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2012年7月28日土曜日

映画 『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』(2011年、フランス・英国)をみてきた


映画 『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』を見てきました。7月21日から日本公開されています! http://www.theladymovie.jp/

今年の春から急激に変わり始めたミャンマーですが、アウンサンスーチーさんも国会議員に選出されて24年ぶりに外遊に出るなどということは、昨年の今頃にはまったく「想定」すらできなかったことでした。

こんな状況では、映画 『The Lady』は、もはや日本で公開されることはないのかもしれないと諦めていましたが、ついに公開されることとなり、たいへんうれしく思います。


映画の内容はアウンサンスーチーさんの知られざるライフストーリー

映画は、「ビルマ独立の父」で、しかも自分自身の父でもあったアウンサン将軍が、英国からの独立を目前にして、同じ同胞であるビルマ人政敵が送り込んできた暗殺部隊によって射殺された日の朝のシーンから始まります。アウンサンスーチーは、アウンサン将軍の娘なのです。

もう一つの舞台が、家族で幸せな生活を送っていた英国の名門オックスフォード大学と大学町オックスフォード。アウンサンスーチーさんはオックスフォード大学留学時代に知り合ったチベット学者のマイケル・アリス博士(Michael Aris)と結婚し、2人の息子をもったのです。

人生の転機になったのが、故国ビルマから届いた母親が重病との知らせ。しかし、ちょうどそのとき、独裁政権のもとで圧政に苦しんでいたビルマの大学生を中心に民主化を求めるデモ行動が勃発、すでに多くの犠牲者を出していたのでした。1988年のことです。

「独立の父」の娘として、故国のためにチカラになってほしいという要請を断り切れずにビルマにとどまることを決意したアウンサンスーチーは、まさかそれがつらい人生のはじまりになるとは思いもせず・・・。

両親につながる故国ビルマ(=ミャンマー)と家族が暮らすオックスフォード交互に繰り返されるシーンは、まさに「引き裂かれた愛」。ビルマへの愛、家族への愛、ともに断ちがたく・・・・。

わたしが見たのは、有楽町の角川シネマですが、観客の多くは女性であったようです。上映後に映画館を出る際にチラと見ると、涙で顔をぬらしている方が少なくなかったようでした。



映画の背景にかんする話など

アウンサンスーチーを演じている主演女優のミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)は、マレーシアでは「美人の里」と知られるイポー(Ipo)出身の華人系マレーシア人のハリウッド女優。

監督のリュック・ベッソンについては、あえて説明するまでもないでしょう。フランスには歌手のジェーン・バーキンをはじめアウンサンスーチーさんを支持する人たちが多いことは知っておいていいでしょう。

この映画は、2011年のフランス・英国合作です。フランス映画ですが、セリフの大半はイギリス英語とビルマ語。アウンサンスーチーさんが英語でしゃべるシーンがやや多いなという気がしますが、ビルマ語では字幕を入れなくてはならないので、映画演出上のものだと受け止めるべきでしょう。

主なロケ地は、隣国のタイのようですが、気候風土的にはかなり似ているので違和感はないと思います。

独立後のビルマ(=ミャンマー)と旧宗主国の英国の微妙な関係など、アウンサンスーチーさんのライフストーリー以外にも、読み取るべき情報が多々ある映画です。ヤンゴンにおける英国大使館がどういう意味をもっていたのか考えてみるのもいいでしょう。独立ビルマは、現在に至るまで英連邦には加盟していません。

国際的に孤立していたミャンマー軍事政権ですが、ネ・ウィン将軍が失脚後に権力を握ったタンシュエ将軍に対し、日本政府がソフトアプローチで外交的圧力をかけていたことも、映画のなかでは描かれています。

日本人としてはアウンサン将軍だけでなく、独裁者ネ・ウィン将軍が日本とは密接な関係をもっていたことは、ぜひアタマのなかに入れておきたいものです。戦時中に日本陸軍がビルマ独立の志士たちを訓練したことが、日本とネ・ウィン将軍との密接な関係にあったことは、幸か不幸かこの映画には描かれていませんが。

あれだけの長い期間の自宅軟禁と家族との別離、どうやって耐えられたかについての叙述が映画にはあまりありませんでしたが、書評 『銃とジャスミン-アウンサンスーチー、7000日の戦い-』(ティエリー・ファリーズ、山口隆子/竹林 卓訳、ランダムハウス講談社、2008) によれば、上座仏教のウィパッサナー瞑想法の修行によって心の平安をキープする訓練をしていたのだそうです。

禅仏教やチベット仏教については普及しているフランスですが、上座仏教についての理解はまだまだ低いのかもしれません。


終わりに

ミャンマーは果たしてほんとうに変わったのか、そう判断するのはまだまだ時期尚早だと思いますが、ミャンマーについて知るためにも、ぜひ見ておきたい映画です。

みなさんもぜひ、機会をつくって見ていただきたいと思います。

(有楽町のビックカメラ8階の角川シネマ)





<関連サイト>

映画 『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』 公式サイト

The Lady (2011) Trailer - HD Movie - Luc Besson Movie(トレーラー 英語版)

ビルマ(=ミャンマー)と英国の関係については、「原麻里子のグローバルビレッジ」で、映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のなかでわたしがしゃべってますので、ご参考まで。






<ブログ内関連記事>

書評 『銃とジャスミン-アウンサンスーチー、7000日の戦い-』(ティエリー・ファリーズ、山口隆子/竹林 卓訳、ランダムハウス講談社、2008)

三度目のミャンマー、三度目の正直 (5) われビルマにて大日本帝国に遭遇せり (インレー湖 ④)
・・アウンサン将軍と日本の関係について書いたおいた

『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』の出版前の2012年4月に受けたインタビューを再録します
・・ミャンマーについて語っている

日本語の本で知る英国の名門大学 "オックス・ブリッジ" (Ox-bridge)
・・アウンサンスーチーさんも卒業しているオックスフォード大学のPPEについて触れている

「ミャンマー再遊記」 全8回+α

「三度目のミャンマー、三度目の正直」 総目次 および ミャンマー関連の参考文献案内

お茶は飲むもの、食べるもの-ミャンマーのティーハウスと食べるお茶ラペットウ

ミャンマーではいまだに「馬車」が現役だ!-ミャンマーは農村部が面白い

書評 『抵抗と協力のはざま-近代ビルマ史のなかのイギリスと日本-(シリーズ 戦争の経験を問う)』(根本敬、岩波書店、2010)-大英帝国と大日本帝国のはざまで展開した「ビルマ独立」前後の歴史

(2014年5月17日 情報追加)



(2012年7月3日発売の拙著です)





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