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2017年10月22日日曜日

書評 『日本教の社会学』(山本七平/小室直樹、ビジネス社、2016 単行本初版 1981)-「日本教」というキーワードで日本社会をあざやかに分析した濃密かつ濃厚で骨太な議論


晴耕雨読というわけではないが、台風接近中の土曜日は読書に専念。2017年10月22日(日)は衆議院総選挙の投開票日だが、季節外れの超大型台風が日本列島を直撃している。

昨年末に購入したが未読だった『日本教の社会学-戦後日本は民主主義国家にあらず-』(ビジネス社、2016)を読む。

この本は、これぞ本当の「知の巨人」であった小室直樹氏と、おなじく在野の骨太の思想家であった山本七平氏の共同作業による共著。1981年に出版された本だが、長らく絶版となっていたものが昨年ようやく復刊されたものだ。

山本七平が提示した「日本教」というキーワードを、小室直樹が社会科学の観点から現実分析のツールとして鍛え上げた試みである。

「神学」という観点からみた「日本教」の分析はきわめて知的刺激に富んでいる。教義(ドグマ)、救済儀礼(サクラメント)、神議論(テオディツェー)。いずれも聞き慣れない用語だが、有効な分析概念だ。キリスト教徒で聖書関係の出版社を経営していた山本七平と、超人的ともいえる学者・小室直樹の対談形式だが、濃厚で濃密な内容で飽きが来ない。

「日本教」というのは、日本人が暗黙のうちに従わざるを得ない「見えない宗教」のようなものだ。仏教だろうが、キリスト教だろうが、結局は日本流に改造されてしまう理由がそこに求められる。マルクス主義もまた同様だ。

この観点から分析すると、近代以降の日本社会は「戦前」も「戦後」も基本的に変化していないとわかる。いままさに総選挙の最中だが、日本社会はほとんど何も変わっていないのだなと思わざるを得ない。だが逆にいえば、日本社会の基本的構造とメカニズムが理解するには、これ以上ないといっていいほどの分析ツールになっていると思う。

本書のなかで、なんといってもいちばん興味深いのは最終章である「第9章 日本資本主義精神の基盤-崎門(きもん)の学」で詳細に取り上げられている浅見絅斎(あさみ・けいさい)の思想だ。
  
浅見絅斎は、17世紀後半から18世紀にかけて生きた儒学者で独創的な思想家だが、その圧倒的影響が「明治維新革命」につながったとする議論。なぜか現在では、ほぼ完全に忘れ去られて顧みられることのない思想家だが、その「(政治的)正統性」にかんする議論が「尊皇思想」を生み出した点は、大いに注目しなくてはいけないだろう。

小室直樹と山本七平の両氏は、1980年代には当時の「知的ビジネスマン」(・・あえてマンと書いておく)に多大な影響力のあった人たちだが、すでに亡くなってから久しい。したがって、1981年に出版された本書の内容も、出版当時の時事的話題など部分的には古くなっている点は否定できないが、それでも内容的には現在でも十二分に説得力がある。

山本七平氏は、日本人を無意識に動かしている「空気」について最初に指摘した人として現在でも記憶されているだろう。さらに「日本教」という概念を提示した点も記憶されるべきだろう。

骨太な議論が好きな人には、ぜひ薦めたい本だ。





目 次

まえがき(小室直樹)
第1部 日本社会の戦前、戦後
 第1章 戦後日本は民主主義国家ではない
 第2章 戦前日本は軍国主義国家ではない
第2部 神学としての日本教
 第3章 宗教へのコメント
 第4章 日本教の教義(ドグマ)
 第5章 日本教の救済儀礼(サクラメント)-自然、人間、本心、実情、純粋、序列、結婚
 第6章 日本教における神議論(テオディツェー)
 第7章 日本教ファンダメンタリズム
第3部 現代日本社会の成立と日本教の倫理(エティーク)
 第8章 日本資本主義の精神
 第9章 日本資本主義の基盤-崎門(きもん)の学
「まとめ」-あとがきにかえて(山本七平)



著者プロフィール

山本七平(やまもと・しちへい)
1921年東京生まれ。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。以後、「日本人論」で社会に大きな影響を与えてきた。その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。評論家。山本書店店主。1991年逝去。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


小室直樹(こむろ・なおき)
1932年東京生まれ。京都大学理学部数学科卒業。大阪大学大学院経済学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科修了(東京大学法学博士)。この間、フルブライト留学生として、ミシガン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学各大学院で研究生活を送る。2010年逝去。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






<ブログ内関連記事>

書評 『「空気」と「世間」』(鴻上尚史、講談社現代新書、2009)-日本人を無意識のうちに支配する「見えざる2つのチカラ」。日本人は 「空気」 と 「世間」 にどう対応して生きるべきか?
・・山本七平といえば「空気」

『ソビエト帝国の崩壊』の登場から30年、1991年のソ連崩壊から20年目の本日、この場を借りて今年逝去された小室直樹氏の死をあらためて悼む
・・これぞ本当の「知の巨人」であった小室直樹

書評 『異端力のススメ-破天荒でセクシーな凄いこいつら-』(島地勝彦、光文社文庫、2012)-「常識に染まらず、己の道を行く」怪物たちの生き様
・・「著者は、集英社インターナショナル社長時代に、小室直樹には『痛快!憲法学』、『日本人のための憲法原論』や『日本人のためのイスラム原論』など書かせた編集者」

書評 『見える日本 見えない日本-養老孟司対談集-』(養老孟司、清流出版、2003)- 「世間」 という日本人を縛っている人間関係もまた「見えない日本」の一つである

書評 『西郷隆盛と明治維新』(坂野潤治、講談社現代新書、2013)-「革命家」西郷隆盛の「実像」を求めて描いたオマージュ

『雨夜譚(あまよがたり)-渋沢栄一自伝-』(長幸男校注、岩波文庫、1984)を購入してから30年目に読んでみた-"日本資本主義の父" ・渋沢栄一は現実主義者でありながら本質的に「革命家」であった
・・本書の「まとめ」で、日本の近代資本主義を用意した「勤労のエトス」と「町人的合理性」、そして「下級武士のエトス」を合わせ持っていた具体的人物として渋沢栄一を取り上げている

『論語と算盤』(渋沢栄一、角川ソフィア文庫、2008 初版単行本 1916)は、タイトルに引きずられずに虚心坦懐に読んでみよう!





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2017年10月21日土曜日

「disruption」 を「破壊的」と訳すのは適当ではない

(Disrupt yourself before someone else does.)

「破壊的テクノロジー」という日本語が定着してしまっている。

ハーバード・ビジネス・スクール教授であったクリステンセン教授のベストセラー『イノベーションのジレンマ』キーコンセプトが「Disruptive technology」。そしてこれが、「破壊的テクノロジー」と日本語化されたためだ。

英語の disruptive は動詞 disrupt の形容詞形。名詞形は disruption である。

だが、英語のニュアンスからすると、「disrupt」 は中断するとか、断絶するという意味なので、「破壊的」というと、なんか違うのではないか、と疑問がわく。日本語の「破壊」というのは、「壊して粉々に砕く」というニュアンスがあるためだ。

むしろ、 「断絶するテクノロジー」というのがニュアンス的には近いと思う。従来の、既存のテクノロジーの延長線の流れを断絶してしまう、断ち切ってしまうテクノロジーというのが本来の意味に近いのではないか?

