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2014年9月7日日曜日

「武相荘」(ぶあいそう)にはじめていってきた(2014年9月6日)ー 東京にいまでも残る茅葺き屋根の古民家


「旧白州邸 武相荘」(ぶあいそう)にはじめていってきた。ちょうど「武相荘-秋 2014年9月3日(水)~11月30日(日)」がはじまったばかりである。まだ夏の余韻を残している土曜日のお昼前であった。

「武相荘」(ぶあいそう)は、東京都町田市にある白洲次郎・正子夫妻の旧宅である。茅葺き屋根の農家を改造した古民家である。多摩丘陵の自然のなかにある、落ち着いた静かな佇まいの「隠れ里」のような存在だ。

『鶴川日記』(白洲正子、PHP文芸文庫、2012)によれば、農家の老夫婦から買い取った時点で、すでに築百年以上であったという。第二次世界大戦がはじまる直前のことだったので、現在ではすでにそれから75年近くたっている。現時点で200年近い古民家なのである。

「武相荘」のことをはじめて知ったのは、もうずいぶん前のことだ。白洲正子の著作、おそらく『自伝』で読んだのがはじめてだったと思う。文庫化される前のことである。現在では白洲次郎も有名人となったが、人気が先行したのは白洲正子のほうである。


(武相荘を玄関口から奥に向かって見る 筆者撮影)

「武相荘」とネーミングされた古民家に移り住んだのは、ともに外国暮らしが長く英語に堪能であったがゆえに、純和風のライフスタイルを選択したということもあろう。日本が戦争に負けるのは必至なので、食糧確保と空襲を避けるために都心を出ることを考えていた白洲次郎と、田舎暮らしに憧れを抱いていた白洲正子の意志が一致したのであろう。

『白洲正子自伝』には、白洲次郎は英国風の「カントリー・ジェントルマン」として田舎に隠棲し、時の政局に対してときおりグランブル(grumble)するが、「いざ鎌倉」となったときにはいつでも動ける体勢にしておくことが重要だといっていたといようなことが書かれていたと記憶している。grumble という英語はそこではじめて知ったが、ブツブツいうという意味らしい。

白洲正子ブームがあってはじめて白洲次郎ブームも生まれたわけだが、白洲次郎の「復権」によって、さらに「武相荘」の名前を知る人は多くなったのではないかと思う。

「武相荘」の「武」は武州(ぶしゅう)の「武」、「相」は相模(さがみ)の「相」からとったというのは公式説明だが、その読み方である「ぶあいそう」は「無愛想」ということではなかろうか。どうも白洲次郎のダジャレであると思うのだが・・・。

(武相荘の全景 右端が玄関口 筆者撮影)


武相荘(ぶあいそう)は駅から歩いて向かうべし

ウェブサイトの案内には、アクセスは徒歩なら、小田急線の鶴川駅から歩いて15分とある。15分くらいなら歩くべきだろう。

だが、じっさいに歩いてみると、けっこう上り下りがあるので20分くらいは見ておいたほうがいいかもしれない。鶴川村は多摩丘陵にあり、武相荘(ぶあいそう)は縄文人が好んだという高台にある。

武相荘(ぶあいそう)を訪れたのは今回が初めてだが、さすがに対応は「無愛想」なんてことはない。ただし邸内は「飲食厳禁」となっているのは残念。なんだか白洲次郎の「葬式無用・戒名無用」という遺言を思い出してしまう。

屋敷のなかには靴を脱いであがる。残念ながら、内部は撮影不可である。

随所に白洲正子好みの骨董をインテリアとして飾っており、家具や調度品とじつに調和がとれていて、渋くていい味を出している。白洲正子の「美」に対する思いが伝わってくる。骨董の価値そのものは門外漢のわたしにはよくわからないが、骨董趣味などもったら身の破滅だろう。

柳宗悦(やなぎ・むねよし)の日本民藝館とは印象が異なるのは、武相荘(ぶあいそう)が白洲夫妻の「終の棲家」として60年以上も住居として使われていたためだろう。そこに住んで暮らしていた人たちの息吹を感じることができるのである。

(武相荘の図面 パンフレットより)

