew
But through it all when there was doubt
I ate it up and spit it out
I faced it all and I stood tall
And did it my way

I've loved, I've laughed and cried
I've had my fails, my share of losing
And now as tears subside
I find it all so amusing
To think I did all that
And may I say, not in a shy way
No, oh no not me,
I did it my way

For what is a man, what has he got
If not himself, then he has not
To say the words he truly feels
And not the words he would reveal
The record shows I took the blows
And did it my way The record shows I took the blows
And did it my way

(出典: http://www.lexilogos.com/claude_francois/my_way.htm



Comme d'habitude

Je me lève
Et je te bouscule
Tu n'te réveilles pas
Comme d'habitude

Sur toi
Je remonte le drap
J'ai peur que tu aies froid
Comme d'habitude

Ma main
Caresse tes cheveux
Presque malgré moi
Comme d'habitude

Mais toi
Tu me tournes le dos
Comme d'habitude

Alors
Je m'habille très vite
Je sors de la chambre
Comme d'habitude

Tout seul
Je bois mon café
Je suis en retard
Comme d'habitude

Sans bruit
Je quitte la maison
Tout est gris dehors
Comme d'habitude

J'ai froid
Je relève mon col
Comme d'habitude

Comme d'habitude
Toute la journée
Je vais jouer
A faire semblant
Comme d'habitude
Je vais sourire
Comme d'habitude
Je vais même rire
Comme d'habitude
Enfin je vais vivre
Comme d'habitude

Et puis
Le jour s'en ira
Moi je reviendrai
Comme d'habitude

Toi
Tu seras sortie
Pas encore rentrée
Comme d'habitude

Tout seul
J'irai me coucher
Dans ce grand lit froid
Comme d'habitude

Mes larmes
Je les cacherai
Comme d'habitude

Mais comme d'habitude
Même la nuit
Je vais jouer
A faire semblant
Comme d'habitude
Tu rentreras
Comme d'habitude
Je t'attendrai
Comme d'habitude
Tu me souriras
Comme d'habitude

Comme d'habitude
Tu te déshabilleras
Oui comme d'habitude
Tu te coucheras
Oui comme d'habitude
On s'embrassera
Comme d'habitude

Comme d'habitude
On fera semblant
Comme d'habitude
On fera l'amour
Oui comme d'habitude
On fera semblant
Comme d'habitude

(出典: http://www.lexilogos.com/claude_francois/my_way.htm )




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