そんな疑問をつねづねもっていたが、「disruption」 を理解するのに、いい画像を見つけた。 冒頭に掲載した写真だ。

キャプションには、Disrupt yourself before someone else does. (= disrupt される前に自分が disrupt してしまえ)とある。誰か他の者にされる前にしてしまえ、といった意味だろう。GE中興の祖であったジャック・ウェルチの名言 Control your destiny or someone else will. に通じるものがある。

つまり、「disruption」とは「破壊的」というよりも、「断絶的」といったほうが正しいことが「見える化」されているのである。

同様の例はほかにもある。

たとえば、「Virtual Reality」 が「仮想現実」と訳されて定着してしまっているが、これもニュアンスが違う。「virtual」というのは「実質的に」という意味。「仮想」でも間違いではないが、ニュアンスが異なる。

そのようなものだ、といってしまえばそれまでだが、英語の本来のニュアンスが正しく伝わっていないということは、アタマのなかに入れておいたほうがいいだろう。





<ブログ内関連記事>

Winning is NOT everything, but losing is NOTHING ! (勝てばいいいというものではない、だけど負けたらおしまいだ)

Eat Your Own Dog Food 「自分のドッグフードを食え」

put yourself in their shoes 「相手の立場になって考える」

When Winter comes, can Spring be far behind ? (冬来たりなば春遠からじ)




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「槌と鎌」のシンボルマークに注目せよ!-これが「中国共産党」の本質だ

(中国共産党の「槌と鎌」のシンボルマーク)

2017年10月18日から24日までの7日間の予定で、5年に1回の「中国共産党大会」が北京で開催されている。1921年に上海で共産党が結成されてから19回目の党大会となる。

「中国共産党大会」は、略して「党大会」ともいうが、正式名称は「中国共産党全国代表大会」という。中共の最高機関である。中国は実質的に共産党の一党独裁なので、「中国共産党大会」が最高指導機関となる。

「中国共産党大会」で決定されることは、重大問題の討論と決議、党規約の修正、中央委員会、中央紀律検査委員会メンバーの選挙である。習近平の今後の5年間の統治がいかなるものになるか、全世界が注目している。

(最高指導者の習近平を真ん中にした集合写真 ネットより)

だが、ここで注目して欲しいのは会議の内容だけではない。最高指導者の習近平を真ん中にした集合写真の背後にあるゴールドの「槌(つち)と鎌」のマークだ。このマークに見覚えがないだろうか?

冷戦構造崩壊からすでに20年が過ぎたいまとなっては記憶にないかもしれないが(・・あるいはまだ生まれてない?)、これこそ「ソビエト共産党」のシンボルマークであった。ソ連国旗の左上にあるのが「槌と鎌」のシンボルマーク(下の画像を参照)。

「槌と鎌」は、それぞれ「槌(つち)」(=ハンマー)で労働者を、「鎌」で農民をシンボライズしている。英語では Hammer and Sickle (ハマー・アンド・シックル)という。

(ソ連国旗)

労働者が革命の主体になるとしたのは西欧流のマルクス主義であったが、革命はことごとく失敗に終わっている。本家本元の西欧は資本主義化の進んだ先進国であったにもかかわらず、理論どおりの共産主義革命は成功しなかったのだ。

ところが、遅れて資本主義化が始まったロシアの現実を熟知していたレーニンは、労働者だけでなく農民もまた革命の担い手であるとした。革命当時のロシアは、圧倒的多数を占めていたのは労働者ではなく農民であった。

2017年は「ロシア革命」から100年となる年だが、革命後のソ連初期には「ソビエト労農政府」と呼ばれていたことを想起したいものである。

(「槌と鎌」は英語で 「Hammer and Sickle」)

現在の中国は共産党の一党支配であるが、江沢民が企業家の入党を認めるなど、実質的に資本主義化しているというのが日本人、とくに日本人ビジネスパーソンの一般的な理解だろう。

だが、中国共産党による一党独裁の状況に変化はなく、習近平の独裁権力強化とともに、かえって中国共産党の共産党色が前面に打ち出されてきているのが現状なのだ。

習近平は、「建国100年となる2049年までに社会主義の現代的教国を築く」と演説している。1949年の建国、すなわち中国大陸の制覇から2049年までの100年。いわゆる「100年マラソン」である。

(NHkのニュース報道よいキャプチャ)

国内の統制を強化して自由を抑圧し、汚職退治に精を出し、ビジネス活動にも制限を加えると見られている習近平独裁化の行き着く先は、旧ソ連のスターリン型の恐怖政治かもしれない、という説を主張する者もいる。

自由を抑圧するシンボルとして「見える化」されているのが「槌と鎌」。中国共産党は、その本質はいささかも変化はない。そもそも、共産主義であろうがなかろうが、中国やロシアは「東洋的専制主義」だということは「常識」とすべきだろう。いや、そういう体質だからこそ、ソ連や中共の共産主義化が専制主義的になったのだ。

見よ、中国共産党の本質を! 中国共産党は、けっして「赤」から「緑」に変わることなどあり得ないということを肝に銘じなくてはならないのだ。






<ブログ内関連記事>

天安門事件(1989年)から20年か・・

「天安門事件」から25年(2014年6月4日)-天安門は「見る」ものではなく、そこに「立つ」べきものだ

書評 『香港バリケード-若者はなぜ立ち上がったのか-』(遠藤誉、深尾葉子・安冨歩、明石書房、2015)-79日間の「雨傘革命」は東アジア情勢に決定的な影響を及ぼしつづける

書評 『チャイナ・セブン-<紅い皇帝>習近平-』(遠藤誉、朝日新聞出版社、2014)-"第2の毛沢東" 習近平の「最後の戦い」を内在的に理解する

書評 『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』(遠藤誉、WAC、2013)-中国と中国共産党を熟知しているからこそ書ける中国の外交戦略の原理原則

書評 『パックス・チャイナ-中華帝国の野望-』(近藤大介、講談社現代新書、2016)-2012年に始まった「習近平時代」を時系列で振り返るとクリアに見えてくるもの

書評 『「東洋的専制主義」論の今日性-還ってきたウィットフォーゲル-』(湯浅赳男、新評論、2007)-奇しくも同じ1957年に梅棹忠夫とほぼ同じ結論に達したウィットフォーゲルの理論が重要だ

書評 『中国4.0-暴発する中華帝国-』(エドワード・ルトワック、奥山真司訳、文春新書、2016)-中国は「リーマンショック」後の2009年に「3つの間違い」を犯した




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2017年10月10日火曜日

JBPress連載第10回目のタイトルは、「解散総選挙は日本の政治制度の“伝統”だった-大義があろうがなかろうが総選挙は民意を反映する」(2017年10月10日)


JBPressの連載コラムの最新コラムが本日公開です。今回で連載開始からめでたく10回目となります。

タイトルは、「解散総選挙は日本の政治制度の“伝統”だった-大義があろうがなかろうが総選挙は民意を反映する」
⇒ ここをクリック http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51266

2018年は1868年の「明治維新革命」から150年目になります。2018年を「明治150年」と捉え直してみると、「戦前」と「戦後」という二分法とは異なる歴史の流れがみえてきます。

