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2017年9月29日金曜日

ちょっとした違いが大きな効果を生み出す-駅のベンチの並べ替えで転落事故を防止

(新京成電鉄の高根木戸駅にて筆者撮影)

千葉県内を南北に走る新京成電鉄の高根木戸駅のホームをひさびさに利用してみたら、知らないうちに、駅のベンチが新しくなっていた。しかも、並べ方が90度変化しているとに気がついた。線路に対してヨコ方向からタテ方向に並べ替えられていたのだ。

上下線を同じホームで対応する「島式ホーム」の場合だけだが、進行方向に向かってベンチが並べられているのはすばらしい。これだと、上り線だろうが下り線だろうが、あまり気にせず座席に座ることが心理的に可能になる。

進行方向に向かって座るか、背を向けて座るかだけの違いになるからだ。記憶によれば、座席数に変化はないと思う。

(新京成電鉄の高根木戸駅にて筆者撮影)

このタイプのベンチは大阪にもあるようだ。最近は大阪にいってないので気がつかなかったが、この写真をfacebookに投稿したところ、いろいろ意見が寄せられた。その一つをここに紹介しておこう。

「JR西日本を真似たのかもしれませんね。転落事故対策で。立ち上がってふらふらと前に進んで落ちるというのが統計上多かったそうです。酔っ払い客ですが。」

なるほど! 線路に面してベンチがあると、乗降客の少なくなった深夜などは、立ち上がった酔客がフラフラと線路に転落したり、列車に吸い込まれてしまう人身事故もあるわけか。ホームドアがあれば、通過列車のことはいっさい心配する必要はないが、そうでないと酔客(それ以外の自殺志願者も含めて)人身事故が発生するというわけなのだな。

駅のベンチの転落防止用の並べ替えは、ちょっとしたアイデアが大きな違いを生む事例といえよう。英語で言えば A little idea goes a long way. てなところだろう。 実際のところ、転落事故や人身事故がどれくらい減少したのか、検証レポートがあれば見てみたいものだ。

関東ではあまり見ていないので、ぜひ関東の鉄道各社も見習って欲しいアイデアだ。







<ブログ内関連記事>

『新京成電鉄-駅と電車の半世紀-』(白土貞夫=編著、彩流社、2012)で、「戦後史」を振り返る

"世界最小の大仏" を見に行ってきた・・そしてついでに新京成線全線踏破を実行

書評 『京成電鉄-昭和の記憶-』(三好好三、彩流社、2012)-かつて京成には行商専用列車があった!

書評 『「鉄学」概論-車窓から眺める日本近現代史-』(原 武史、新潮文庫、2011)-「高度成長期」の 1960年代前後に大きな断絶が生じた

書評 『鉄道王たちの近現代史』(小川裕夫、イースト新書、2014)-「社会インフラ」としての鉄道は日本近代化」の主導役を担ってきた




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2017年9月28日木曜日

クルド人の独立国家樹立は心情的には共感するのだが・・・。増殖が止められない主権国家の弊害が指摘される現在、「民族自決」原則の積み残し課題はどうなるのか?


イラクのクルド人自治区で独立の是非をめぐって住民投票が実施されると報じられている。(2017年9月25日付け情報)。

イラクとイラン、そしてトルコの三か国にまたがった「クルディスタン」という山岳地帯に居住するクルド人は、いまだに自分たち自身の国をもったことがない民族だ。クルド人にかんしては、「民族自決」が否定されたままなのだ。

第一次世界大戦後、オスマン帝国の崩壊によって、クルド人居住区が三か国に分割されてしまったが、トルコ共和国のケマル・パシャはクルド国家樹立に激しく反対した結果、クルド人は時ぶんんたちの国家をもつことができなかったまま現在に至っている。

(CIAの発表したクルド人居住地域の地図 wikipediaより)


投票が行われても開票に時間がかかり、結果が判明するまでには時間がかかるが、独立支持が過半数を超えると予想されている。住民投票を主催した側は、住民投票の結果、賛成多数となればイラク政府と2年間の期限付きで交渉に入るとしている。