さらに単なる古民家と違うのは、基本的に和室であり木のぬくもりが心地よいが、土間は白のタイル張りで絨毯が敷かれソファが置かれている。そこだけが居間兼応接間として、いわゆる「モダン」な空間になっているのだが、周囲の部屋と違和感がまったくないまでに溶け込んでいる。やはり趣味の良さが醸し出されているのだ。

骨董もさておき、なんといっても白洲正子の書斎は一見に値する「ああ、こういう本は白洲正子の蔵書にあって当然だな」という本ばかりなのだ。個人で蔵書をもつことは文筆家にとっては必須であったわけだが、数々の著作が実体験と民俗学をはじめとする蔵書から生まれたものだなとすぐにわかるのである。写真撮影できないのがじつに残念だ。

(白洲次郎の「愛車」の一つが「マークⅡ」 筆者撮影)

屋敷の外には、白洲次郎の愛車であったアメリカ車の PAIGE(ペイジ) だけでなく、耕耘機の MARKⅡもそのままの状態で置かれているので必見!

(白洲次郎の工作室 筆者撮影)

わたしが訪れたのは土曜日のお昼前。幸いなことに天気に恵まれたが、なぜか訪れている人も少なく、落ち着いた時間を楽しむことができたのは幸いだった。機会があれば四季折々に訪れたい「大人の隠れ場所」のような武相荘(ぶあいそう)である。

ぜひ一度は足を運びたい、おすすめの場所である






<関連サイト>

武相荘 公式サイト
・・現地にいくことができなくても、ウェブサイトでバーチャルツアーは可能

東京郊外の田舎暮らしを楽しんだ次郎と正子のカントリーハウス (日経ビジネスオンライン、2015年6月23日)
・・「武相荘」室内の写真も掲載されている

(2015年6月24日 情報追加)


<アクセス>

小田急線鶴川駅下車15分(東京都町田市能ケ谷)
http://www.buaiso.com/access_guide/access.html
10時~17時 入園料: 1,050円(夏季と冬季に休園期間あり)


<参考>

『鶴川日記』(白洲正子、PHP文芸文庫、2012)の第一部は「鶴川日記」。「鶴川の家」「農村の生活」「村の訪問客」「鶴川の周辺」の4篇が収録されている。



<ブログ内関連記事>

「プリンシプルは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか」-白洲次郎の「プリンシプル」について
・・大東亜戦争に勝ち目はないとして、さっさと引退して関東郊外に土地を購入し、「武相荘」(=無愛想)なる和風の屋敷をつくって引きこもり、農作業に専念した男である。

「没後50年・日本民藝館開館75周年-暮らしへの眼差し 柳宗悦展」 にいってきた
・・「駒場の日本民藝館もまた、二階建てのつくりで古い日本家屋である。現在ではかえってぜいたくなライフスタイルとなっているかもしれないが、かつての日本人のフツーの生活を想像するにはふさわしい空間である」

書評 『惜櫟荘だより』(佐伯泰英、岩波書店、2012)-現在と過去、熱海とスペインと、時空を飛び交い思い起こされる回想の数々
・・岩波書店の創業者・岩波茂雄の熱海の別荘「惜櫟荘」(せきらくそう)を修復して移り住んだ著者の随想録

「今和次郎 採集講義展」(パナソニック電工 汐留ミュージアム)にいってきた-「路上観察」の原型としての「考現学」誕生プロセスを知る
・・「考現学」の発想の前は、古民家の調査を行っていた今和次郎には『日本の民家』(今和次郎、岩波文庫、1989)という著書もある

「旧江戸川乱歩邸」にいってみた(2013年6月12日)-「幻影城」という名の「土蔵=書庫」という小宇宙
・・幻影城(げんえいじょう)という「ネーミング

永井荷風の 『断腸亭日乗』 で関東大震災についての記述を読む
・・都内の麻布町(・・現在の港区六本木一丁目)にたてた洋館を、偏屈で奇人が住む館(やかた)という意味で「偏奇館」(へんきかん)と名付けるネーミング感覚は、白洲次郎が疎開先の日本屋敷を「武相荘」(=無愛想)と名付けたセンスに共通するものがある。

「ポルシェのトラクター」 を見たことがありますか?
・・白洲次郎の「愛車」の耕耘機はMARKⅡでポルシェではなかった


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