日本近現代史は、明治維新以降、連続していると考えるべきでしょう。それが証拠に、1890年に施行された「大日本帝国憲法」のもとでも、衆議院の解散は行われていたのです。

大日本帝国憲法が1890年に施行されてからすでに120年近く。解散総選挙は日本の政治制度の“伝統”だったといっても過言ではないのです。

では、本文をお読みいただきますよう。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51266


次回の更新は2週間後の10月24日の予定です。お楽しみに。



PS いまふと気がついたが、連載第10回は10月10日のことであった。10月10日は、「10」が二つの「双十節」で、台湾(=中華民国)の建国記念日だが、その日に「10」が3つ重なる慶事となっていたわけだ。めでたいことである。と、気づいたのが10月20日。面白い暗合だな。(2017年10月20日 記す)。



<ブログ内関連記事>

JBPress連載第2回目のタイトルは、「怒れる若者たち」の反乱-選挙敗北でメイ首相が苦境に、目を離せない英国の動向」(2017年6月20日)

「主権在民」!-日本国憲法発布から64年目にあたる本日(2011年5月3日)に思うこと

「戦後70年」のことし2015年は「日本国憲法」発布から68年になる(2015年5月3日)

『愛と暴力の戦後とその後』 (赤坂真理、講談社現代新書、2014)を読んで、歴史の「断絶」と「連続」について考えてみる

書評 『憲法改正のオモテとウラ』(舛添要一、講談社現代新書、2014)-「立憲主義」の立場から復古主義者たちによる「第二次自民党憲法案」を斬る

「是々非々」(ぜぜひひ)という態度は是(ぜ)か非(ひ)か?-「それとこれとは別問題だ」という冷静な態度をもつ「勇気」が必要だ
・・価値観多様化は「是々非々」の政治的選択を生む




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2017年10月9日月曜日

映画 『ドリーム』(2016年、米国)を見てきた(2017年10月9日)-米ソ冷戦時代の熾烈な宇宙開発競争という「非常時」のなか、「知られざる黒人女性たち」が突破口を開いた!


映画 『ドリーム』(2016年、米国)をTOHOシネマズで見てきた(2017年10月9日)。原題は、Hidden Figures(=知られざる人たち)

米ソ冷戦時代の熾烈な宇宙開発競争という「非常時」のなか、NASA(アメリカ航空宇宙局)の有人宇宙ロケット打ち上げミッションを支えた「知られざる黒人女性たち」の実話にもとづいた作品だ(Based on the true events)。

日本語版の『ドリーム』というのは、ちょっといただけない。日本語でいえば、「縁の下の力持ち」というべきであろう。


■「人種の壁」と「男女の壁」に風穴を開けた黒人女性たち

映画の舞台である NASAのラングレー研究所は、南部のヴァージニア州にある。

 「公民権法」(1964年)が施行される前のアメリカ南部では、「人種隔離政策」(=セグレゲーション)が公然と実施されていた。黒人は公然と差別されていたのだ。

「ホワイト」(=白人)と「カラード」(=有色人種)で完全に区分されていたのはバスの座席だけではない。トイレも、図書館も、その他すべての公共施設が厳密に「区分」されていた。する側の白人からみたら「区分」であっても、される側の黒人にとっては「差別」以外の何物でもないという現実。

NASAの開発プロジェクトもまた、白人男性の科学者やエンジニアが支配的地位にある世界。そんな状況のなか、ロケットの軌道計算に従事していた黒人女性たちが、「人種の壁」と「男女の壁」に突破口を開くことに成功したのはなぜか?

1961年当時の冷戦時代の米国は、宇宙開発競争でソ連に遅れをとっていたのだ。「地球は青かった」という名セリフをクチにしたのはソ連のガガーリン大佐である。

追い詰められるNASAの開発陣。そんな「非常時」ともいうべき状況においては、モノを言うのは実力だ。人種の違いも男女の違いも関係ない。結果を出すことで実力が認められていったのだ。

コメディタッチのヒューマンドラマだが、最後まで見たらかならず感動するのは間違いない。いい映画だった。



■「プログレス」(=進歩)の時代がもたらしたもの

1960年代というプログレス(=進歩)の時代、飛躍的に進歩したのはテクノロジーだけでない。人種差別と男女差別にかんしても進歩が実現した。

「冷戦」とはいえ、まさに「有事」であり「非常時」であったからこそ、開発競争において背に腹は代えられなかったのだ。そんな状況であったからこそ、白人男性が支配する科学技術の世界で、黒人女性科学者とエンジニアたちの道が開かれたのであった。チャンスをつかんだのである。

「私には夢がある」(I have a dream)と語ったキング牧師のような活動家たちだけが「黒人解放」を推進したのではない。この映画の主人公たちのような「知られざる人物たち」がいたのだ。

個人的な話になるが、わが母校のレンセラー工科大学(RPI)の現在の学長のシャーリー・アン・ジャクスンは黒人女性の科学者だ。MITで博士号を取得した米国初の黒人女性で、物理学での博士号取得は黒人女性では米国で二番目に当たる。RPIの学長職で黒人女性は初めてのことになる。2014年には、オバマ前大統領から「アメリカ国家科学賞」(National Medal of Science)を授与されている。

シャーリー・ジャクスン氏は1946年生まれ。この映画の主人公たちがNASAでミッションに従事していた頃はまだ15歳だったことになる。彼女たちが切り開いた道に続いていった世代の人だ。

そういう自分にとっては、この映画が描いている世界は、じつに感慨深いのである。





■「プログレス」は諸刃の剣

映画のなかでケビン・コスナー演じる開発部長が口にするセリフに、「プログレスは諸刃の剣」(Progress is double-edged sword)というものがある。「進歩」は人類社会にベネフィットをもたらす、一方、技術の陳腐化をもたらし、仕事がなくしてしまうことにもつながる。

追い込まれた宇宙開発プロジェクトの開発責任者は、IBMのメインフレームコンピュータを導入することで、一気に計算時間を短縮することにする。だがこのために、「縁の下の力持ち」であった黒人女性たちが従事していた計算係という職業があっというまにお払い箱になってしまう。

そんな状況を見越して、職場でプログラムの勉強会を開始する先見の明をもった黒人女性のリーダーシップも印象に残る。

技術の進歩は現在でも止まることなく続いている。だがそれを「プログレス」とは言わなくなったような気もする。「プログレス」といいうと、資本主義であれ社会主義であれ、あの時代のバズワードであった。ソ連的な響きでもあり、アメリカ的な響きでもあった。

ともに未来志向の人工国家であったソ連と米国。この二大超大国が熾烈な競争を行っていた時代こそ、プログレスといえるようなプログレスが存在したのではないか?

