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2011年3月21日月曜日

たとえささやかでも 「被災者」になるという経験をすると、 「マズローの法則」 が真に実感できるようになる


 ささやかな体験だが、異国で「被災者」になったことがある。

 いまから20年近く前のことだが、米国留学中、ドミトリーの隣の部屋から火が出て、焼け出されたという経験だ。

 それは「感謝祭」休日(Thanksgiving Days)の前日、休日のあいだは学校が休みになって授業もないので、ベッドに腰掛けて本を読んでいたら、とつぜん換気口からもうもうと黒煙がでてきたのだ。

 「なんだいったい?」と思っているうちに、非常ベルがけたたましく鳴り始め、「逃げろ!」という構内アナウンスがあった(・・ように思うが記憶が定かではない)。

 着の身着のままで外にでて、ドミトリーのほかの部屋の人たちと雑談していたら、そうこうするうちに、サイレンを鳴らしながら消防車がやってきて消火活動を始めた。なんせ、米国では消防車がくるのが早い。いたづらや間違いでボタンを押してしまっても、あっという間に消防車が来てしまうくらいだ。

 なんとドミトリーの隣室から出火していたのだ!

 ときは11月23日、Thanksgiving Day は、日本では敗戦後に占領軍によって「勤労感謝の日」ということで無理矢理に休日として仕立てられたが、それはさておき、なんといっても米国東部の11月の終わりは寒い。着の身着のままで部屋を出たので、薄着のままだったからたまらない。ふるえるくらい寒いが、部屋に戻れないので、クルマに入ってエンジンかけて寒さをしのいでいた。

 しかし、自分の部屋も "Danger"(危険につき立ち入り禁止) の赤いテープを貼られ入室禁止、数日にわたって部屋を追い出されるはめになってしまった。"隣のバカ女" のせいでとんだ「感謝祭プレゼント」をいただくことになったわけなのだ。

 ちなみに、「感謝祭」には、米国の家庭では家族みんなが集まってターキー(七面鳥)を家族で食べる習慣があるのは、ノーマン・ロックウェルの絵画でみたことがあると思う。いまでもそうなのかどうかは知らないが「古き良きアメリカ」ではそうであったようだ。

 許可もらって自分の部屋に入り、身の回りのものをもって、ニューヨーク・シティまで出ることにする。寝るところがない、することがないからだ。というわけで、窮状を訴えたうえで日本人の友人や後輩の家などを転々とすることにしたが、数日間といっても居候は居づらいものである。最初は同情されても、じきにそれとなくよろこばしくなことを示唆されるようになる。「居候、三杯目はそっと出し??」、である。

 だから、被災者の方々の気持ちも、ある程度まではわかる。なんせ、まずは雨露をしのいで寝るところ、そして食事、そして・・・。とにかく、仮設住宅でいいから早く入りたい、という気持ちは非常にわかるのだ。


「マズローの法則」あるいは「欲求五段階説」

 ところで、「マズローの法則」というものがある。心理学者アブラハム・マズローが提唱した法則で、別名で「欲求五段階説」ともいう。

 マズローは、人間の基本的欲求を、低次から高次に、階層的に五段階で示した。

1. 生理的欲求(physiological need):食欲・睡眠・性欲
2. 安全の欲求(safety need):住居・衣服・貯金
3. 所属と愛の欲求(social need /love and belonging):友情・協同・人間関係
4. 承認の欲求(esteem):他人からの尊敬・評価される・昇進
5. 自己実現の欲求(self actualization):潜在的能力を最大限発揮して思うがままに動かす

 被災者がまず求めるのは「生理的欲求」そして「安全の欲求」であることは、言うまでもなく理解できることだろう。

 しかし、それだけではなく、「つながり」や「きずな」を確認するのも、大きな癒しになる。つまり「所属と愛の欲求」も関係してくる。

 私自身の経験に戻るが、部屋を焼け出されたことに対して、大学事務局の女性職員たちのやさしさには、心を癒された。

 部屋に入れないからパソコンが使えないので課題提出ができないと訴えたら、男性職員は原則論を主張するのみで、頑として受け付けなかった。まったく思いやりに欠けるヤツだったのに対し、女性達はまったく異なる態度を示してくれた。結局、こちらの主張は受け入れられなかったが、いろいろやさしいコトバをかけてもらったのだった。

 もちろん個人差はあるが、女性は原則論は理解していても、状況を察して「やさしさ」や「精神的ケア」を示してくれるということを体験した。このときの体験は、いまにいたるまで強く記憶のなかに残っている。

 「マズローの法則」では、より高次の欲求は、「衣食足りて礼節を知る」(論語)ではないが、人間として最低限のレベルが満たされて、はじめてでてくるものである。

 日本では「自己実現」というコトバが非常に流行ったが、このレベルまでこれる人は実はそう多くはない。このことはぜひ知っておきたい。安易に「自己実現」というコトバを私が使いたくないのは、そのためである。


誰もが「被災者」になる可能性があるということを忘れずに!

 ところで、出張先のロンドンでも、場所は忘れたが出張先の名古屋でも、火事騒ぎで真夜中にホテルの部屋からだされた経験を思い出した。いずれも火災報知器が鳴っただけで実際の火事ではなかったが、真夜中にたたき出されるのは、実にイヤな思いである。

 実際に火事でたたき出された経験があるから、なおさらそう感じるのであろう。

 程度の差はあるが、「被災者」になるということは自発的になるものではないからこそ、「被災者」には物心両面でいたわりが必要なのである。どんなに強い者であっても、「被災者」になった瞬間に「弱者」になってしまうからなのだ。

 私も、あなたも、「被災者」にならないという保証は、まったくないのです。イマジネーションを働かせてほしいのです。

 あらためて、「マズローの法則」の意味を、「自己実現」だけではなく、「被災者」の立場によりそって、ピラミッドの底辺から理解してほしい、と思う。


(注:「欲求五段階説」のピラミッド図は wikipedia に掲載されているパブリックドメイン

  




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