心情的には共感するのだが・・・

個人的には、クルド人の独立国家樹立は心情的には共感するの だが、中東の秩序を大幅に揺るがすことは容易に予想できることだ。大英帝国が設計した「人工国家イラク」は妥協の産物であり、いわゆる「民族国家」ではない。大英帝国の負の遺産というべき存在なのだ。

クルド人国家独立という課題は、イラク内でもハードルが高いだけでなく、なによりもトルコが過敏に反応する問題である。トルコ国内では、たびたびクルド人によるテロが発生している。クルド人は、トルコ国民の13%を占めている。間違いなくトルコは猛反発するだろう。

ISIS(=イスラーム国)掃討戦におけるクルド兵部隊の活躍をみてわかるとおり、かれらは勇猛果敢な戦士でもある。しかも女性部隊すら大いに活躍している。


『クルドの星』(1986~1987年)というマンガ

そんなクルド人テーマにした本は、最近でこそ増えてきたが、かつてはきわめて少なかった。安彦良和氏によるマンガ『クルドの星 全三巻』は、そのなかでも先駆的な作品だ。

日本人の父親とクルド人の母親のもとに生まれた少年を主人公とした冒険活劇プラスアルファ。まあ内容的にはさておき、エンターテイメントとして楽しむべき作品だ。さすが、歴史大作マンガ『虹色のトロツキー』の作者ならではのものだ。いや、ガンダムの作画監督ならではというべきか。

国際情勢は『ゴルゴ13』を筆頭にすべてマンガで学んだというのは自民党の麻生太郎氏だが(笑)、クルド人が置かれた厳しい状況はこのマンガを読めばわかる(はず)。発表は1986年なのでソ連崩壊前、すでに30年前ではあるが、ソ連が崩壊してクルディスタンが旧ソ連のアルメニア国境と接することになった以外は、基本的に大きな情勢変化はない。


「民族自決」原則の積み残し課題はどうなるのか

「民族自決」原則は、帝国主義による植民地主義を否定する米国のウィルソン大統領が、第一次世界大戦後の国際秩序構想として主唱したものだが、いまだ民族独立が実現できない民族は多数ある。

しかしながら、主権国家が細分化され無限増殖しているというソ連崩壊後の弊害が指摘されるようになり、「民族独立運動」そのものにも否定的な見解さえ少なくない。

今週日曜日(2017年10月1日)には、欧州スペインのカタロニア自治区で独立の是非を問う住民投票が行われることになっている。「カタロニアはスペインではない!」。かつて米国留学中に、カタロニア出身の留学生から激しい剣幕で叱られたことを思い出す。「クルドはイラク(あるいはトルコ、イラン)ではない!」

2017年9月のいま、そんな状況にようやく変化が生まれようとしている。その動きについては当事者ではないわたくしも、見守っていきたい。間違いなく「苦難の道」は続くことであろうが。

もちろん、このアジアにおいては、チベットとウイグル、そしてモンゴルもまた同様だ。外モンゴルはソ連の衛星国家としてかろうじて独立を保ったが、中国統治下に残された内モンゴルでは過酷なジェノサイドが行われている。

「民族の牢獄」と批判されていたソ連が崩壊して「諸民族」が解放されたが、いまだ「民族の牢獄」でありつづける中国からの「解放」は達成されていない

クルド人問題は、けっして遠い中東の地の問題ではないのだ。








<関連サイト>

クルド人悲願「独立国家樹立」を阻む難題の山 住民投票は賛成多数になるとみられるが… (池滝 和秀 : 中東ジャーナリスト、東洋経済オンライン、2017年9月26日)

住民投票で独立が遠のいたクルドの根深過ぎる問題(Newsweek日本版、2017年11月11日)


なお、クルド人問題については、拙著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』の第4章(P.268~269)を参照

(2017年11月23日 情報追加)





<ブログ内関連記事>

書評 『イラク建国-「不可能な国家」の原点-』(阿部重夫、中公新書、2004)-「人工国家」イラクもまた大英帝国の「負の遺産」
・・英国が創ったイラクという「人工国家」の不可能性

