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2010年6月7日月曜日

新装刊の月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2010年7月号を読む-今月号の特集は「アップルが、世界を変える」




 まず、何よりも冨倉編集長以下スタッフのみなさんには、「新装刊おめでとうございます」と一言申し上げます。

 新装刊第一号の特集は、まさに旬も旬、ピチピチの旬のテーマの iPad と iPhone で前面に躍り出たアップル社
 カバー前面の、カラフルなグラフィックはまさに雑誌の命ですね。それに劣らず、雑誌ならではのコンテンツがてんこもりで、一冊読み終えるのにけっこう時間がかかってしまいました。いずれも中身の充満した記事ばかりなので、ちょっと満腹気味というのが正直なところです。
 紙質も変えて、変化したことをトータルにアピールしていますね!

 では、私が「新装刊7月号」で読んで面白いと思った記事に、いくつかコメントをさせていただきます。


Special Feature アップルが、世界を変える

 実は私はまだ iPhone も iPad も使っていません。テクノロジー・ガジェットのアーリー・アダプター(early adopter)ではないので真っ先に新製品に飛びつくタイプではないからです。様子見してから購入するというのがいつもの行動特性です。買ったはいいけど、お蔵入りというガジェットが少なからずありますからね。
 アーリー・アダプターにとっては、こういう形の雑誌特集は、心理学的にいえば、自分の購買行動の認知的不協和を解消する意味で大いにウェルカムでしょうし、私のような様子見してから購入するといタイプの人にとっては、社会現象としてのアップルについて考えるうえでは、よく精選された記事が集められているといえるでしょう。

 私自身はパソコン使い始めてからすでに20年以上たっていますが、結局アップルのファンではないまま今日まできました。ビジネスユースが中心なのでどうしても MS-DOS系統になってしまいますし、デザイナーではないのでマックは使わない。米国留学中に、アカデミック・ディスカウントがあるのでマックを注文したのですが、数ヶ月待ちのバックオーダーで結局入手は断念という経験の持ち主です。

 特集記事のなかでは、とくに Part3 の「可能性は無限大!?iPad が創り出す新しいライフスタイル」が、それこそ一目瞭然に感覚的にわかる図解になっているので、ものを考えるうえで大いに刺激されます。医者、ビジネスピープル、母子、ゲーマー、デザイナー、大学生、シニア、それぞれの立場ごとの用途と可能性についての記述は、ビジネスのヒントとなるだけでなく、社会現象としての iPad について考えるヒントにもなります。

 一方で、アップルの今後について、やや批判的な記事も翻訳紹介しています。アップルは本来の革命精神を喪失して「囲い込み戦略」に走っていると。こういう「複眼的なものの見方」がいかに重要であるか、「クーリエ」の記事セレクト方針そのものが証明しています。

 ほぼ同時期に「アップル」を特集した雑誌を2種類よみました。
 『週刊ダイヤモンド』の特集「アップル丸かじり」『日経TRENDY』の特集「すべてがわかるスマートフォン& iPad 完全ガイド」です。前者は経済雑誌、後者は商品流行情報誌ですが、あくまでも経済誌の観点でしかものを見ていません。社会現象として視るためには、今回の「クーリエ」の特集は面白い視点を提供してくれたな、と思います。

 「クーリエ」でも、iPhone 向けのアプリの提供も始めたようですね。まだどちらも所有していない私には試してみることができないのが残念ですが・・・



北欧-その光と影 世界が羨む「理想社会」

 内村鑑三の『デンマルク国の話』以来、日本でも理想社会として讃えられてきたデンマーク。フランス人ジャーナリストが描いた幸福度ランキングNo.1のデンマークのレポートを実に興味深く読むことができました。
 デンマークの現状は、記事を読む限り、かつての日本のようでもありますが、現在の日本とはほど遠い、なんだかユートピアの話を聞いているような錯覚にも陥ります。
 徹底した平等主義、とくに教育における平等。バイキング時代以来の伝統、小国ならでは条件があって初めて成り立つものなのでしょう。
 北欧モデルのビジネスの可能性についての記事も翻訳紹介されていますが、たしかに社会条件を考慮にいっると、北欧以外では応用は難しそうです。経営者と一般従業員との所得格差の小さい点は、日本と似たところがありますが、自由な議論が可能な組織風土は果たして日本にあるのかどうか。
 しかも、過度の移民流入が社会の一体性を損なう可能性があると北欧で論じられていること、なかなか面白い視点が提供されています。「クーリエ」ならではの「複眼的なものの見方」の好例となっているといっていいでしょう。
 非常に素晴らしい特集で、私としてはこれだけで一冊分を読みたいような内容でした。



