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2016年2月26日金曜日

二・二六事件からついに80年(2016年2月26日)ー そして青年将校たちは「御霊信仰」の対象となった

(磯部浅一 『北一輝の昭和史』(松本健一、1985)より)

「二・二六事件慰霊碑」が 東京都渋谷区宇田川町1-1 にあるという。「あるという」という書き方をするのは、じつはそのすぐそばの渋谷区役所交差点近くやNHKまでは何度もいっているのだが、渋谷税務署のすぐそばにある二・二六事件慰霊碑にはまだ一度も訪れたことがないためだ。

そこは、かつて陸軍刑務所跡の一隅であり、青年将校たちが銃殺刑された場所である。しかも敗戦後はアメリカ占領軍に接収され、ワシントンハイツという米軍住宅地となっていた。そういう重層的な歴史をもつ因縁の土地なのだ。

二・二六事件で刑死した磯部浅一陸軍一等主計官(中尉相当)は、昭和天皇を獄中から「御叱り申して」いたのであり、処刑の際も天皇陛下万歳とはクチにしなかった。『二・二六事件-獄中手記・遺書-』(河野司、河出書房新社、1989)『天皇さま、お聞きください-二・二六事件遺詠集-』(河野司、河出書房新社、1984)によれば、磯部浅一の「獄中日記」にはこんな文言があるという。「天皇陛下、何と言ふ御失政でありますか、何と言ふザマです」。

巨大な怨念を残したまま処刑された青年将校たち。磯部浅一の激しい呪詛には、保元の乱で讃岐の国に配流され、その地で憤死した崇徳上皇(すとく・じょうこう)を想起させるものすらある。

崇徳上皇が、舌を噛み切って「日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん」「この経を魔道に回向(えこう)す」と血書したこと伝えられている。明治新政府は崇徳上皇の怒りを癒すため、明治天皇の即位式の際に鎮魂の儀礼を行っている。

さて、「二・二六事件慰霊碑」についてだが、現在では東京のパワースポットとなっているのだという。

怨念を抱いて刑死された死者の霊が信仰の対象となるのは、もっとも有名なものとしては大宰府に左遷されて憤死した天神様こと菅原道真東国に独立王国を建設したが最終的に討ち取られた平将門江戸時代に農民一揆を指導し処刑された義民・佐倉惣五郎(さくら・そうごろう)などをあげることができよう。

いずれも近代以前の日本で「御霊信仰」の対象となったものだ。菅原道真は全国各地の天満宮に、平将門は東京・大手町の将門首塚に、佐倉惣五郎は千葉県佐倉の宗吾霊堂に神として祀られている。国文学者で民俗学者の折口信夫は、佐倉惣五郎の「五郎」(ごろう)は「御霊」(ごりょう)に音が通じると『古代研究』に書いている。

御霊信仰(ごりょうしんこう)とは、人々を脅かすような天災や疫病の発生を、怨みを持って死んだり非業の死を遂げた人間の「怨霊」のしわざと見なして畏怖し、これを鎮めて「御霊」(ごりょう)とすることにより祟りを免れ、平穏と繁栄を実現しようとする日本の信仰のことである

すさまじいまでのパワーをもっていたからこそ刑死の対象となったのであり、だからこそ、ネガティブな感情をもったまま死んだ人の霊をねんごろに弔うことで、そのパワーを反転してポジティブな方向に向けることが可能となるという、民間信仰のロジックなのだ。

慰霊碑が御利益をもたらすという反転の構造がそこにある。「御霊信仰」は、ある意味ではきわめて巨大なネガティブなパワーをポジティブなパワーに転換する民俗の知恵だといってよい。

だとすると、いまから80年前の青年将校たちが「御霊信仰」の対象となってもちっとも不思議ではない。じっさいに、いまどきの女子高生たちが恋愛成就を祈願しているらしい。この慰霊碑の前で告白やプロポーズをするとうまくいくと女子高生の間で人気。青年将校の霊が若者を応援してくれるのだとか。また「2・26」=「夫婦ロック」で語呂がよいのだとか」。青年将校の霊に対して不謹慎な(!)というお怒りの声もあろうが、いまどきの女子高校生たちの行動は、先祖返りのようでもある。