退歩や後退といった側面さえ見られなくない2010年代の現在からみると、1960年代はきわめて多くの問題を抱えながらも、希望に満ちた時代であった気がしなくもないのである。

その意味では日本語版のタイトル『ドリーム』は、あながち的外れではないのかもしれない。過ぎ去った過去の時代に生きた人たちを描くのにあたって。







<関連サイト>

映画『ドリーム』 公式サイト(日本版)

映画『ドリーム』は、ついにNASAの「隠れたヒーロー」を描き出すことに成功した (WIRED日本版、2017年9月28日)


<ブログ内関連記事>

宇宙関連

「地球は青かった」(ガガーリン)-いまから55年前の本日、世界初の有人宇宙飛行に成功(2016年4月12日)

日本人が旧ソ連の宇宙飛行船「ソユーズ」で宇宙ステーションに行く時代

映画 『オデッセイ』(2015年、米国)を見てきた(2016年2月7日)-火星にたった一人取り残された主人公は「意思のチカラ」と「アタマの引き出し」でサバイバルする


冷戦構造と航空宇宙開発の劇的な進歩

書評 『ランド-世界を支配した研究所-』(アレックス・アペラ、牧野洋訳、文藝春秋、2008)-第二次大戦後の米国を設計したシンクタンクの実態を余すところなく描き切ったノンフィクション

レンセラー工科大学(RPI : Rensselaer Polytechnic Institute)を卒業して20年(2012年5月23日)


数学とコンピュータ

月刊誌 「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2013年11月号の 「特集 そして、「理系」が世界を支配する。」は必読!-数学を中心とした「文理融合」の時代なのだ

書評 『コンピュータが仕事を奪う』(新井紀子、日本経済新聞出版社、2010)-現代社会になぜ数学が不可欠かを説明してくれる本


■人種間の壁を破った人たち

キング牧師の "I have a dream"(わたしには夢がある)から50年-ビジョンをコトバで語るということ
・・非暴力主義のキング牧師

追悼 エルヴィス逝って40年(2017年8月16日)-「ゴスペルを愛してやまなかったエルヴィスの内奥を本当に理解しない限り、エルヴィスをありのまま愛することはできない・・・・」
・・「南部のバイブルベルトに生まれ育ち、黒人音楽と白人音楽を一身において融合したという、音楽の分野でエルヴィスがアメリカ文化でやり遂げたこと」


■非常時が促進した女性の社会進出

「昭和の働く女性-夢と希望と困難と-」(昭和館・東京九段下)は、見る価値ある企画展-「昭和」に限定されているのがちょっと残念だが・・
・・戦争と社会進出




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2017年10月7日土曜日

冬瓜は夏から秋にかけてが収穫期-次から次へと花が咲き実がなるが冬には枯れる

(次から次へと実がなる冬瓜 船橋市内にて筆者撮影)

現在、千葉県船橋市の南部に在住しているが、宅地と農地が適度に混在している状況は好ましい。

船橋といえば、梨の妖精と自称する「ふなっしー」の八面六臂の大活躍によって梨の産地として、すでに全国的な「常識」となっただろうが、もちろん梨だけではない。近郊型の野菜栽培もまた盛んだ。とくにニンジンとコマツナが有名だが、ホウレンソウもまた栽培面積が大きい。


冬瓜の栽培は放置プレイ

たまに散歩すると、面白いものにぶつかることがある。冒頭に掲載した写真の野菜だ。野菜というよりも果菜というべきだろう。冬瓜である。「とうがん」と読む。

ラグビーボールのような形をした、固い果皮に覆われた瓜である。固くてずしりと重い。中身は真っ白な果肉とタネとワタ。

(冬瓜は型崩れを防ぐために調理前に塩水につけておく)

秋が深まりつつあるこの季節でも、次から次へと黄色い花を咲かせて実がなる。最初に苗を植える段階に手間があかかるが、あとは放置しておけば実がなっていくので、栽培は簡単なのだろう。

しかも実が固いので、囓られにくい。

(その他のウリ科と同様、黄色い花を咲かせる冬瓜  筆者撮影)


冬瓜と鶏肉のスープ

冬瓜の料理法はいろいろあるが、自分はもっぱら冬瓜と鶏肉のスープで食べている。

冬瓜に鶏肉とドンコで味を出したスープは、沖縄風というか、台湾風のスープだ。これがじつに美味いだけでなく、カラダにもいい。ある種の薬膳のようなものだ。冬瓜じたいには特に味はないのだが不思議な気がする。

(冬瓜と鶏肉のスープ自家製 冬瓜は熱を加えると透明になる)

沖縄料理や台湾料理でよくでてくるスープで、こってりした料理のあとのくちすすぎにもなる。江戸時代を代表する農書の『農業全書』にも登場する冬瓜だが、苦瓜(=ゴーヤ)などと同様に、南方から来たのだろう。

冬の瓜と書いて冬瓜というわけだが、収穫は夏から秋にかけてである。なぜ冬瓜というのか、つねづね疑問に思っているのだが、一説によれば、新聞紙にくるんで日陰においておけば冬まで保存がきくからだという。

最近はスーパーマーケットではスライスした状態で販売されていることも多いが、そのままであればたしかに長持ちする。1週間くらいならまったく問題なかった。

ほんとうに冬までもつのかどうか、試してみようかな?





<ブログ内関連記事>

・・冬瓜の栽培法のページをコピーしてアップしておいた。冬瓜は「とうぐわ」とルビが振られている

・・2009年の記事。引っ越してきてから散歩中に農家の直売所で冬瓜にであった

カンボジアのかぼちゃ






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2017年10月5日木曜日

映画 『女神の見えざる手』(2016年、フランス・米国)を試写会で見てきた(2017年10月4日)-「銃規制」をめぐって米国社会を二分するテーマをロビイストを主人公にして描いた社会派サスペンス


昨日、『女神の見えざる手』(2016年、フランス=アメリカ合作)を「試写会」で見てきた。配給元のキノフィルムズ(六本木)にて。

「銃規制反対派」と「銃規制賛成派」をめぐって、首都ワシントンで議会工作を行うロビー会社どうしの激しいロビー活動攻防戦は、手に汗握る内容の、じつに濃密で濃厚に作り込まれた132分。時間が経つのを忘れる面白さに思わずのめり込んで見てしまう。

つい先日の2017年10月1日、ラスベガスで58人が射殺され500人以上が負傷するという米国史上最悪の乱射事件が発生したばかりで、米国でもあらためて銃規制問題が再浮上してきた。2016年に製作された映画だが、日本公開は来る10月20日。これ以上ないほどの時宜を得たものとなる。


(米国版ポスター)


■「銃規制」をめぐる上院議員の取り込み合戦

原題は、Miss Sloane(ミス・スローン)。主人公はエリザベス・スローンという名の独身女性。ワーホリックをはるかに越えたキチガイじみた仕事狂で、天才的で辣腕の女性ロビイストを主人公にした社会派サスペンス映画。

そんなロビイストの彼女が取り組むのが、「銃規制」(gun control)というテーマ銃社会米国を二分する社会問題である。賛成派と反対派それぞれについたロビー会社どうしバトルである。だが、それは目に見えない水面下でひそかに進行するバトルである。

一人でも多くの上院議員を取り込めるか、それがロビー活動が成功するか失敗するかのカギである。賛成か反対か決めかねているグレーゾーンの上院議員を取り込み、自陣営に反対する上院議員をいかに取り崩すか。議会では多数決で法案採決の是非が決定されるからだ。多数派工作である。

(映画パンフレットのオモテとウラ)

つねに先々を予見(フォーサイト)して先手先手を打っていくのがロビー活動成功のキモだと主人公は言うが、「銃規制」実現という目的のために、主人公は合法スレスレ、いやほとんど非合法そのものといった手段も駆使する。

銃犯罪は米国社会の病巣であることは言うまでもない。だが、この映画はワシントンの中央政府もまた同様に病巣であることをあぶり出す。上院議員の腐敗ぶりが明るみに出され、米国民のワシントンへの不信感が「見える化」される。

映画のいたるところに張られた細かいディテールにわたる伏線が、最後の最後の大どんでん返しで炸裂する! 