書評 『イスラム国-テロリストが国家をつくる時-』(ロレッタ・ナポリオーニ、村井章子訳、文藝春秋、2015)-キーワードは「近代国家」志向と組織の「近代性」にある
・・「自称イスラーム国」の首都ラッカが陥落したいま(2017年10月18日)、オスマン帝国崩壊後の越境による国境線引き問題の焦点はクルド人問題に移行する

ブランデーで有名なアルメニアはコーカサスのキリスト教国-「2014年ソチ冬季オリンピック」を機会に知っておこう!
・・マンガ『クルドの星』で重要な意味をもつアララット山は、ブランディーの名前にもなっているようにアルメニア人にとってはきわめて大きな意味をもつ存在だが、現在はトルコ国内にある

『ソビエト帝国の崩壊』の登場から30年、1991年のソ連崩壊から20年目の本日、この場を借りて今年逝去された小室直樹氏の死をあらためて悼む

書評 『「シベリアに独立を!」-諸民族の祖国(パトリ)をとりもどす-』(田中克彦、岩波現代全書、2013)-ナショナリズムとパトリオティズムの違いに敏感になることが重要だ

書評 『ノモンハン戦争-モンゴルと満洲国-』(田中克彦、岩波新書、2009)-もうひとつの「ノモンハン」-ソ連崩壊後明らかになってきたモンゴル現代史の真相

「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる

(2017年10月20日 情報追加)



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2017年9月27日水曜日

JBPress連載第9回目のタイトルは、「「先進的」伝統を作り出した英国の2人の女王-脇役のアルバート公もロールモデルに」(2017年9月26日)


JBPressの連載コラムの最新コラムが本日公開です。連載開始から9回目となります。

タイトルは、「「先進的」伝統を作り出した英国の2人の女王-脇役のアルバート公もロールモデルに」
⇒ ここをクリック http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51114

NHKで2017年7月30日から9月17日まで合計8回にわたって放送された海外歴史ドラマ『女王ヴィクトリア 愛に生きる』をご覧になったでしょうか?

62年間の在位期間を誇り、大英帝国の全盛期を象徴するヴィクトリア女王(1819~1901年)を主人公にした歴史ドラマで、即位してからの最初の4年間を描いたものでした。

この歴史ドラマを題材に、配偶者をもって子どもを産んでいる二人の英国女王、ヴィクトリアとエリザベスについて、その「先進的モデル」のもつ意味について考えます。

女王ヴィクトリアの影(?)にアルバート公という「脇役」のローウモデルあり。この組み合わせが「先例」となって、エリザベス二世とフィリップ殿下という組み合わせ、さらには旧植民地の独立後のインド圏での女性首相たち誕生にも影響があったかもしれません。

さらに、歴史ドラマの正しい(?)見かたについても考えます。

では、本文をお読みいただきますよう。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51015


次回の更新は2週間後の10月10日の予定です。お楽しみに。



<ブログ内関連記事>

NHK海外ドラマ 『女王ヴィクトリア 愛に生きる』(全8回)が面白い(放送:2017年7月30日~9月17日)-18歳で即位してからの4年間を描いた歴史ドラマ

書評 『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)-知的刺激に満ちた、読ませる「大英帝国史」である

JBPress連載第2回目のタイトルは、「怒れる若者たち」の反乱-選挙敗北でメイ首相が苦境に、目を離せない英国の動向」(2017年6月20日)





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2017年9月24日日曜日

熟れつつあるゴーヤは三色に変化-外皮が緑から黄色に変化するだけでなく中身のタネが深紅な物体に!

(まさに「色の三原色」そのものの熟れたゴーヤ 筆者撮影)


近在の農家の野菜直売所で買ってから2~3日そのまま常温で放置していたゴーヤ(=苦瓜)が、あれよあれよというまに黄色くなっていった。

先端が黄色くなったのを見て、早く食べないと思っていた翌日、気がついたら全体的に黄緑色に変色。やばいなあと思って、ビニール袋に入れてあったゴーヤを手で持ち上げたら、先端がポロリと崩れ落ちた。

しかも驚いたことに、中から出てきたのは鮮やかな深紅に変色した物体。なんだ、これは!ギョっとするほどのオドロキだ。気持ち悪い、というのがそのときの正直な感想だった。

タネがこんなにぬるぬるで深紅に変化してしまうとは! 食用のためのゴーヤの「劣化」は、じつに速い! 

