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2011年8月3日水曜日

書評 『慈悲の怒り-震災後を生きる心のマネジメント-』(上田紀行、朝日新聞社出版、2011)


いまこそ日本人は過去と訣別し、未来に責任を負うために「慈悲の怒り」を持たねばならない

 文化人類学者で日本仏教の再生にも尽力している著者が、「3-11」後の「不安」のまっただなかにあって、適切なコトバを見つけることができずにモヤモヤした感情を鬱積(うっせき)させている日本人に送る小さな一冊。

 「天災と人災をはっきりと分ける」、「空気に自分をあわせない」、「生きる意味を見直す」、「慈悲からの怒りをもつ」という実際的なマインドセット(心構え)を日本人のひとりひとりがもつことによって、不安を不安としてそのまま受取り、「3-11」以後に続く「第三の敗戦」状態のなか、日本人は過去と訣別し、未来に責任を負うための言挙げをしていかなくてはならない

 もっとも重要なメッセージは、タイトルにもなった「慈悲の怒り」だ。人に向けた悪しき怒りではなく、行為に向けた「慈悲の怒り」。不動明王の憤怒(ふんぬ)の相

 日本人は感情を抑え込むのではなく、「慈悲の怒り」によってただしく怒り、失敗原因を明確にし、社会科学的に問題構造を断ち切ることが、未来に向けての責任を負うことになると説く。

 かつては「癒し」というコトバを日本に流行させるキッカケをつくった著者だが、ダライラマとの深い対話が実現したのちは、ダライラマが発言した「慈悲の怒り」という重要なコンセプトを手にすることになった。
 震災と原発被害で生き残ったわれわれは、「二重の人災」に対して言挙げし、未来を創造していかなくてはならない。慈悲を背景にもった怒りであれば、むしろもつべきなのだ!

 心のモヤモヤを晴らし、自分がなすべきことを自覚するために、目に見えない不安を抱えた人たちにこそ、ぜひ薦めたい一冊である。


<初出情報>

■bk1書評「いまこそ日本人は過去と訣別し、未来に責任を負うために「慈悲の怒り」を持たねばならない」投稿掲載(2011年7月23日)
■amazon書評「いまこそ日本人は過去と訣別し、未来に責任を負うために「慈悲の怒り」を持たねばならない」投稿掲載(2011年7月23日)




目 次

はじめに
1章 創造のきっかけを作る
2章 天災と人災をはっきり分ける
3章 「空気」に自分を沿わせない
4章 生きる意味を見直す
5章 慈悲からの怒りを持つ
あとがき


著者プロフィール

上田紀行(うえだ・のりゆき)

1958年東京都生まれ。東京大学大学院文化人類学専攻博士課程修了。東京工業大学大学院准教授(社会理工学研究科価値システム専攻)。1980年代のスリランカでの「悪魔祓い」のフィールドワークの後、「癒し」の観点をいち早く提示する。2005年には米スタンフォード大学仏教学研究所客員研究員として、「仏教は今日的問いにいかに答え得るか」(全20回)を講義する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<ブログ内関連記事>

書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)
・・著者の上田紀行氏が「慈悲の怒り」というコトバをダライラマからいただいたのが、インドのダラマウサラで行われた三日間の対談。ぜひこの記事もあわせて読んでいただけると幸いである

不動明王の「七誓願」(成田山新勝寺)-「自助努力と助け合いの精神」 がそこにある!
・・大乗仏教の不動明王について

書評 『必生(ひっせい) 闘う仏教』(佐々井秀嶺、集英社新書、2010)
・・インドでもっとも有名な日本人。社会問題と闘う仏教指導者。「怒り」を「行動」につなげていくこと

書評 『男一代菩薩道-インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺-』(小林三旅、アスペクト、2008)
・・インドでもっとも有名な日本人。社会問題と闘う仏教指導者。





(2012年7月3日発売の拙著です)








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