映画の最初から最後まで神経を張り詰めて見る必要があるが、そうするだけの意味がある面白さなのだ。見終わったあとの感想は、なぜかすがすがしい。




「合衆国憲法修正第2条」と「権利章典」

主人公はロビイストだが、この映画のもう一人の主人公である「合衆国憲法」、とくに「権利章典」ともいわれる「合衆国憲法修正10カ条」(1791年制定)が大きな存在感を示す。合衆国憲法には、「人権」について定めた「権利章典」が欠けていたので、「修正」(Ammendments)という形で付加された。

「銃規制」については、一般市民による銃器所有を正当化する根拠となるのが「合衆国憲法修正第2条」である。つまり「銃器の所持と携帯」は「武装権」であり「自衛権」であり、米国人の認識においては「人権」なのである。「基本的人権」なのである。

「銃規制」の議論とは、銃器の所有と携帯そのものを全面否定するのではない。この「人権」を無制限に認めるのではなく、制限を加えるべきだという議論である。

そしてこの映画は、いきなり「修正第5条」から始まる。主人公がロビー活動において非合法な手段を用いて倫理違反を行ったのではないかという件にかんする上院の公聴会で、主人公は委員長の質問のすべてについて「修正第5条」をたてに証言を拒む

この映画は、ある意味で「基本的人権」にかんする深くて重いテーマを扱っているのである。その内容の是非が、ロビー活動で対立する陣営におけるバトルとして描かれる。

主人公を演じるのは、ウサーマ・ビン・ラディン暗殺作戦を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013年)でCIA情報分析官の主人公を演じたジェシカ・チャスティン。知的でワーカホリックな女性主人公を演じて、この人の右に出る女優はいないのではないか、という評価が確立したといっていいだろう。

これは絶対におすすめの映画だ。10月20日公開。http://miss-sloane.jp








<関連サイト>

映画 『女神の見えざる手』(Miss Sloan) 公式サイト(日本版)

Miss Sloane Official Trailer - Teaser (2016) - Jessica Chastain Movie

'Miss Sloane' Exclusive Extended Trailer (2016) - Jessica Chastain | TODAY

(こちらのトレーラーは5分間)

銃社会アメリカ 数字で見る被害と支持(BBC)(2017年10月4日)  

銃規制、各国でどのように強化されたのか(BBC)(2017年10月4日)  



<ブログ内関連記事>

映画 『ゼロ・ダーク・サーティ』をみてきた-アカデミー賞は残念ながら逃したが、実話に基づいたオリジナルなストーリーがすばらしい

自動小銃AK47の発明者カラシニコフ死す-「ソ連史」そのもののような開発者の人生と「製品」、そしてその「拡散」がもたらした負の側面

書評 『民間防衛-あらゆる危険から身をまもる-』(スイス政府編、原書房編集部訳、原書房、1970、新装版1995、新装版2003)-家庭に一冊は常備すべき「防災と防衛のバイブル」

書評 『鉄砲を手放さなかった百姓たち-刀狩りから幕末まで-』(武井弘一、朝日選書、2010)-江戸時代の農民は獣駆除のため武士よりも鉄砲を多く所有していた!

『歴史のなかの鉄炮伝来-種子島から戊辰戦争まで-』(国立歴史民俗学博物館、2006)は、鉄砲伝来以降の歴史を知るうえでじつに貴重なレファレンス資料集である

『愛と暴力の戦後とその後』 (赤坂真理、講談社現代新書、2014)を読んで、歴史の「断絶」と「連続」について考えてみる
・・日本語の「憲法」と英語の Constitution(憲法=構成)とのニュアンスの違い

『日本がアメリカを赦す日』(岸田秀、文春文庫、2004)-「原爆についての謝罪」があれば、お互いに誤解に充ち満ちたねじれた日米関係のとげの多くは解消するか?
・・「先住民の虐殺後も、南北戦争において連邦離脱をはかった南部諸州に対して非道な仕打ちを行っている。米国の眼中には殲滅戦しかないのである。無条件降伏を求めながら、敗戦後は寛大な態度を示すパターンは日本にも適用された。」

書評 『スノーデンファイル-地球上で最も追われている男の真実-』(ルーク・ハーディング、三木俊哉訳、日経BP社、2014)-国家による「監視社会」化をめぐる米英アングロサクソンの共通点と相違点に注目
・・「スノーデン氏自身、「合衆国憲法」への思い入れが強く、とくに「合衆国憲法修正第4条」の「不当な逮捕・捜索・押収の禁止、安易な礼状発行の禁止」へのこだわりが、NSAによる通信監視の実態を暴露する動機になったようだ。」




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2017年9月29日金曜日

ちょっとした違いが大きな効果を生み出す-駅のベンチの並べ替えで転落事故を防止

(新京成電鉄の高根木戸駅にて筆者撮影)

千葉県内を南北に走る新京成電鉄の高根木戸駅のホームをひさびさに利用してみたら、知らないうちに、駅のベンチが新しくなっていた。しかも、並べ方が90度変化しているとに気がついた。線路に対してヨコ方向からタテ方向に並べ替えられていたのだ。

上下線を同じホームで対応する「島式ホーム」の場合だけだが、進行方向に向かってベンチが並べられているのはすばらしい。これだと、上り線だろうが下り線だろうが、あまり気にせず座席に座ることが心理的に可能になる。

進行方向に向かって座るか、背を向けて座るかだけの違いになるからだ。記憶によれば、座席数に変化はないと思う。

(新京成電鉄の高根木戸駅にて筆者撮影)

このタイプのベンチは大阪にもあるようだ。最近は大阪にいってないので気がつかなかったが、この写真をfacebookに投稿したところ、いろいろ意見が寄せられた。その一つをここに紹介しておこう。

「JR西日本を真似たのかもしれませんね。転落事故対策で。立ち上がってふらふらと前に進んで落ちるというのが統計上多かったそうです。酔っ払い客ですが。」

なるほど! 線路に面してベンチがあると、乗降客の少なくなった深夜などは、立ち上がった酔客がフラフラと線路に転落したり、列車に吸い込まれてしまう人身事故もあるわけか。ホームドアがあれば、通過列車のことはいっさい心配する必要はないが、そうでないと酔客(それ以外の自殺志願者も含めて)人身事故が発生するというわけなのだな。

駅のベンチの転落防止用の並べ替えは、ちょっとしたアイデアが大きな違いを生む事例といえよう。英語で言えば A little idea goes a long way. てなところだろう。 実際のところ、転落事故や人身事故がどれくらい減少したのか、検証レポートがあれば見てみたいものだ。

関東ではあまり見ていないので、ぜひ関東の鉄道各社も見習って欲しいアイデアだ。







<ブログ内関連記事>

『新京成電鉄-駅と電車の半世紀-』(白土貞夫=編著、彩流社、2012)で、「戦後史」を振り返る

"世界最小の大仏" を見に行ってきた・・そしてついでに新京成線全線踏破を実行

書評 『京成電鉄-昭和の記憶-』(三好好三、彩流社、2012)-かつて京成には行商専用列車があった!

