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2014年4月5日土曜日

in vino veritas (酒に真理あり)-酒にまつわるブログ記事 <総集編>

(ブルゴーニュはシャトー・ド・ポマールの日時計 wikipedia英語版より)

in vino veritas (イン・ヴィーノ・ヴェーリタース)という格言がラテン語にある。直訳すれば「酒に真理あり」。意味はあえて解説するまでもないだろう。酔えばホンネが出る、ということだ。

ただし酒といってもワイン(vino)である。だから正確には「ワインのなかに真理あり」、だ。ラテン語世界においては古代ローマ世界も中世カトリック世界も、ワインが酒であったわけだ。だからワインをもって酒を代表させる。

ヴェーリタース(Veritas)はハーバード大学のモットーにもあるので知っている人も少なくないだろう。ラテン語には長母音があるので、ヴェーリタースとなんだか間延びした発音になってしまうのだが。

in vino というフレーズは文字でも音でも in vivo という表現を連想させる。n と v という一字の違いだが。

医学実験用語で「生体」を意味する表現だ。試験管(=実験用ビーカー)を意味する in vitro と対語(ついご)になっている。 in vitro は文字通りの意味は「ガラスのなか」。酒にひきつければ「グラスのなか」でもある。

こじつけというわけではないが、 vino と vivo は深い関係がある。ワイン(=酒)は命、である。

「酒は命」だと叫ぶのは酔っ払いだろうが、じっさいに「命の水」という表現がある。ロシアのウォッカはよせい正確に表記すればヴォートカ(vodka)だが、vod には命の意味がある。北欧のアクアヴィット(aquavit)は文字通り命(vit)の水(aqua)、フランス語の eau de vie(命の水)はブランデーなどの蒸留酒を指している。

木下杢太郎の「五月の詩(うた)」という詩にも「オードヴィー」として登場する。

(カラヴァッジオによるローマ神話の酒の神バッカス wikipedia より)


「酒に真理あり」はもともと古代ギリシアからローマ世界へ

ラテン語の in vino veritas(酒に真理あり)の出典はエラスムスらしい。15世紀から16世紀にかけてのオランダの人文学者当時の大知識人である。『Adagia』(Erasmus Adagiorum Chiliades, Libertas)という本は、1500年にパリで出版された『ギリシア・ラテン格言集』である。その本にギリシア語の格言としてでてくるのだそうだ。  

もともとは古代ギリシアにさかのぼるものであるようだ。エラスムスの『痴愚神礼讃』には、沓掛良彦氏のラテン語原典からの新訳(中公文庫版)にはつぎのような一節がある。

それに真実以上に称賛されているものがほかにありましょか? プラトンに登場するアルキビアデスが引いている諺では、真実が語られるのは酒と子供の口によってである、とされておりますが、この称賛は、なんといってもこの私がそっくり頂戴すべきものです。(P.92) *太字ゴチックは引用者=さとう

語っているのは「痴愚女神」という設定である。沓掛氏の注釈によれば、「アルキビアデスが引いているのは、「酒は子供抜きでも、子供を入れても真実の事を語るもの」、だそうだ(P.263)。ギリシア語の原文は書いてないのでわからないが、アルキビアデスはソクラテスの年若い友人でプラトンの対話編にも登場するイケメン政治家で軍人ある。

『食べるギリシア人-古典文学グルメ紀行-』(丹下和彦、岩波新書、2012)という西洋古典学の研究者が一般向けに執筆した教養書があるが、「Ⅱ 酒のなかに「真」あり-抒情詩人に浮かぶ人の世」には、第4章は「酒の歌、恋の歌-酒仙詩人列伝」と「第5章 二日酔いにはキャベツ-英雄たちも飲んだ水割りワイン」という章が設けられている。酒食はセットでなければならないからね。

同書によれば、「酒に真理あり」は「エン・オイノー・アレーテイア」(Ἐν οἴνῳ  ἀλήθεια) である。ゼノビオス(紀元後二世紀)のことわざ集にあるという。ギリシア語の「アレーテイア」はラテン語の「ヴェリタース」に該当する。ワインはギリシア語で「オイノス」

このフレーズを『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』(岩波書店、1963 初版 1937)でみておこう。