祝祭の名はワールドカップ-熱狂のドラマとビジネスチャンス-

 前日本代表監督のイビツァ・オシム監督の発言や語録もそうですが、今回の FIFA ワールドカップ南アフリカ大会で日本の対戦相手であるカメルーン、オランダ、デンマークのスポーツジャーナリストが指摘している内容は実に面白いですね。サッカーをつうじてみた日本人論となっているからです。欧州では「個」として活躍している日本人選手が、日本に戻って日本のチームの一員になると、なぜ組織に埋没してしまうのか? この指摘は実に貴重なものです。
 また、岡田監督の「ベストフォー入り」という非現実的な目標設定の愚かさも、外国人スポーツジャーナリストたちがズバリ指摘しているのは、まさに傾聴すべき見解ですね。

 

新連載:「中国とインドを読み解くクロス連載 「龍」と「象」の比較学」

 この新特集は実に面白い。中国をテーマにしたジャーナリスト富坂聰が中国からみたインドを、現代インドを研究する中島岳志がインドからみた中国について、それぞれ執筆しています。
 中国側のインドへの無関心ぶりに対して、インド側の中国への警戒心が際立っていることが、それぞれ独立して執筆された論考で浮き彫りになるという面白さ。
 この連載企画は実に面白いので、ぜひ今後も続けて読みたいものです。これもまた、「クーリエ」ならではの「複眼的なものの見方」のすすめ、といってよいでしょう。



Courrier bis という新しい特集ページ

 ビジネスマンである私にとっては、この新特集も実にありがたいですね。

 とくに、「世界の工場」が変わる!という特集が面白い。「世界の工場」といわれてきた中国の変化について、技術の流れが逆転し始めたという指摘。かつては先端技術を学ぶために中国から米国へ向かっていた流れが、現在では米国から技術者が中国に向かっているという。

 また、iPad などのアップル製品の製造請負をおこなっている、台湾資本の世界最大の EMS(電子機器製造受託専業企業)フォックスコン(Foxconn:鴻海精密工業)の中国工場で、従業員の自殺が連鎖的に発生している事件の背景もこの記事を読むと理解できます。
 フォックスコンの事件が、中国人従業員の待遇改善につながり、ひいては賃金上昇圧力の引き金となっていることは、報道でも周知のとおりです。
 中国の「農民工」の第三世代は一人っ子世代なのだという、考えてみれば当たり前の事実を明快に解説してくれる記事は読む価値があります。もちろん、フォックスコン事件の背景はこれだけではありませんが。

 中国ビジネス関係者必読の特集記事でしょう。


 

 以上、ざっとコメントしてみました。
 
 まさに「記事のセレクト」というべきなのでしょう。
 新装刊は、「クーリエ」のよいところを継承しながら、記事のセレクトに関して、さらに「複眼的な視点」が強化された点が、知的な読者を十分に満足させるものとなっているといっていいいでしょう。
 
 「来月号の特集」は何だろうかな、いまから楽しみです。






<ブログ内関連記事>

書評 『知的複眼思考法-誰でも持っている創造力のスイッチ-』(苅谷剛彦、講談社+α文庫、2002 単行本初版 1996)


<関連サイト>

月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」オフィシャルサイト

アップル社創業経営者スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式祝辞
 動画は YouTube にて(英語、字幕なし)。
 英語原文はスタンフォード大学オsフィシャルサイトに掲載。
 YouTubeで音声流しながら、原文を目で追っていけば、英語の勉強にもなるでしょう。実に感動的なスピーチで、良質な自己啓発といえるはずです。


クーリエ・ジャポンの CM(YouTube映像)



P.S.

 この記事が、『クーリエ・ジャポン レビューコンテスト 2010年7月号』で【副編集長賞】を受賞したとの連絡が入りましたので、報告しておきます。
 以下に、いただいたメールを転載しておきます。(2010年7月5日)


R+コンテスト事務局です。

先日は、『クーリエ・ジャポン レビューコンテスト 2010年7月号 』にご応募頂き誠にありがとうございました。

クーリエ・ジャポン編集部による厳正なる審査の結果、ご応募頂きました下記エントリーが見事、

【副編集長賞】

に選ばれましたのでご報告致します。おめでとうございます!

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【エントリータイトル】新装刊の月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)
2010年7月号を読む-今月号の特集は「アップルが、世界を変える」
【URL】http://e-satoken.blogspot.com/2010/06/courrier-japon-20107.html
【選評】ご自身もグローバルにお仕事を展開しているだけあって、ビジネス記事に対す る視点の鋭さに感心しました。
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以上






(2012年7月3日発売の拙著です)







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