書評 『「鉄学」概論-車窓から眺める日本近現代史-』(原 武史、新潮文庫、2011)-「高度成長期」の 1960年代前後に大きな断絶が生じた

書評 『鉄道王たちの近現代史』(小川裕夫、イースト新書、2014)-「社会インフラ」としての鉄道は日本近代化」の主導役を担ってきた




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2017年9月28日木曜日

クルド人の独立国家樹立は心情的には共感するのだが・・・。増殖が止められない主権国家の弊害が指摘される現在、「民族自決」原則の積み残し課題はどうなるのか?


イラクのクルド人自治区で独立の是非をめぐって住民投票が実施されると報じられている。(2017年9月25日付け情報)。

イラクとイラン、そしてトルコの三か国にまたがった「クルディスタン」という山岳地帯に居住するクルド人は、いまだに自分たち自身の国をもったことがない民族だ。クルド人にかんしては、「民族自決」が否定されたままなのだ。

第一次世界大戦後、オスマン帝国の崩壊によって、クルド人居住区が三か国に分割されてしまったが、トルコ共和国のケマル・パシャはクルド国家樹立に激しく反対した結果、クルド人は時ぶんんたちの国家をもつことができなかったまま現在に至っている。

(CIAの発表したクルド人居住地域の地図 wikipediaより)


投票が行われても開票に時間がかかり、結果が判明するまでには時間がかかるが、独立支持が過半数を超えると予想されている。住民投票を主催した側は、住民投票の結果、賛成多数となればイラク政府と2年間の期限付きで交渉に入るとしている。


心情的には共感するのだが・・・

個人的には、クルド人の独立国家樹立は心情的には共感するの だが、中東の秩序を大幅に揺るがすことは容易に予想できることだ。大英帝国が設計した「人工国家イラク」は妥協の産物であり、いわゆる「民族国家」ではない。大英帝国の負の遺産というべき存在なのだ。

クルド人国家独立という課題は、イラク内でもハードルが高いだけでなく、なによりもトルコが過敏に反応する問題である。トルコ国内では、たびたびクルド人によるテロが発生している。クルド人は、トルコ国民の13%を占めている。間違いなくトルコは猛反発するだろう。

ISIS(=イスラーム国)掃討戦におけるクルド兵部隊の活躍をみてわかるとおり、かれらは勇猛果敢な戦士でもある。しかも女性部隊すら大いに活躍している。


『クルドの星』(1986~1987年)というマンガ

そんなクルド人テーマにした本は、最近でこそ増えてきたが、かつてはきわめて少なかった。安彦良和氏によるマンガ『クルドの星 全三巻』は、そのなかでも先駆的な作品だ。

日本人の父親とクルド人の母親のもとに生まれた少年を主人公とした冒険活劇プラスアルファ。まあ内容的にはさておき、エンターテイメントとして楽しむべき作品だ。さすが、歴史大作マンガ『虹色のトロツキー』の作者ならではのものだ。いや、ガンダムの作画監督ならではというべきか。

国際情勢は『ゴルゴ13』を筆頭にすべてマンガで学んだというのは自民党の麻生太郎氏だが(笑)、クルド人が置かれた厳しい状況はこのマンガを読めばわかる(はず)。発表は1986年なのでソ連崩壊前、すでに30年前ではあるが、ソ連が崩壊してクルディスタンが旧ソ連のアルメニア国境と接することになった以外は、基本的に大きな情勢変化はない。


「民族自決」原則の積み残し課題はどうなるのか

「民族自決」原則は、帝国主義による植民地主義を否定する米国のウィルソン大統領が、第一次世界大戦後の国際秩序構想として主唱したものだが、いまだ民族独立が実現できない民族は多数ある。

しかしながら、主権国家が細分化され無限増殖しているというソ連崩壊後の弊害が指摘されるようになり、「民族独立運動」そのものにも否定的な見解さえ少なくない。

今週日曜日(2017年10月1日)には、欧州スペインのカタロニア自治区で独立の是非を問う住民投票が行われることになっている。「カタロニアはスペインではない!」。かつて米国留学中に、カタロニア出身の留学生から激しい剣幕で叱られたことを思い出す。「クルドはイラク(あるいはトルコ、イラン)ではない!」

2017年9月のいま、そんな状況にようやく変化が生まれようとしている。その動きについては当事者ではないわたくしも、見守っていきたい。間違いなく「苦難の道」は続くことであろうが。

もちろん、このアジアにおいては、チベットとウイグル、そしてモンゴルもまた同様だ。外モンゴルはソ連の衛星国家としてかろうじて独立を保ったが、中国統治下に残された内モンゴルでは過酷なジェノサイドが行われている。

「民族の牢獄」と批判されていたソ連が崩壊して「諸民族」が解放されたが、いまだ「民族の牢獄」でありつづける中国からの「解放」は達成されていない

クルド人問題は、けっして遠い中東の地の問題ではないのだ。








<関連サイト>

クルド人悲願「独立国家樹立」を阻む難題の山 住民投票は賛成多数になるとみられるが… (池滝 和秀 : 中東ジャーナリスト、東洋経済オンライン、2017年9月26日)


なお、クルド人問題については、拙著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』の第4章(P.268~269)を参照



<ブログ内関連記事>

書評 『イラク建国-「不可能な国家」の原点-』(阿部重夫、中公新書、2004)-「人工国家」イラクもまた大英帝国の「負の遺産」
・・英国が創ったイラクという「人工国家」の不可能性

書評 『イスラム国-テロリストが国家をつくる時-』(ロレッタ・ナポリオーニ、村井章子訳、文藝春秋、2015)-キーワードは「近代国家」志向と組織の「近代性」にある
・・「自称イスラーム国」の首都ラッカが陥落したいま(2017年10月18日)、オスマン帝国崩壊後の越境による国境線引き問題の焦点はクルド人問題に移行する

ブランデーで有名なアルメニアはコーカサスのキリスト教国-「2014年ソチ冬季オリンピック」を機会に知っておこう!
・・マンガ『クルドの星』で重要な意味をもつアララット山は、ブランディーの名前にもなっているようにアルメニア人にとってはきわめて大きな意味をもつ存在だが、現在はトルコ国内にある

『ソビエト帝国の崩壊』の登場から30年、1991年のソ連崩壊から20年目の本日、この場を借りて今年逝去された小室直樹氏の死をあらためて悼む

書評 『「シベリアに独立を!」-諸民族の祖国(パトリ)をとりもどす-』(田中克彦、岩波現代全書、2013)-ナショナリズムとパトリオティズムの違いに敏感になることが重要だ

書評 『ノモンハン戦争-モンゴルと満洲国-』(田中克彦、岩波新書、2009)-もうひとつの「ノモンハン」-ソ連崩壊後明らかになってきたモンゴル現代史の真相

「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる

(2017年10月20日 情報追加)




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2017年9月27日水曜日

JBPress連載第9回目のタイトルは、「「先進的」伝統を作り出した英国の2人の女王-脇役のアルバート公もロールモデルに」(2017年9月26日)


JBPressの連載コラムの最新コラムが本日公開です。連載開始から9回目となります。

タイトルは、「「先進的」伝統を作り出した英国の2人の女王-脇役のアルバート公もロールモデルに」
⇒ ここをクリック http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51114

NHKで2017年7月30日から9月17日まで合計8回にわたって放送された海外歴史ドラマ『女王ヴィクトリア 愛に生きる』をご覧になったでしょうか?

