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2012年6月6日水曜日

『動員の革命』(津田大介)と 『中東民衆の真実』(田原 牧)で、SNS とリアル世界の「つながり」を考える



「動員」に「革命」。なにやら、昭和時代の「大衆扇動」のテーマをほうふつとさせるものがある。

とはいえ、いまはすでに2012年、21世紀の「動員」も「革命」は、旧時代のそれらとは大きく異なるだろう。そもそも、そう簡単に人が動くものではない、とくにこの日本という国においては。

なにか特定の上部機関があって、その指示命令のもとに整然として「動員」がかけられ、「革命」に挺身するというのが、昭和時代の標準形であった。

カリスマ的な指導者のもとで、粛々と革命に邁進し、組織の論理に従わない者は排除されるか抹殺される。

これに対して、もっと、ナチュラルで、しなやかに、みずからの意志で「巻き込まれていく」カタチの「動員」が、21世紀のSNS時代の姿ではないか。

もちろん「革命」といっても、比喩的な意味での「革命」を含んだ表現だ。

SNSの世界のなかだけで完結しているバーチャルな世界ではないない。SNS世界とリアル世界との「つながり」が、リアル世界で「革命」の「動員」を可能にする。


SNSがキッカケとなってリアル世界が動き出すとき・・・

『動員の革命-ソーシャルメディアは何を変えたのか-』(津田大介、中公新書ラクレ、2012) と 『中東民衆革命の真実-エジプト現地レポート-』(田原 牧、集英社新書、2011)、この二冊を、あいだをあまりおかずに読んでみた。

先に読んだのは『動員の革命』、あとから読んだのは先に出版されている『中東民衆の真実』である。冒頭に書いた感想は、『動員の革命』によるものだ。それはまた、SNS世界も体感しているわたしにも、十分に納得のいく説明である。

フェイスブックやツイッターなどのSNSによる「革命の動員」の本質を考えてみたいという動機とともに、ビジネスでの利用をプロモートしている人たちとの、思考のブリッジを試みてみたい、という思いもある。

というのも、わたしの専門は、組織変革と個人能力アップ。つまり、個人と人間集団との関係の考察は、大学時代に社会学を学んで以来、ビジネスマンとして過ごしてきた25年以上の月日においてもメインテーマの一つなのである。

これまでの「革命」とは何かが違う、これまでの「革命」では説明で切れないものがある、この「革命」をどう理解すべきなのか・・・・?

そう、フェイスブッックなどのSNSはあくまでもキッカケで、リアルの動員が実現したとき、「革命」は動き出す。これが、この2冊に共通する認識だ。

『動員の革命』は、基本的に「運動」のあらたな生成についての考察だが、これは政治だけでなく、ビジネスでも、たんなる活動でも基本的には同じことだ。

この認識を踏まえたうえで、具体的な「革命」のリポートを読んでみる。


「アラブの春」をエジプトで体感したレポートを読む

『中東民衆の真実』は、「アラブの春」の最終段階にカイロに入った新聞記者の思考記録といった内容の本だ。

「革命」のさなかにエジプトの人びとと語り合い、この「革命」の本質が何であるのかを思考していく。その思考の流れ、リズム感が心地よい。

この著者の考えに賛成するしないは問題ではなく、現実のなかで思考していくスタイルを心地よいと感じるのである。

エジプト人が主体の「革命」であるはずなのだが、ほんとうに彼らを突き動かしたのはいったい何なのであろうか、フェイスブックはあくまでもキッカケであり、トリガーに過ぎないであろう。

大きな環境変化といえば、エジプトもまたその例外ではなかったグローバリゼーション、新自由主義による経済改革。なんだ、同時代の日本と同じではないか。そしてウィキリークスが与えた影響

その大きな環境変化のなかでは、従来からの主要勢力である国軍も、最大の野党勢力であるムスリム同胞団すらも、大きな変容を被っているのであるという記述を読むとき、遠いエジプトがけっして、日本人とは無縁の存在ではなくなるのを感じるのである。

個人の内面から発する「反抗というアナキズム」・・この表現は、『中東民衆の真実』の著者のロマンチシズムの表現であろうが、「上からの指示命令」ではない「動員」の結果であるならば、それはやはりエジプトもまた、21世紀という同時代を生きる日本人と同じ地平に立っていることが確認できるのである。それがグローバリゼーションなのさ、と言われればそのとおりであるが。

著者の田原牧という人は、戸籍名は田原拓治というらしい。トランスジェンダーであることをディスクローズしている人だが、いつの世も少数者は思考が深くなるものだ

かつては「革命」のロマンチシズムにあこがれたらしい遅れてきた元左翼青年。アラブ世界で取材する新聞記者という現場でもまれて、現実的な思考をするようになたものの、軸足はあくまでも民衆の生活において、大文字で語らない姿勢。これはよい。