(上掲の写真のゴーヤの全体 筆者撮影)

食用としては、緑色で固い状態のゴーヤを輪切りにして、なかのワタとタネを取り除いてから調理するのだが、白くて固いタネが、深紅でゼリー状の物質にくるまれたタネに変化してしまうとは!

見慣れぬものを見ると、人間はまずは驚くというのが最初の反応だ。宗教学でいう「ヌミノーゼ」感覚に近いものがあうといっても過言ではないだろう。畏怖と魅惑の両義的な感覚のことだ。

(調理前に輪切りにしてワタとタネを取り除いたゴーヤ 筆者撮影)

あらためて、wikipedia で「ゴーヤ」を検索すると、そのまま「ツルレイシ」の項目に飛ぶ。ツルレイシを漢字で書けば蔓茘枝。ウリ科の植物である。項目には以下のような記述がある。

熟すと黄変軟化し裂開する(収穫しても、常温で放置しておくと同じ状態となる)。完熟した種子の表面を覆う仮種皮は赤いゼリー状となり甘味を呈する。腐敗しているわけではなく食すこともできるが、歯ごたえのある食感は失われる。元来野生状態では、この黄色い果皮と赤くて甘い仮種皮によって、果実食の鳥を誘引し、さらに糞便によって種子散布が行われる。
なるほど、さらにこのまま放置したら、裂けて果実が開くわけか。

黄色くなったゴーヤも食べることはできるようだが、歯ごたえはないようだ。しかも、深紅のタネの仮種皮もまた食べることができるようだ。

考えてみればパパイヤみたいな感じでもある。パパイヤはパパイア科目の常緑樹木であって、一年草のウリ科の植物ではないし、タネも小粒で真っ黒。黄色いパパイアはデザートになるが、緑のパパイアはサラダにする。ゴーヤにかんする wikiの記述を先に読んでいれば、黄色いゴーヤと深紅のゼリーも食べてみたかもしれない。

ゴーヤの立場から見れば、生命をつなぐために必要不可欠なことではあるのだが、もっぱら食用として利用している人間にとっては「迷惑」な話ではある。

とはいえ、緑と黄色と深紅の三色という、なんだか「色の三原色」を見せられたような感じで、自然界の不思議さをまた大いに感じさせられたのでもあった。


(農家の野菜直売所で購入した秋の味覚 なすはおまけ 筆者撮影)






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ゴーヤ棚はすでに日本の夏の風物詩

万病に効く!-パパイヤ健康法のススメ

「世界のヒョウタン展-人類の原器-」(国立科学博物館)にいってきた(2015年12月2日)-アフリカが起源のヒョウタンは人類の移動とともに世界に拡がった


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2017年9月23日土曜日

「白い彼岸花」をはじめて見た-目の前に現れた現実が固定観念や常識を壊していく


本日9月23日は秋分の日。お彼岸ですね。

お彼岸といえば彼岸花。ちょうどお彼岸の頃に咲く真っ赤な花。葉っぱのない茎だけの植物に毒々しいまでの真っ赤な花が咲く。

お彼岸のことに咲く彼岸花は赤だと思い込んでいましたが、白い彼岸花もあることを生まれてはじめて知りました。散歩中のことです。へえ、という感じです。固定観念を完全に打ち砕かれた思いです。


生まれてはじめて目にした白い彼岸花。でも考えてみれば、白い彼岸花のほうが、白百合みたいに清浄で、仏教っぽいような気もします。

東南アジアの上座仏教圏では仏前に供えるのは白蓮日本では霊前にふさわしいのは白菊。いずれも共通するのは白。この感覚はアジアでは朝鮮民族以外は共通しています。

彼岸花は真っ赤な花ですが、白い彼岸花もある。赤と白。不思議なコントラストでありますね。固定観念を破るのは、つねに目の前に現れた現実。幻影(まぼろし)ではない現実(うつつ)。写真は、その証拠が残存させる。
  