そう考えると、日本人というのは根本的なところで変化していないことがわかる。全面的な「西欧近代化」によって外皮は大きく変化しても、その芯にあたる部分は変わっていないのだ。

刑死の対象ととなった、大手町の将門首塚、佐倉宗吾の宗吾霊堂。憤死の対象は、菅原道真の天満宮。自死のケースでは、真間の手児奈の手児奈堂。事故死では自然災害も人災も含めて、無数にありすぎて枚挙に暇がない。

死者の霊を慰め、その行為をつうじて、みずからにあらたなエネルギーを充填する。死者の霊を慰めることは、いま生きている人間、これから生まれてくる人間にとっても、きわめて重要なことなのだ。そこではエネルギー転換が行われるのである。生きるエネルギーに転換されるのである。

ただし、「御霊信仰」の対象の慰霊に際しては、こちら側に相当なエネルギーがないと、ネガティブなエネルギーに負けてしまうことは注意しておかなければならない。


PS じつにタイミングよく 磯部浅一の『獄中手記』が中公文庫から復刻版が2016年2月23日に出版されていたことを知った。

「目次」は以下のとおり。
  
行動記
獄中日記-昭和十一年七月三十一日~八月三十一日
獄中手記
宇垣一成等九名告発書
獄中よりの書翰
付録1 新公開資料(日記・書翰・聴取書)
付録2 関連資料

この機会にぜひ磯部浅一が地上に残していった「呪詛のことば」を読んでみていただきたい。(2016年3月12日 記す)。




「御霊信仰」の対象となった義民・佐倉惣五郎については下記書目を参照。



<関連サイト>

パワースポット研究所東京のパワースポット2・26事件の慰霊碑のご利益

渋谷の二・二六事件慰霊碑が女子高生の間で恋愛成就のパワースポット扱いになってるらしいぞwwwww 「ここで告白すると青年将校の霊が応援してくれる」
・・「ご利益東京陸軍刑務所の跡地。2・26事件の反乱将校が処刑された場所。近くの小学校では深夜に軍靴の音が響くという。NHKには反乱将校の亡霊が出るという。NHKのあるあたりは2・26事件の因縁の地。NHKのあるスタジオは霊目撃談が多いとか。1936年に起きた青年将校たちのクーデター未遂事件「2・26事件」で死没した方を慰霊するための碑(観音像)が渋谷税務署の隣にある。この慰霊碑の前で告白やプロポーズをするとうまくいくと女子高生の間で人気。青年将校の霊が若者を応援してくれるのだとか。また「2・26」=「夫婦ロック」で語呂がよいのだとか」



<ブログ内関連記事>

書評 『ワシントン・ハイツ-GHQが東京に刻んだ戦後-』(秋尾沙戸子、新潮文庫、2011 単行本初版 2009)-「占領下日本」(=オキュパイド・ジャパン)の東京に「戦後日本」の原点をさぐる
・・ブログ記事に掲載した地図に二・二六事件慰霊碑慰霊碑の場所が明記されている

市川文学散歩 ②-真間手児奈(ままのてこな)ゆかりのを歩く
・・万葉集にも歌われている真間手児奈(ままのてこな)ゆかりの手児奈霊堂がある

「三千世界一度に開く梅の花」
・・天神様こと菅原道真について触れてある


■「二・二六事件」関連

二・二六事件から 75年 (2011年2月26日)

4年に一度の「オリンピック・イヤー」に雪が降る-76年前のこの日クーデターは鎮圧された(2012年2月29日)

78年前の本日、東京は雪だった。そしてその雪はよごれていた-「二・二六事件」から78年(2014年2月26日)

二・二六事件から79年(2015年2月26日)-「格差問題」の観点から「いま」こそ振り返るべき青年将校たちの熱い思い

「戦後70年」とは三島由紀夫が1970年に45歳で自決してから45年目にあたる年だ(2015年11月25日)


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