「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2010年11月15日月曜日

秋が深まり「どんぐり」の季節に





 秋が深まり、どんぐりの季節に。

♪どんぐり ころころ どんぶりこ・・・お池にはまって さあたいへん

 「どんぐりの背比べ」という表現があるように、規格品のように同じ形で同じ大きさのどんぐりは堅い殻をもったナッツである。英語では acorn という。エイコーンと発音する。
 この季節には、まさに「どんぐりの雨」ともいう表現が適切なほど、大量のどんぐりが落下して、地面にばらまかれている。

 はじめて米国にいって、とにかく驚いて、うれしく思ったのは、いたるところにリスがいることだった。公園でもキャンパスでもリスは実にありふれた存在だ。だが、米国と違って、日本では野生リスを目にすることがほとんどない。どんぐりを両手でもって食べているリスを目にすることがないのは残念だ。

 どんぐりを食べるのはリスだけではない。クマもどんぐりが大好物だ。リスもクマも秋にどんぐりをたっぷり食べてから冬眠に入る。今年2010年はどんぐりが不作なので、クマがなかなか冬眠に入らず人里に現れては問題を起こしているといわれている。どんぐりの不作だけが原因ではないようだが。



 温帯に属する日本や米国、それに欧州と、熱帯や亜熱帯に属する東南アジアとは植生(フローラ)が違うから当然といえば当然だともう。だが一方、コーヒーやカシューナッツ、マカデミアナッツなどのナッツ類は、ベトナムやラオス、またタイやミャンマーなど東南アジアでも、高地では栽培されているから、私が気づいていないだけで、どんぐりは存在するのだろう。

 子どもの頃は、よくどんぐりを大量に拾ってきて保管していたものだが、しばらく時間がたつとかならず固い殻を破ってなにかの幼虫(・・うじ虫?)が這い出てくる。日本にはどんぐりを食べるリスはいなくても、どんぐりに卵を産み付ける虫がいて幼虫が中身を食べるから、どんぐりは生態系の食物連鎖のなかでは、けっしてムダな存在ではないのだろう。


 そういえば、『ドングリと文明』という本があったなと思いだして本棚から取り出してみた。正式なタイトルは、『ドングリと文明-偉大な木が創った1万5000年の人類史-』(ウィリアム・ブライアント・ローガン、岸 由二=監修、山下篤子訳、日経BP、2008)である。

 この本は、食糧としてのどんぐりと、木材としてのオーク材(oak)について、これが人類史においていかに大きな意味をもってきたかを、主に西洋を中心に描いたものである。

 木材としてのオーク材は、バイキング船やウィスキーやワインの樽製造に使用されてきた。

 この本によれば、「どんぐり文化」(balanoculture)という表現で、小麦栽培以前はどんぐりが主食として、人類の生存を支えてきたことを仮説として提示している。実際に、どんぐりは現在でも韓国や地中海の北アフリカでは粉にひいたものを食糧として利用しているようだ。

 あく抜きしてから粉に引いたものは、味は無味乾燥だが、著者が実際に食べてみたところ、ものすごく腹持ちがいいようだ。リスだけでなく、人間もまたこのどんぐりのおかげで餓えを免れていたのである。

 ところで、どんぐりがなるのはオーク(oak)であるが、大きく分けて二種類ある。落葉樹のほうは楢(なら)、常緑樹のほうは樫(かし)と区分している。ちなみにここにあげた写真のどんぐりは、常緑樹の樫(かし)のものである。

 この本に収められた「オーク分布図」をみると、インドは入っていないが、タイからシンガポール、インドネシアまで入っているので、やはり、どんぐりは東南アジアでもあるのだろう。

 残念なことに、この本はケルト以来の西洋文明を中心に語っており、どんぐりを食べていた縄文時代の日本人(・・というより日本という国はなかった頃だから縄文人)の話がちょとしか出てこない。

 西洋文明における小麦に該当するものとしてのコメがあるが、縄文時代の遺跡からどんぐりが出土する話はよく耳にする。弥生人が大陸や半島から稲作をもたらす以前には、日本もまた「どんぐり文化」であったのだ。
 
 「五穀断ち」という修行があるが、基本的に木の実や草の根だけを食べると修行である。ミイラ仏になるための前段階として、米や麦などの五穀を断って、木食(もくじき)に徹する修行である。カラダの内部から脂肪分を抜いていくために、木の実を中心にした食生活であるが、、ミイラ仏が多数作られた東北地方は、縄文文化が濃厚に残っている地域なので、ある意味では不思議ではないのかもしれない。

 一方、スペインには、どんぐりだけを食べさせて育てたイベリコ豚がある。この本を読むと、どんぐりが腹持ちのする栄養ある食物であることを知ることができるので、なるほどと納得させられるのであった。どんぐりを主食としないわれわれも、イベリコ豚をつうじて、間接的にどんぐりを食べていることになる。

 どんぐりの一粒一粒じたいは、何の変哲もない木の実であるが、そこに秘められたパワーと歴史を知ると、穀物栽培以前の人類史について、さらに知りたいという気持ちにさせられるのである。






<ブログ内関連記事>

庄内平野と出羽三山への旅 (12) 庄内平野の湯殿山系「即身仏」(ミイラ仏)を見て回る・・ミイラ仏と木の実を中心の「五穀断ち」について

マロニエはマロン(栗)にあらず

銀杏と書いて「イチョウ」と読むか、「ギンナン」と読むか-強烈な匂いで知る日本の秋の風物詩

(2015年10月23日 情報追加)


(2022年6月24日発売の拙著です)

(2021年11月19日発売の拙著です)


(2021年10月22日発売の拙著です)

 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)

(2012年7月3日発売の拙著です)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end