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2011年8月29日月曜日

書評 『修道院の断食-あなたの人生を豊かにする神秘の7日間-』(ベルンハルト・ミュラー著、ペーター・ゼーヴァルト編、島田道子訳、創元社、2011)-修道院における「断食」は、減量法を越えてスピリチュアルへの道を拓く


修道院における「断食」は、減量法を越えてスピリチュアルへの道を拓く

 ドイツのカトリック修道院で年二回開催されている「一週間の断食セミナー」に参加した、42歳のドイツ人雑誌編集長の記録である。

 著者によれば、西洋のカトリック世界では、修道院の内部を除いてすっかり世の中から忘れ去られていた「断食」が、近年は復活傾向にあるという。資本主義世界の目まぐるしい生活に疲れ果てた現代人が、スピリチュアルなものに癒しを求める志向がその背景にはあるのだろう。

 本書を読んでいると、中世以前にはキリスト教の伝統のなかに「断食」が位置づけられていたことがわかる。初期キリスト教の砂漠の修道士たちの精神をうけついだ中世ヨーロッパのベネディクト会修道院では、謝肉祭で肉を断った復活祭まえの四旬節の40日間は「断食」をすることになっていたらしい。

 興味深いのは、インドを含めた東洋的な精神世界があふれている現代の西欧世界に生きているのにかかわらず、著者が東洋の「断食」修行法にははいっさい言及せずに、キリスト教とくにカトリックのコンテクストのなかでのみ「断食」について語っている姿勢である。おかげで、東洋的な解釈に染まった「断食」ではない、本来のカトリックの修道生活における「断食」を読者が追体験することができる内容になっている。


 物質的な何かを捨てることによって、別の精神的に価値あるものを得る。肉体の欲望をコントロールすることによって、精神的に純化された境地に近づく。これは現在の日本でも流行の、禅仏教やヨーガの教えにインスパイアされた「断捨離」に通じるものがある。不要なものを捨て去り、食を断ち、目から入る雑情報を断ち、耳から入る雑音を断てば、自然と五感がフルに働き、感覚が鋭敏になってくる。より精神的な境地に近づくことになる。

 ただ読んでいて感じたのは、「断食」にかんして東洋と西洋が大きく異なるのは、東洋の「心身一如」(しんしんいちにょ)がカラダとココロを不可分のものと捉えるのに対し、西洋では(・・すくなくとも著者は)、無意識のうちにキリスト教信仰と精神をより重視しているように見受けられることだ。「断食」というカタチは似ていても、肉体と精神に対する態度が大きく異なるようだ。無意識のレベルで「天使」志向があるのかもしれない。

 著者のように「7日間」ではないが、じっさいに、日本の仏教寺院の断食道場で「断食」を体験したことのあるわたしにとっては、共感するものとそうでないものがあるのを感じたのは、わたしが西洋人のカトリック教徒ではないからだろう。キリスト教の信仰をもたない者には、読んでもいまひとつピンとこない点もあることは、正直に書いておきたい。

 とはいえ、たんなるダイエットを越えた、「断食」のもつスピリチュアルな側面に関心のある人、「断食」を活字をとおして追体験してみたい人は読んでみるといいと思う。

 そしてできれば、修道院なり仏教寺院で「断食」を体験してみることをすすめたい。 



<初出情報>

■bk1書評「修道院における「断食」は、減量法を越えてスピリチュアルへの道を拓く」投稿掲載(2011年8月5日)
■amazon書評「修道院における「断食」は、減量法を越えてスピリチュアルへの道を拓く」投稿掲載(2011年8月5日)

*再録にあたって増補した。


ドイツ語原本

Bernhard Müller,Peter Seewald, Das Fasten der Mönche, Heyne, 2003



目 次

はじめに
第1章 修道院へようこそ
第2章 修道院の断食・小史
第3章 断食前の正しい準備
第4章 断食一日目-毒素を洗い流し、健康な体を作る
第5章 断食二日目-あたえ、断念する。そのことで翼が生えたように軽くなる
第6章 断食三日目-さまざまな誘惑と、断食がうまくいかない原因
第7章 断食四日目-自己発見:「罪」を自覚し、「罪」から清められる
第8章 断食五日目-ついにオアシスにたどりつく
第9章 断食六日目-目や耳、口、手を使ったさまざまな「断食」
第10章 断食七日目-最後には望みどおりの自分になれることを悟る
エピローグ――最後に限りない神と人生への賛美を


著者プロフィール

ペーター・ゼーヴァルト(Peter Seewald)

1954年生まれ 「シュピーゲル」、「シュテルン」、「南ドイツ新聞」の雑誌で編集者かつ筆者。ヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿(・・現在のローマ教皇ベネディクト16世)とのその対談本「地の塩」そして「神と世界」は16カ国語に訳された。最近出版された著書は「グリュース・ゴット(こんにちは)再び神のことを考え始めた時」。「修道僧文庫」編纂者。ミュンヒェン在住。

ベルンハルト・ミュラー(Bernhard Müller)

1961年生まれ。多くの映画およびテレビ制作会社に勤務。1987年より政治と宗教の雑誌「PUR」の編集長。アルゴイのキスレックに在住。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)




<書評への付記>

 一ヶ月続くイスラーム世界の断食(ラマダーン)は、今年2011年は、本日8月29日の日没で終了した。ムスリムの皆様は、たいへんお疲れ様です。日没後はたらふく食べられるので、大いにラマダーン明けを祝って頂きたいものと思う。

 もっとも、イスラームの断食は、仏教の断食とは大いに異なり、日の出から日没までのみの断食であって、断食が数日も一週間も連続してつづくものではない。

 キリスト教のカトリックの修道院で行われる断食もまた、仏教の断食によく似ている。

 本書によれば、断食が行われているのはカトリック世界のみで、修道院のなかではずっと断食がおこなわれてきたそうだ。修道制度をもたないプロテスタント世界には「断食」は存在しない

 最近は、ヨーロッパでもスピリチュアルのブームで、断食する人も増加傾向にあるとか。ダイエット(減量)、デトックス(毒素排出)、スピリチュアル(精神生活)の三点セットで、断食(fasting)を捉えたいという人が増えてきているのだろう。  

 ちなみにドイツは、北部はプロテスタント地域、南部からオーストリアにかけてはカトリック地域である。宗教改革時代に領主の信仰によって、色分けがなされたまま現在に至るというわけだ。ちなみに、現在のローマ教皇ベネディクト16世は、俗名はヨーゼフ・ラッツィンガーといい、ドイツ南部のバイエルン出身である。

 本書の舞台となったヤコブスベルク修道院は、修道院の規則をつくったベネディクト会のもので、ライン川の河畔リューデスハイムにある。ドイツ南部のマインツから近い。

 この修道院では、復活祭前の春と秋の年二回、一週間の断食セミナーが開催されているそうだ。






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(2013年12月27日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)







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