事実を事実として受け取ることが、あらたな発見と認識の変化をもたらすわけです。そしてそれは仏教的なものの見方でもあります。

これからは、彼岸花といえば赤という「常識」を捨てることにしたいと思います。「気づき」をありがとうございます。合掌。



<ブログ内関連記事>

彼岸花(ひがんばな)で正確な季節を知る

「ながつきの 彼岸過ぎても 彼岸花」

「無憂」という事-バンコクの「アソーク」という駅名からインドと仏教を「引き出し」てみる ・・「無憂花」(むゆうか)は仏典にも登場するインドの花

「におい」で秋を知る-ギンナンとキンモクセイは同時期に「臭い」と「匂い」を放つ・・・





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木になるからキウイ!? ー ニュージーランド産が普及するキウイだがトロピカルフルーツではない!

(千葉県船橋市内にて筆者撮影)

キウイというとニュージーランドという連想が「ゼスプリ」ブランドのプロモーションによって固定観念にまでなっているかもしれません。

ニュージーランドは南半球にあるので、南国イメージがあるキウイですが、トロピカルフルーツではありません。ニュージーランドは亜熱帯から温帯気候。キウイは、日本でも栽培が可能なことは、店頭で産地情報を見ていればわかることでしょう。

この写真はキウイがなっている様子を写真に撮ったもの。散歩中に撮影。いまの季節は秋。キウイもまた秋の実り。 もちろん「木になるからキウイ」ではありませんよ(笑) 気になる話ではありますが。

キウイ(kiwi)はニュ-ジーランドに生息する「飛べない鳥」の仲間。ニュ-ジーランドが特産物にするためにキウイフルーツと命名したからキウイとなったわけです。

キウイフルーツは、ネコが大好きな「マタタビ属」の植物です。そう考えると、人間が好きなキウイというのは不思議なフルーツでありますねえ。




<ブログ内関連記事>

ゼスプリ(Zespri)というニュージーランドのキウイフルーツの統一ブランド-「ブランド連想」について

"あきづき" という梨の新品種について

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タイのホテルの朝食はオールシーズン「フルーツ三点セット」-タイのあれこれ(番外編)

イスラエル産スウィーティーの季節


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2017年9月18日月曜日

写真集 『妖怪の棲む杜 国立市 一橋大学』(伊藤龍也、現代書館、2016)で、ロマネスク風建築にちりばめられた建築家・伊東忠太の「かわいい怪物たち」を楽しむ

(一橋大学の国立キャンパス)


建築家・伊東忠太の代表作といえば、東京は築地本願寺のインド風の寺院建築物ということになうだろう。

ずいぶん昔のことになるが、はじめて築地本願寺を見たとき、ほんとうに不思議な感じがしたものである。浄土真宗のお寺なのに、ぜんぜん日本風ではないからだ。あまりにもエキゾチックな仏教寺院。


(伊東忠太設計になる築地本願寺 筆者撮影)


インド風ということでいえば、千葉県市川市の中山法華経寺にもインド風の建造物があるが、こちらはあまり知られていないようだ。日蓮聖人関連の宝物を収蔵した「聖教殿」である。一般的には、日蓮宗のほうがインド風の建造物は似合っているといえよう。

築地本願寺が浄土真宗でありながらインド風の建築物となったのは、大陸に雄飛した大谷光瑞の趣味も反映しているのであろう。


(伊東忠太設計になる中山法華経寺の「聖教殿」 筆者撮影)


伊東忠太が、法隆寺はギリシアのパルテノン神殿のエンタシスの影響にあるという説を打ち出したのは、みずからの3年におよぶユーラシア大陸横断というフィールドワークで得た知見によるものだ。このように、伊東忠太は建築家であると同時に建築史家であり、スケールの大きさはユーラシア大陸を股にかけた調査旅行から生まれてきたのであった。


インド風建築だけが伊東忠太の代表作ではない

だが、インド風建築だけが真骨頂ではない。一橋大学(当時は東京商科大学)のキャンパスにある兼松講堂もまた伊東忠太の代表作の一つである。

テレビドラマのロケでよく使用されるので、見たことがある人も少なくないだろう。直近では、土曜日午後6時からNHK総合でやっていた土曜時代ドラマ『悦ちゃん-昭和駄目パパ恋物語-』の最終回(2017年9月16日)で兼松講堂と図書館と池が使用されていた。主人公を演じたユースケ・サンタマリアの後ろにあるのが「兼松講堂」だ。獅子文六の原作は1936年(昭和11年)なので、時代的にもこの建築物はドラマのはふさわしい。