活字メディアでも放送メディアでもほとんど言及されることのない労働運動。これが著者のいうように今後の波乱要因になるのか、専門家ではないわたしには判断しかねるが。

いままさに、エジプトは大統領選の決選投票を間近に控えている。来たる6月16日と17日、国軍が推す候補とムスリム同胞団の候補との一騎打ちが行われる。フェイスブックで呼びかけた若者たちの「世界標準」とはまったく異なる結果となってしまったのだが、リアル世界の政治とはまたそういうものであろう。


同時代を生きるエジプト人と日本人-SNSとリアル世界を「つなぐ」もの

フェイスブックの議論に巻き込まれた若者たちが街頭に出ることにとって、さらなる「動員」がもたらされ、「革命」はあっという間に実現してしまった。しかし、リアル世界においては、SNSとは異なる動きを示すのが人間であり、人間集団というものである。

エジプトの大統領選挙は、エジプト国民にとってきわめて重要な政治である。日本人が直接関与する性格のものではない。

しかし、「アラブの春」とよばれるようになった「革命」は、けっして日本人にも無縁の存在ではない。同じ時代に生きるという意味を感じさせるものがそこにあるからだ。

エジプト人への「連帯」とかそういう類の話ではない。生きている場所が違うとはいえ、いやがおうでも同じ時代に生きているという意味において。






■『動員の革命-ソーシャルメディアは何を変えたのか-』(津田大介、中公新書ラクレ、2012) 

目 次


第1章 ソーシャルメディア×革命-「アラブの春」を起こした真の力とは
第1章対話編 モーリー・ロバートソン×津田大介-ソーシャルメディアで世界は変わったか
第2章 ソーシャルメディア×情報発信-ムーブメントを起こすために必要なこと
第2章対話編 宇川直宏×津田大介-ソーシャルメディア時代のスーパースターとは
第3章 ソーシャルメディア×震災-東北復興のためにできること
第4章 ソーシャルメディア×未来-新しいマネタイズの方法とは?
第4章対話編 家入一真×津田大介―ソーシャルメディアの力でマネタイズする
特別鼎談 中沢新一×いとうせいこう×津田大介-「動員」で世の中を変えていこう

著者プロフィール

津田大介(つだ・だいすけ)

ジャーナリスト、メディア・アクティビスト。早稲田大学大学院政治学研究科非常勤講師。関西大学総合情報学部特任教授。1973年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。コンテンツビジネス周辺や著作権、IT・ネットサービスをフィールドに執筆。2006年から2008年まで文化審議会著作権分科会において専門委員を務める。2007年、「MIAU(インターネットユーザー協会)」を設立。音楽ニュースメディア「ナタリー」を手がける(株)ナターシャ取締役(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。






■『中東民衆革命の真実-エジプト現地レポート-』(田原 牧、集英社新書、2011)


目 次


第1章 静かな興奮
第2章 予測を超えた展開
第3章 旧世代の憂鬱
第4章 タハリール共和国
第5章 下支えした既成勢力
第6章 五十四年体制の崩壊
第7章 新しい革命
第8章 青ざめる米国
第9章 不可視の船出

著者プロフィール


田原牧(たはら・まき)

1962年生まれ。東京新聞(中日新聞東京本社)特報部デスク。1991年に湾岸戦争、1994年にルワンダ内戦・難民問題を取材する。1995年からカイロ・アメリカン大学に留学し、2000年までカイロ特派員。同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)共同研究員、季刊『アラブ』(日本アラブ協会)編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。





<ブログ内関連記事>

「アラブの春」を引き起こした「ソーシャル・ネットワーク革命」の原型はルターによる「宗教改革」であった!?

書評 『ウィキリークスの衝撃-世界を揺るがす機密漏洩の正体-』(菅原 出、日経BP社、2011)


「アラブの春」のその後

書評 『エジプト革命-軍とムスリム同胞団、そして若者たち-』(鈴木恵美、中公新書、2013)-「革命」から3年、その意味を内在的に理解するために


「2-11」関連-「アラブの春」

本日(2011年2月11日)は「イラン・イスラム革命」(1979年)から32年。そしてまた中東・北アフリカでは再び大激動が始まった

エジプトの「民主化革命」(2011年2月11日)
・・海底ケーブルを利用するインターネット回線は、エジプトのみ内陸を通る!

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書評 『アラブ諸国の情報統制-インターネット・コントロールの政治学-』(山本達也、慶應義塾大学出版会、2008)

アラビア語復興運動とキリスト教聖書のアラビア語訳

書評 『新月の夜も十字架は輝く-中東のキリスト教徒-』(菅瀬晶子、NIHUプログラムイスラーム地域研究=監修、山川出版社、2010)
・・アラブ・ナショナリズムにつながるアラビア語復興運動は、聖書をアラビア語に翻訳する事業に携わったアラブ人キリスト教徒が指導的役割を果たした事実は、ルターによる聖書のドイツ語訳とのアナロジーを思わせるものがある

(2014年8月9日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)







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