62年間の在位期間を誇り、大英帝国の全盛期を象徴するヴィクトリア女王(1819~1901年)を主人公にした歴史ドラマで、即位してからの最初の4年間を描いたものでした。

この歴史ドラマを題材に、配偶者をもって子どもを産んでいる二人の英国女王、ヴィクトリアとエリザベスについて、その「先進的モデル」のもつ意味について考えます。

女王ヴィクトリアの影(?)にアルバート公という「脇役」のローウモデルあり。この組み合わせが「先例」となって、エリザベス二世とフィリップ殿下という組み合わせ、さらには旧植民地の独立後のインド圏での女性首相たち誕生にも影響があったかもしれません。

さらに、歴史ドラマの正しい(?)見かたについても考えます。

では、本文をお読みいただきますよう。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51015


次回の更新は2週間後の10月10日の予定です。お楽しみに。



<ブログ内関連記事>

NHK海外ドラマ 『女王ヴィクトリア 愛に生きる』(全8回)が面白い(放送:2017年7月30日~9月17日)-18歳で即位してからの4年間を描いた歴史ドラマ

書評 『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)-知的刺激に満ちた、読ませる「大英帝国史」である

JBPress連載第2回目のタイトルは、「怒れる若者たち」の反乱-選挙敗北でメイ首相が苦境に、目を離せない英国の動向」(2017年6月20日)





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2017年9月24日日曜日

熟れつつあるゴーヤは三色に変化-外皮が緑から黄色に変化するだけでなく中身のタネが深紅な物体に!

(まさに「色の三原色」そのものの熟れたゴーヤ 筆者撮影)


近在の農家の野菜直売所で買ってから2~3日そのまま常温で放置していたゴーヤ(=苦瓜)が、あれよあれよというまに黄色くなっていった。

先端が黄色くなったのを見て、早く食べないと思っていた翌日、気がついたら全体的に黄緑色に変色。やばいなあと思って、ビニール袋に入れてあったゴーヤを手で持ち上げたら、先端がポロリと崩れ落ちた。

しかも驚いたことに、中から出てきたのは鮮やかな深紅に変色した物体。なんだ、これは!ギョっとするほどのオドロキだ。気持ち悪い、というのがそのときの正直な感想だった。

タネがこんなにぬるぬるで深紅に変化してしまうとは! 食用のためのゴーヤの「劣化」は、じつに速い! 

(上掲の写真のゴーヤの全体 筆者撮影)

食用としては、緑色で固い状態のゴーヤを輪切りにして、なかのワタとタネを取り除いてから調理するのだが、白くて固いタネが、深紅でゼリー状の物質にくるまれたタネに変化してしまうとは!

見慣れぬものを見ると、人間はまずは驚くというのが最初の反応だ。宗教学でいう「ヌミノーゼ」感覚に近いものがあうといっても過言ではないだろう。畏怖と魅惑の両義的な感覚のことだ。

(調理前に輪切りにしてワタとタネを取り除いたゴーヤ 筆者撮影)

あらためて、wikipedia で「ゴーヤ」を検索すると、そのまま「ツルレイシ」の項目に飛ぶ。ツルレイシを漢字で書けば蔓茘枝。ウリ科の植物である。項目には以下のような記述がある。

熟すと黄変軟化し裂開する(収穫しても、常温で放置しておくと同じ状態となる)。完熟した種子の表面を覆う仮種皮は赤いゼリー状となり甘味を呈する。腐敗しているわけではなく食すこともできるが、歯ごたえのある食感は失われる。元来野生状態では、この黄色い果皮と赤くて甘い仮種皮によって、果実食の鳥を誘引し、さらに糞便によって種子散布が行われる。
なるほど、さらにこのまま放置したら、裂けて果実が開くわけか。

黄色くなったゴーヤも食べることはできるようだが、歯ごたえはないようだ。しかも、深紅のタネの仮種皮もまた食べることができるようだ。

考えてみればパパイヤみたいな感じでもある。パパイヤはパパイア科目の常緑樹木であって、一年草のウリ科の植物ではないし、タネも小粒で真っ黒。黄色いパパイアはデザートになるが、緑のパパイアはサラダにする。ゴーヤにかんする wikiの記述を先に読んでいれば、黄色いゴーヤと深紅のゼリーも食べてみたかもしれない。

ゴーヤの立場から見れば、生命をつなぐために必要不可欠なことではあるのだが、もっぱら食用として利用している人間にとっては「迷惑」な話ではある。

とはいえ、緑と黄色と深紅の三色という、なんだか「色の三原色」を見せられたような感じで、自然界の不思議さをまた大いに感じさせられたのでもあった。


(農家の野菜直売所で購入した秋の味覚 なすはおまけ 筆者撮影)






<ブログ内関連記事>

ゴーヤ棚はすでに日本の夏の風物詩

万病に効く!-パパイヤ健康法のススメ

「世界のヒョウタン展-人類の原器-」(国立科学博物館)にいってきた(2015年12月2日)-アフリカが起源のヒョウタンは人類の移動とともに世界に拡がった




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2017年9月23日土曜日

「白い彼岸花」をはじめて見た-目の前に現れた現実が固定観念や常識を壊していく


本日9月23日は秋分の日。お彼岸ですね。

お彼岸といえば彼岸花。ちょうどお彼岸の頃に咲く真っ赤な花。葉っぱのない茎だけの植物に毒々しいまでの真っ赤な花が咲く。

お彼岸のことに咲く彼岸花は赤だと思い込んでいましたが、白い彼岸花もあることを生まれてはじめて知りました。散歩中のことです。へえ、という感じです。固定観念を完全に打ち砕かれた思いです。


生まれてはじめて目にした白い彼岸花。でも考えてみれば、白い彼岸花のほうが、白百合みたいに清浄で、仏教っぽいような気もします。

東南アジアの上座仏教圏では仏前に供えるのは白蓮日本では霊前にふさわしいのは白菊。いずれも共通するのは白。この感覚はアジアでは朝鮮民族以外は共通しています。

彼岸花は真っ赤な花ですが、白い彼岸花もある。赤と白。不思議なコントラストでありますね。固定観念を破るのは、つねに目の前に現れた現実。幻影(まぼろし)ではない現実(うつつ)。写真は、その証拠が残存させる。
  
事実を事実として受け取ることが、あらたな発見と認識の変化をもたらすわけです。そしてそれは仏教的なものの見方でもあります。

これからは、彼岸花といえば赤という「常識」を捨てることにしたいと思います。「気づき」をありがとうございます。合掌。



<ブログ内関連記事>

彼岸花(ひがんばな)で正確な季節を知る

「ながつきの 彼岸過ぎても 彼岸花」

「無憂」という事-バンコクの「アソーク」という駅名からインドと仏教を「引き出し」てみる ・・「無憂花」(むゆうか)は仏典にも登場するインドの花

「におい」で秋を知る-ギンナンとキンモクセイは同時期に「臭い」と「匂い」を放つ・・・





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木になるからキウイ!?-ニュージーランド産が普及するキウイだがトロピカルフルーツではない

(千葉県船橋市内にて筆者撮影)

