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2011年7月24日日曜日

「生誕130年 橋口五葉展」(千葉市美術館) にいってきた(2011年7月)




 「生誕130年 橋口五葉展」(千葉市美術館)にいってきました。

 美人画、日本画家、装幀家、日本のアール・ヌーヴォー画家としてカテゴライズされることの多い橋口五葉(はしぐち・ごよう 1881~1921)。その全貌を知るまたとない展示会です。

●会場:千葉市美術館
●会期:2011年6月14日~7月31日(日)

 橋口五葉(1881~1921)は、明治時代から大正時代にかけて活躍した日本画家で美人画をよくした人。文字面からみると、樋口一葉に似ていますが男性です。

 展覧会の案内文をそのまま引用させていただくこととしましょう。

 橋口五葉(1881-1921)は鹿児島市の生まれ。1899年に上京してはじめ橋本雅邦に日本画を学びますが、油絵修業のかたわら図案にも才を発揮、1905年にはかの『吾輩ハ猫デアル』(夏目漱石著)で装幀家としてデビュー、以後アール・ヌーヴォーを基調とした優美な装本の数々を世に送りました。
 1911年の三越呉服店による懸賞広告画募集では1等となって話題をさらい、同じ頃から錦絵の研究・復刻にも取り組んでいます。そして1915年の渡邊版《浴場の女》を経て《化粧の女》や《髪梳ける女》に代表される珠玉の私家版木版を残し、41歳の若さで没しました。

 本展は、監修に美術史家の岩切信一郎氏を迎え、油彩、水彩、素描、版画、絵葉書、装幀本、ポスターなど約400点から改めて橋口五葉の全貌を探ろうとするものです。
 展示作品には、1912年の无声会展に出品され、モノクロ写真でのみその存在を知られていた幻の《黄薔薇》をはじめとする新出資料が数多く含まれ、五葉の制作の軌跡をかつてなく照らしてくれることでしょう。五葉が独自の美意識をもって創造した多様なデザインや女性像、その馥郁たる線と色を、どうぞご堪能ください。
 日本画から画業をはじめて油絵も学び、日本的題材をモチーフの中心に据えながら、特性におうじて洋画や日本画を描き分け、書籍の装幀や商業ポスターの分野で活躍したグラフィック・デザイナーであり、短い生涯の晩年には浮世絵に本格的に取り組んだ、きわめて多彩な才能を発揮した画家であったといっっていいでしょう。

 一般大衆的な知名度はそれほど高くないかもしれませんが、その作品を見れば、どこかで一度は見たことがあるという記憶があるはずの画家でしょう。いわゆる大正ロマンの美人画として一度は出会っているはずです。

 日本の影響を大きくうけて花開いたアール・ヌーヴォーが日本に導入されて、浮世絵や日本的モチーフと融合して、また日本的アール・ヌーヴォーとして発達する。こういう東洋から西洋へ、西洋からふたたび東洋へという影響関係の流れが面白いですね。

 またガブリエル・ロセッティに代表される英国のラファエル前派の影響も受けている橋口五葉。ある意味では、わたしの好みが凝縮されたような画家であるといっても言い過ぎではないのです。





 美術展の構成は以下のようになっています。図録の目次に対応しています。橋口五葉の生涯の画業をたどるにはわかりやすい構成といえるでしょう。

Ⅰ章 鹿児島から東京へ
 1. 素描・水彩・パステル-イメージの集積
 2. 油彩画-白馬会の頃
Ⅱ章 物語の時代
 1. 日本画
 2. 浪漫主義
Ⅲ章 吾輩ハ五葉デアル
 1. 『ホトトギス』の周辺
 2. 装幀本とその画稿
 3. 雑誌やポスターの仕事
Ⅳ章 耶馬溪(やばけい)を描く-新たな主題の発見
 1. 耶馬溪・別府の風景
 2. 温泉場の女たち
 3. ポスター《此美人》と天声会の活動
Ⅴ章 素描-裸婦たち
Ⅵ章 新たなる浮世絵を求めて
 1. 《浴場の女》まで
 2. 浮世絵研究
 3. 私家版木版の精華
 4. 没後の動き


 東京美術学校(・・現在の東京芸大)では優秀な成績をのこし、明治の浪漫主義の藤島武次や青木繁といった著名人とも並び賞される?・・の橋口五葉。初期の作品には、東京美術学校の創設者であった岡倉天心を想起させる?・・・・

 夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』の装幀と挿絵を手がけており、初版本だけでなく、装幀案も多く展示されておりたいへん興味深いものがあります。「ホトトギス」の俳人や夏目漱石一門との交友が、互いに大きな影響を与えながら伴走していたことを知ることができます。


 日本で最初のブック・デザイナーという評価を受けています。装幀家としての作品は、大きな見どころといってよいでしょう。

 谷崎潤一郎や永井荷風の新聞小説の挿絵は文庫本にも収録されているものも多いので、小説世界と挿絵の関係があいまってひとつの作品世界ができあがっていることを感じ取ることができますが、夏目漱石の場合は橋口五葉の挿絵入りの文庫版がないのが残念なことです(・・上掲の写真の右端は挿絵の一つ)。

 絵はがきの図案も大量にてがけており、ちょっとレトロ調な絵柄はぜひ絵はがきとして復刻してほしいなとも思います。

 三越のポスターは一等をとっただけに、さまざまな場所で目にする作品です。このほか、岩波書店のポスターや、日本郵船関連のデザインなど、商業デザインにも拡がっています。

 
 岩波書店というと、ミレーの種蒔く人を図案化したマークでしられていますが、もともとは「水甕(みずがめ)に岩波という手書き文字の入ったマーク」が使用されていたそうです。

水甕のデザインは橋口五葉のものです。現在でも岩波文庫の裏表紙と本文見開き1ページ目に印刷されていますので、お手元に岩波文庫があったら眺めてみてください。

 個人蔵であるため、この100年のあいだ公開されることのなかったという「黄薔薇」(きばら)がじつにすばらしい(・・冒頭のポスターに使用された作品)。三越のポスターと同系列の大正美人画の代表的作品といっていいでしょう。

 この美術展は巡回展で、千葉市美術館(2011年6月14日~7月31日)のつぎは、北九州市立美術館分館(2011年8月13日~9月25日)、そのつぎは鹿児島私立美術館(2011年10月4日~11月6日)で開催されます。

 関東近辺に在住の方で、見逃した方はぜひこの期会に千葉市まで足を運ぶことをおすすめしたい、通好みの内容が充実した美術展といってよいでしょう。 

 
すくなくとも図録(2,400円)だけでも入手しておきたいものです。橋口五葉という画家の全貌を知ることのできる貴重な資料集にもなっています。





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