(『ギリシア・ラテン引用句辞典』 P.41より)

『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』には、別の出典がある。ギリシア語の部に「愛しき子よ、酒と真理 と言はる; 酒に真理あり」(Theokr. Idyllia, ⅩⅩⅠⅩ, 1)とある。テオクリトスの『牧歌』のこと。また、アルカイオスの『断片』にもまったく同じ句がある。

(『ギリシア・ラテン引用句辞典』 P.83より)

「酒が体内に入るとき、言葉は流れ出づ」というフレーズはヘロドトスのもののようだ。歴史学の父ヘロドトスである。

『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』のP.83 には古典ギリシア語の「酒」(οἶνος オイノス)にまつわる格言が約1ページまるまる収録されているので面白い。

『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』は、旧字旧仮名なので古色蒼然としているが、1937年(昭和12年)の出版物なので味のある辞典である。長期品切れなのが残念だ。西洋社会でも古典語教育が行われなくなったので需要自体が減少しているのだろうか。


わたしは大学時代にの1963年の「増補」を購入したが、増ページによる増補なので、使いにくいのが問題だ。徹底的に改定してデジタル版にしたらよいのではないかと思う。

「酒に真理あり」は、古代ギリシアや古代ローマに限らず、ユダヤ教の『タルムード』、古代ペルシアにも見られるということだ。漢文では「酒後吐真言」というそうだ。なるほど、漢字が読めるとこういうときは助かるな。「真言」というフレーズが興味深い。


「酒に真理あり 水に健康あり」

in vino veritas にはじつは続きがある。 in aqua sanitas.である。「水に健康あり」だ。

英語では In wine there is truth, in water there is health. ドイツ語では Im Wein liegt die Wahrheit, im Wasser liegt die Gesundheit. と英語とまったく同じ意味。というより、もとのラテン語が同じだからだが。

だがフランス語では la vérité est dans le vin と上の句だけだという。ウソかホントか知らないが、なんだかフランスらしい。イタリア語は nel vino è la verità、スペイン語は en el vino está la verdad と、もとのラテン語から俗語への変化を楽しめる。

アルコール度数のきつい蒸留酒にはチェイサー(chaser)が必要。口直しの水のことだ。蒸留酒をチィス(追う)からチェイサー。だから、「酒に真理あり 水に健康あり」。

そうじゃなくても、朝起きたらまずは水を飲む「水に健康あり」ですからね。



<参考文献>

『食べるギリシア人-古典文学グルメ紀行-』(丹下和彦、岩波新書、2012)
『パンとワインを巡り神話が巡る-古代地中海文化の血と肉-』(臼井隆一郎、中公新書、1995)
『ワイン物語(上)-芳醇な香りと世界史』(ヒュー・ジョンソン、小林章夫訳、平凡社ライブラリー、2008) ・・ワインは少なくとも5000年前にグルジアで生まれ黒海ルートでギリシアに伝わた(P.34~37) 




(ブルゴーニュはシャトー・ド・ポマールの日時計 wikipediaイタリア語版より)


<ブログ内関連記事>

ブログに書いた酒にまつわる記事を一覧できるようにしておこう。

それにしても、書きも書いたりという感じだ。これからも、まだまだ書くことだろう。最近はあまり酒は飲まないのだが、うまいもの食ってうまい酒を飲む楽しみは健康である限り、つづけていくことは間違いないからだ。

もちろん、なにも食べない、なにも飲まない断食という究極のぜいたくもまた。


総論

「生命と食」という切り口から、ルドルフ・シュタイナーについて考えてみる
・・英語に You're what you eat. という格言があるが(・・もとはドイツ語)、You're what you drink. と付け加えるべきであろう。飲食は切り離せない。

Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ


ヨーロッパのワイン・ビール・蒸留酒

「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」(国立科学博物館にいってきた(2015年12月2日)-ワインの全体像を知る「博物誌」

書評 『富の王国 ロスチャイルド』(池内 紀、東洋経済新報社、2008)-エッセイストでドイツ文学者による『物語 ロスチャイルド家の歴史』
・・オーパスワン(Opus One)などロスチャイルド家とワインの深い関係

西川恵の「饗宴外交」三部作を読む-国際政治と飲食の密接な関係。「ワインと料理で世界はまわる」!