キウイというとニュージーランドという連想が「ゼスプリ」ブランドのプロモーションによって固定観念にまでなっているかもしれません。

ニュージーランドは南半球にあるので、南国イメージがあるキウイですが、トロピカルフルーツではありません。ニュージーランドは亜熱帯から温帯気候。キウイは、日本でも栽培が可能なことは、店頭で産地情報を見ていればわかることでしょう。

この写真はキウイがなっている様子を写真に撮ったもの。散歩中に撮影。いまの季節は秋。キウイもまた秋の実り。 もちろん「木になるからキウイ」ではありませんよ(笑) 気になる話ではありますが。

キウイ(kiwi)はニュ-ジーランドに生息する「飛べない鳥」の仲間。ニュ-ジーランドが特産物にするためにキウイフルーツと命名したからキウイとなったわけです。

キウイフルーツは、ネコが大好きな「マタタビ属」の植物です。そう考えると、人間が好きなキウイというのは不思議なフルーツでありますねえ。




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ゼスプリ(Zespri)というニュージーランドのキウイフルーツの統一ブランド-「ブランド連想」について

"あきづき" という梨の新品種について

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2017年9月18日月曜日

写真集 『妖怪の棲む杜 国立市 一橋大学』(伊藤龍也、現代書館、2016)で、ロマネスク風建築にちりばめられた建築家・伊東忠太の「かわいい怪物たち」を楽しむ

(一橋大学の国立キャンパス)


建築家・伊東忠太の代表作といえば、東京は築地本願寺のインド風の寺院建築物ということになうだろう。

ずいぶん昔のことになるが、はじめて築地本願寺を見たとき、ほんとうに不思議な感じがしたものである。浄土真宗のお寺なのに、ぜんぜん日本風ではないからだ。あまりにもエキゾチックな仏教寺院。

(伊東忠太設計になる築地本願寺 筆者撮影)

インド風ということでいえば、千葉県市川市の中山法華経寺にもインド風の建造物があるが、こちらはあまり知られていないようだ。日蓮聖人関連の宝物を収蔵した「聖教殿」である。一般的には、日蓮宗のほうがインド風の建造物は似合っているといえよう。

築地本願寺が浄土真宗でありながらインド風の建築物となったのは、大陸に雄飛した大谷光瑞の趣味も反映しているのであろう。

(伊東忠太設計になる中山法華経寺の「聖教殿」 筆者撮影)

伊東忠太が、法隆寺はギリシアのパルテノン神殿のエンタシスの影響にあるという説を打ち出したのは、みずからの3年におよぶユーラシア大陸横断というフィールドワークで得た知見によるものだ。このように、伊東忠太は建築家であると同時に建築史家であり、スケールの大きさはユーラシア大陸を股にかけた調査旅行から生まれてきたのであった。


インド風建築だけが伊東忠太の代表作ではない

だが、インド風建築だけが真骨頂ではない。一橋大学(当時は東京商科大学)のキャンパスにある兼松講堂もまた伊東忠太の代表作の一つである。

テレビドラマのロケでよく使用されるので、見たことがある人も少なくないだろう。直近では、土曜日午後6時からNHK総合でやっていた土曜時代ドラマ『悦ちゃん-昭和駄目パパ恋物語-』の最終回(2017年9月16日)で兼松講堂と図書館と池が使用されていた。主人公を演じたユースケ・サンタマリアの後ろにあるのが「兼松講堂」だ。獅子文六の原作は1936年(昭和11年)なので、時代的にもこの建築物はドラマのはふさわしい。

(ドラマ『悦ちゃん』のテレビ画面より筆者がキャプチャ) 

この建築物は、現在では講堂以外にコンサートホールとしても使用されているが、外観は西欧中世のロマネスク風である。バロックが近代であれば、ゴチックは後期中世、それ以前がロマネスクとなる。

ロマネスクとは文字通りの意味ではローマ風ということになるのだが、じっさいはキリスト教と土着信仰の融合的存在ともいうべきものであり、そのため建築物の外装には多数の怪物たちが彫刻されているのである。


ロマネスク風建築にちりばめられた「怪物たち」は伊東忠太の創作物

写真集『妖怪の棲む杜 国立市 一橋大学』(伊藤龍也、現代書館、2016)は、伊東忠太が愛した「怪物」たち(・・写真家は「妖怪」と表現しているが)に魅せられた写真家による写真集である。

ヨーロッパ中世史を専攻したわたしは、とくに考えることもなく「ガーゴイル」(・・西欧風建築物にある雨樋の上につけられた怪物の彫刻)だろうと思い込んでいたのだが、建築史家の藤森照信氏によれば、伊東忠太が創作した怪物たちも多数混じっているとのことを知った。この点にかんしては、『伊東忠太動物園』(藤森照信=編・文、増田彰久=写真、伊東忠太=絵・文、筑摩書房、1995)を参照するとよい。

ところで、昭和初期の1931年(昭和6年)に来日して、東京商科大学(=一橋大学)の国立キャンパスを訪れた経済学者シュンペーターは、 暖房設備が不備なことをわびた関係者に対して、"University is not a building."(=大学は建物ではない) と英語で語ったという。

大学の学部が市内に散在しているのが当たり前の西欧出身のシュンペーターとしては当たり前の発言であったことだろうが、伊東忠太の建築物のファンからすれば、「いや建築物こそ大学」と言いたいところだ。

建築史という未開の分野を拓いたパイオニアである一方、「化け物」をこよなく愛し、ひたすら妖怪の画を描き続けた伊東忠太。

ひそかに作り込まれた怪物たちは、じっさいに一橋大学の国立キャンパスに足を運んで見るべきだが、この写真集で楽しんでみるのもいいだろう。






<関連サイト>

「怪物の棲む講堂」 - 一橋大学 (藤森照信)
・・建築史家の藤森照信氏による解説は、伊藤忠太への愛に満ちたオマージュ


<ブログ内関連記事>

書評 『「くにたち大学町」の誕生-後藤新平・佐野善作・堤康次郎との関わりから-』(長内敏之、けやき出版、2013)-一橋大学を中核にした「大学町」誕生の秘密をさぐる

ここにも伊東忠太設計のインド風建築物がある-25年ぶりに中山法華経寺を参詣(2015年1月20日)

「築地本願寺 パイプオルガン ランチタイムコンサート」にはじめていってみた(2014年12月19日)-インド風の寺院の、日本風の本堂のなかで、西洋風のパイプオルガンの演奏を聴くという摩訶不思議な体験 
・・築地本願寺もまた伊東忠太の設計によるインド風建築物


建築家関係

「信仰と商売の両立」の実践-”建築家” ヴォーリズ
・・メンソレータムの生みの親のヴォーリスは、キリスト教伝道のために日本に来たアメリカ人だが、日本に洋風建築を普及させた人でもある

「ルイス・バラガン邸をたずねる」(ワタリウム美術館)
・・ピンクの色調が特徴のメキシコの建築家

『連戦連敗』(安藤忠雄、東京大学出版会、2001) は、2010年度の「文化勲章」を授与された世界的建築家が、かつて学生たちに向けて語った珠玉のコトバの集成としての一冊でもある

本の紹介 『建築家 安藤忠雄』(安藤忠雄、新潮社、2008)
・・いわずとしれた世界的建築家。ヴォーリズとは対照的に、饒舌な人である

(2017年9月30日 情報追加)




(2017年5月18日発売の新著です)


(2012年7月3日発売の拙著です)







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