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2011年11月23日水曜日

『図説 中村天風』(中村天風財団=編、海鳥社、2005)-天風もまた頭山満の人脈に連なる一人であった


 中村天風(なかむら・てんぷう:1876~1968)は、日本版のポジティブシンキング(=積極精神)の元祖のような人と言ってよいだろう。一般人もさることながら、現在でも政財界に根強い人気を保っている。

 その前半生は波瀾万丈そのものである。どこまで本当なのかはわからないが。

 若い頃は手の着けられない暴れん坊で、日露戦争にはみずから志願して軍事探偵(・・つまるところスパイ)として大陸に渡り、生きて帰ってきたものの健康も精神も疲弊し、しかも当時は不治の病であった結核にかかって、出口のない煩悶に陥る。

 手当たり次第に本を読み、人に会い意見を求めるが安心立命の境地にはいっこうにたどりつかない。ついに密航に近いかたちで米国に渡り、その後は欧州にわたって、思想家やセレブなどと交遊することになる。

 フランスからの帰国船で、たまたま寄港先のエジプトのカイロで知り合ったインド人から誘われてインドの山奥にいった中村天風は、自然のなかのヨーガ修行によって、ついに開眼することになる。このインド人は、カリアッパ師というヨーガ行者であったのだ。

 「私は力だ」という詩に、そのときの覚醒が記録されている。

私は力だ 力の結晶だ
何ものにも打ち克つ力の結晶だ
だから何ものにも負けないのだ
病にも運命にも・・・・
否あらゆるすべてのものに打ち克つ力だ
そうだ、強い強い力の結晶だ


 日本に帰国後は実業家として縦横に活動していたが、ある日このままでいいのかと思い来たって、スッパリとビジネス界から足を洗い、辻説法を始めたという。

 その後は「心身統一法」を実践する人生の教師として、多くの人たちに指導を行った。現在でも、熱烈なファンが多いのは冒頭に書いたとおりだ。

 中村天風が説いた、まずは「心から」というのは、日本ではほとんどすべての行(ぎょう)では実践してきたことである。山岳宗教である修験道でも、座禅でも、古神道の行法のいずれも同じである。

 中村天風の特色は、この東洋ではあたりまえの「心身一如」の教えを、みずからのヨーガ体験をベースに、誰にでも実践しやすいものにしたことにあるといったらいいだろう。

 中村天風の名前を知ったのはずいぶん昔のことだが、人生前半のエピソードがあまりにも波瀾万丈なので、長いあいだ眉唾ものではないかと疑っていた。

 たまたま文庫化されていた女流作家・宇野千代の『天風先生座談』(広済堂文庫、1987)を本屋の店頭で見かけて購入して読んだのは 1995年のことだが、それ以来、中村天風を素直に受け取れるようになった。

 なんせ、宇野千代と言えば、これまた日本を代表するポジティブシンカーの一人、『生きてゆくわたし』という著書もあり、晩年には「わたしは死なないような気がする」とか言っていたくらいだ。

 日本経営合理化協会からでている一万円もするような本はさすがに手は出さないが、同じ日本経営合理化協会から出ている『君に成功を贈る』(中村天風、2001)は、1,890円(税込み)と比較的廉価なので、購入して読んでみた。なるほど天風の言うとおりだと思ったものである。誰だって失敗者よりも成功者になりたいものだ。成功の定義は人によってまちまちだろうが。

 波瀾万丈の前半生だが、本書に豊富に収録された写真を見ると、さらに具体的なイメージをもつことができるようになる。なんといってもビジュアル資料は、文字資料とは比較にならない情報量とイメージ喚起力をもっているからだ。

 本書は、福岡の地方出版社から出版されたものだが、中村天風はじつは福岡出身のみならず、玄洋社の頭山満とも密接な関係をもっていた人なのだった。前半生の軍事探偵としてのキャリアや、アメリカ渡航には頭山満のチカラが働いていたことを知ると、中村天風という人物をさらに大きなパースペクティブでとらえることができるようになる。

 天風ファンはもちろん、天風についてよく知らない人には「天風入門書」にもなる一冊である。





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