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2018年1月5日金曜日

「羊飼い」と「聖ベルナール」は性格が真逆の大型犬(2018年の干支はイヌ③)

(蘇生用のアルコールのミニ樽を首に掛けた救助犬としてのセントバーナード wikipediaより)

「羊飼い」と「聖ベルナール」がイヌとどういう関係があるのか?

これは、「シェパード」と「セントバーナード」と言い換えてみれば、すぐにわかるはずだ。それぞれ洋犬の種類の名称である。

シェパード(shepherd)は羊飼いのこと。羊(sheep)を飼う(herd)のが羊飼いだ。そこから転じて、猛犬のシェパードの意味に転化したのである。ジャーマン・シェパード(German Shepherd ドイツ語では Deutscher Schäferhund)は、ドーベルマンと並んで、非常にどう猛な大型犬である。

日本の南洋捕鯨を執拗に妨害し続ける「シー・シェパード」(Sea Shepherd)とは、文字通りの意味は「海の羊飼い」ということになる。おそらく、狼(=日本の捕鯨船)から羊たち(=クジラ)を守るシェパード(=羊飼い)というのが、彼らの自己認識なのだろう。そしてまた、キリスト教の影響下にある欧米諸国では無意識レベルに訴えるものがあるのだろう。

(中型のジャーマンシェパード Wikipediaより)

「セントバーナード(St. Bernard)は、聖ベルナールのことである。ベルナールというのは英語のバーナードのフランス語読みである。いや、もともとはフランスの聖者なので聖ベルナールというのが本来の形だ。

12世紀の聖者であるクレルヴォーの聖ベルナールは、ラテン語で聖ベルナルドゥスという。異端撲滅に使命感を燃やし、まずはアルビジョワ派を攻撃、次に反イスラームの立場から、西欧各地を回って熱狂的に十字軍を呼びかけた人でもある。

シェパードとは違って、見るからにおとなしい大型犬のセントバーナードは、聖ベルナールのような印象ではないが、なぜ、セントバーナード犬は、そういう名前になったのだろうか?

じつは、スイスとイタリアの国境にある西アルプスの難所の峠と、モンブランからも近いフランスとイタリアの国境にある難所の峠の2カ所にある2つのホスピス(=休息所)の名前から来ているのである。前者は大セントバーナード、後者は小セントバーナードという。

(英国人画家が描いた救助犬としてのセントバーナード Wikipediaより)

遭難者のための休息所を設けたのが、おなじく12世紀のベルナール・ド・マントン (Bernard of Menthon)という聖者である。聖ベルナールではあるが、十字軍を勧誘した方の聖ベルナールではない。ちなみに、彼が設けたホスピスは、ターミナルケア(=終末期医療)の意味で使用さえるホスピスの語源でもある。

休息所に待機している救助犬がセントバーナードであるが、セントバーナードと呼ばれるようになったのは19世紀以降とのことだそうだ。大サン・ベルナール修道院にちなんでサン・ベルナールと命名されたのである。つまりセントバーナードである。

シェパードとセントバーナードという西欧の大型犬は、ともにキリスト教と密接な関係があるのだ。たまには、そんなことを思い浮かべながら、大型犬に接してみるのもいいだろう。






(参考) 聖ドメニコの誕生とイヌ

映画 『シスタースマイル ドミニクの歌』 Soeur Sourire を見てきた というブログ記事に、聖ドメニコの出生伝説について書いているので引用しておこう。聖ドメニコの出生とイヌが密接な関係にあるのだ。

ヨーロッパ史においては、ドメニコ会の存在はけっして小さなものではない。聖ドミニコは、異端のアルビジョワ派(カタリ派)が拡がっていたフランスのラングドック地方での伝道を命じられ、裸足で説教して回った。

ドミニコ会士というと異端撲滅と判を押したようにでてくるが、それは神学の研究に励み、著名な学者を多く輩出したためであり、ドミニコ会から異端審問の審問官に任命されることが多かったからである。

著名なドミニコ会士には、学問重視の姿勢が反映して、著名人が綺羅星のごとく並んでいる。アルベルトゥス・マグヌス、トマス・アクィナス、マイスター・エックハルト、ジローラモ・サヴォナローラ、ジョルダーノ・ブルーノ、トマーゾ・カンパネッラ、フラ・アンジェリコ、バルトロメ・デ・ラス・カサス・・・。このなかには逆に異端として断罪された人物も含まれる。

13世紀のヤコブ・デ・ウォラギネ作『黄金伝説』(Legenda aurea)によれば、聖ドミニコの出生伝説は以下のようなものである。

母は、この子(=聖ドミニクス)をみごもった時、口に燃える松明(たいまつ)をくわえた一匹の子犬が体内をかけめぐる不思議な夢をみたという。子犬は、やがて母のカラダから出て行くと、その松明(たいまつ)で全世界に火を点じた。また、洗礼に立ち会った婦人は、ひとつの明るい星がこの子の額に光っているのを見た。この星は、その後世界中を煌煌(こうこう)と照らしたのである。 (引用は、『黄金伝説』(前田敬作/西井武訳、平凡社ライブラリー、2006) P.104)

白象が降りてきて右脇からカラダのなかに入ってくる夢を見たという、お釈迦さまの母マーヤ(摩耶)夫人(ぶにん)の例もある。キリスト教でも同様な例があるのは面白い。
聖ドミニコの母ヨハンナの体内か胎内か、日本語訳からはわからないが、母親の体内をかけめぐった子犬は、聖ドメニコの性格を暗示しているようだ。

こういう伝説があるので、ドミニコ会士は、迷える羊を主人の牧場に連れ戻す犬の役目を果たしているわけなのだ。つまり異端を説得し、正統な信仰に引き戻す役目である。 もっとも有名なのがアルビジョワ派への説教である。アルビジョワ派とは、別名カタリ派といい、南フランスのラングドック地方を中心に広がった、極端な禁欲思想を説いた教えである。 聖ドメニコはアルビジョワ派へ説教を通じて、カトリック伝道には異端派と同様の熱情と厳格主義が必要だと悟って、清貧の生活に入る。聖フランチェスコとは別のアプローチだが、同時代の時代風潮をよく反映しているのではなかろうか。





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(2018年1月7日 情報追加)


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