(ドラマ『悦ちゃん』のテレビ画面より筆者がキャプチャ) 


この建築物は、現在では講堂以外にコンサートホールとしても使用されているが、外観は西欧中世のロマネスク風である。バロックが近代であれば、ゴチックは後期中世、それ以前がロマネスクとなる。

ロマネスクとは文字通りの意味ではローマ風ということになるのだが、じっさいはキリスト教と土着信仰の融合的存在ともいうべきものであり、そのため建築物の外装には多数の怪物たちが彫刻されているのである。


ロマネスク風建築にちりばめられた「怪物たち」は伊東忠太の創作物

写真集『妖怪の棲む杜 国立市 一橋大学』(伊藤龍也、現代書館、2016)は、伊東忠太が愛した「怪物」たち(・・写真家は「妖怪」と表現しているが)に魅せられた写真家による写真集である。

ヨーロッパ中世史を専攻したわたしは、とくに考えることもなく「ガーゴイル」(・・西欧風建築物にある雨樋の上につけられた怪物の彫刻)だろうと思い込んでいたのだが、建築史家の藤森照信氏によれば、伊東忠太が創作した怪物たちも多数混じっているとのことを知った。この点にかんしては、『伊東忠太動物園』(藤森照信=編・文、増田彰久=写真、伊東忠太=絵・文、筑摩書房、1995)を参照するとよい。

ところで、昭和初期の1931年(昭和6年)に来日して、東京商科大学(=一橋大学)の国立キャンパスを訪れた経済学者シュンペーターは、 暖房設備が不備なことをわびた関係者に対して、"University is not a building."(=大学は建物ではない) と英語で語ったという。

大学の学部が市内に散在しているのが当たり前の西欧出身のシュンペーターとしては当たり前の発言であったことだろうが、伊東忠太の建築物のファンからすれば、「いや建築物こそ大学」と言いたいところだ。

建築史という未開の分野を拓いたパイオニアである一方、「化け物」をこよなく愛し、ひたすら妖怪の画を描き続けた伊東忠太。

ひそかに作り込まれた怪物たちは、じっさいに一橋大学の国立キャンパスに足を運んで見るべきだが、この写真集で楽しんでみるのもいいだろう。





<関連サイト>

「怪物の棲む講堂」 - 一橋大学 (藤森照信)
・・建築史家の藤森照信氏による解説は、伊藤忠太への愛に満ちたオマージュ


<ブログ内関連記事>

書評 『「くにたち大学町」の誕生-後藤新平・佐野善作・堤康次郎との関わりから-』(長内敏之、けやき出版、2013)-一橋大学を中核にした「大学町」誕生の秘密をさぐる

ここにも伊東忠太設計のインド風建築物がある-25年ぶりに中山法華経寺を参詣(2015年1月20日)

「築地本願寺 パイプオルガン ランチタイムコンサート」にはじめていってみた(2014年12月19日)-インド風の寺院の、日本風の本堂のなかで、西洋風のパイプオルガンの演奏を聴くという摩訶不思議な体験 
・・築地本願寺もまた伊東忠太の設計によるインド風建築物


建築家関係

「信仰と商売の両立」の実践-”建築家” ヴォーリズ
・・メンソレータムの生みの親のヴォーリスは、キリスト教伝道のために日本に来たアメリカ人だが、日本に洋風建築を普及させた人でもある

「ルイス・バラガン邸をたずねる」(ワタリウム美術館)
・・ピンクの色調が特徴のメキシコの建築家

『連戦連敗』(安藤忠雄、東京大学出版会、2001) は、2010年度の「文化勲章」を授与された世界的建築家が、かつて学生たちに向けて語った珠玉のコトバの集成としての一冊でもある

本の紹介 『建築家 安藤忠雄』(安藤忠雄、新潮社、2008)
・・いわずとしれた世界的建築家。ヴォーリズとは対照的に、饒舌な人である

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