書評 『ボルドー・バブル崩壊-高騰する「液体資産」の行方-』 (山本明彦、講談社+α新書、2009)-ボルドー・ワインにみる世界経済のいま

映画 『大統領の料理人』(フランス、2012)をみてきた-ミッテラン大統領のプライベート・シェフになったのは女性料理人

「リスボン大地震」(1755年11月1日)後のポルトガルのゆるやかな 「衰退」 から何を教訓として学ぶべきか?

「スペイン料理」 の料理本を 3冊紹介

『ベルギービール大全』(三輪一記 / 石黒謙吾、アートン、2006) を眺めて知る、ベルギービールの多様で豊穣な世界

IKEA (イケア) で北欧ライフスタイル気分を楽しむ-デフレ時代の日本に定着したビジネスモデルか?
・・スウェーデンビールとスウェーデン産のじゃが芋焼酎であるアクアヴィット(aquavit:命の水、スピリッツ 40%)

ドイツの「ビール純粋令」(1516年4月23日発布)から本日で500年

書評 『ニシンが築いた国オランダ-海の技術史を読む-』(田口一夫、成山堂書店、2002)-風土と技術の観点から「海洋国家オランダ」成立のメカニズムを探求

ウニクム(unicum)は、ハンガリーの "養命酒" で "国民酒"


日本の酒

味噌を肴に酒を飲む

「泥酔文化圏」日本!-ルイス・フロイスの『ヨーロッパ文化と日本文化』で知る、昔から変わらぬ日本人

秋空の下、BBQを楽しむ joie de vivre(生きる喜び)

ひさびさに隅田川で屋形船を楽しむ-屋形船は東京の夏の楽しみ!

『izakaya: The Japanese Pub Cookbook』(=『英文版 居酒屋料理帖』)は、英語で見て・読んで・楽しむ「居酒屋写真集」+「居酒屋レシピ集」

書評 『ホッピーで HAPPY ! -ヤンチャ娘が跡取り社長になるまで-』(石渡美奈、文春文庫、2010 単行本初版 2007)

"昭和ノスタルジー"な一夜・・・船橋漁港直送 「いわし料理 ふなっ子」にて

幻の芋焼酎・青酎(あおちゅう)を飲んで青ヶ島の苦難の歴史に思いをはせ、福島の苦難について考える

ユダヤ教の「コーシャー」について-イスラームの「ハラール」最大の問題はアルコールが禁止であることだ
・・日本酒の「獺祭」(だっさい)の国際展開とコーシャー認証取得

「馬」年には「馬」肉をナマで食べる-ナマ肉バッシングの風潮のなか、せめて「馬刺し」くらい食わせてくれ!

ルカ・パチョーリ、ゲーテ、与謝野鉄幹に共通するものとは?-共通するコンセプトを「見えざるつながり」として抽出する
・・芋焼酎の銘柄「鉄幹」に名をとどめる与謝野鉄幹は与謝野晶子の配偶者としてだけではなく、、恋と情熱と革命(志向)の詩人として記憶にとどめたい


東南アジア

タイのあれこれ (13) タイのワイン

タイのあれこれ(5)-ドイツ風ビアガーデン

「タイガー・ビア」で乾杯!!

ミャンマー再遊記 (4) ミャンマー・ビアとトロピカルフルーツなどなど


中近東とコーカサス、ロシア

ブランデーで有名なアルメニアはコーカサスのキリスト教国-「2014年ソチ冬季オリンピック」を機会に知っておこう!

『イスラエルのハイテクベンチャーから学ぶ会』」に参加-まずはビジネスと食事から関心をもつのがイスラエルを知る近道であろう
・・イスラエル料理とイスラエルワイン

飛んでウラジオストク!-成田とウラジオストクの直行便が2014年7月31日に開設
・・ロシアのウオッカ(=ヴォートカ)


飲み過ぎという「習慣の奴隷」が招くもの

マンガ 『アル中病棟(失踪日記2)』(吾妻ひでお、イーストプレス、2013)は、図らずもアル中病棟で参与観察型のフィールドワークを行うことになったマンガ家によるノンフィクション

(2014年6月10日、11月1日、2015年10月6日、12月4日、2016年5月23日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)








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