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2010年12月7日火曜日

マンガ 『闇金 ウシジマくん ① 』(真鍋昌平、小学館、2004)-圧倒的な迫力。リアリティあるストーリーに迫力のある絵柄。読み出したら、眠気が一気に覚める




 圧倒的な迫力。リアリティあるストーリーに迫力のある絵柄。読み出したら、眠気が一気に覚める。

 1990年代の『ナニワ金融道』(青木雄二、講談社、1990~1997)は「マチ金」の世界だったが、2000年代後半の『ウシジマくん』真鍋昌平、小学館、2004~)は「ヤミ金」の世界。

 「マチ金」(街金)とは、サラ金と同じく消費者金融のこと。街中に多いから「街金」と呼ばれている。貸金業登録をしており、合法的な存在である。

 これに対して、「ヤミ金」(闇金)とは、国や都道府に貸金業としての登録をしていない業者、あるいは業者登録していても、法定限度以上の高利を取っている業者のことで、ともに違法である。

 2010年6月から施行さえた「改正貸金業法」の総量規制で貸出が年収の1/3に制限されただけでなく、審査基準が厳しくなったことにより、消費者金融では借りることのできない人たちが、高利で違法なことも知りながら手を出すという実態がある。

 とくに、貸金業法で所得ゼロとみなされることになった専業主婦は、以前のように消費者金融では借りられなくなったために、ヤミ金に手を出さざる得ないという実態が、テレビでもときどき社会問題の特集番組で放送されている。本来は法規制によて弱者救済を図るはずの立法が、逆に問題を生み出しているという「意図せざる行為」の結果が表面化してきているわけだ。

 このマンガは 2004年に「ビッグ・コミック・スピリッツ」に連載開始されたものだが、いきなりパチンコ依存症の主婦たちが登場する。その他、自らに原因のある理由で身を滅ぼしゆく人たちが、ヤミ金の扉を開け、着実に確実に身を滅ぼして行くさまが、これでもか、これでもかと描かれる。

 「ウチは10日で5割」と、アウトローの匂いをプンプンさせたウシジマ社長(23歳)が語る。「10日で5割」と書いて「トゴ」と読ませている。5割とは金利のことである。「10日で1割」の「トイチ」ですらはなはだ高利なのに「トゴ」とは尋常ではない。アンビリーバボーな暴利そのものである。

 なんだか、『ナニ金』の世界が牧歌的にすら思えてくるではないか。

 結局のところ、経済学的にいえば「需要あれば供給あり」ということなのだが、一方では高利回りでカネを運用したい資金の出し手の存在もある。低金利のカネ余り状況のなか、「供給が需要を作り出す」という側面も無視できない。

 人間の欲望が自らを滅ぼす、ということ。
 「身の丈を越えた消費」が自らを滅ぼすということ。
 ヤミ金会社のウシジマ社長のセリフは、その意味においてはスジが通っている。

 しかし、カネのために精神を病み、クスリに手を出し、健康が蝕まれていく人たちのいる社会・・・。とても健全なものだとはいえない。

 amazon のレビューにもあるが、第1巻はリアリティありすぎで恐ろしいくらいだ。現在のところ、私は第2巻以降を読む予定はとくにないが、たしかに第1巻だけでも読んでおいたほうがいいと思う。
 今年(2010年)10月からテレビドラマ化されて放送されているようだが、こういうものはマンガのほうが迫力がある。ドラマのほうは見ていないのでわからないが。

 現代日本の底辺にはこういう世界が存在する、2000年代の日本はすでにこういう世界があるのだ、ということを知っておいた方が良い。「自己責任」と言ってしまえばそれで終わってしまうのだが、所得「再分配」の経済政策も考え直さなくてはならないのではないかと言う気もしないではない。欲望の肥大化した人間だけが、ヤミ金の利用者ではないようだからだ。

 この20年間はいったい何だったのか、そういう暗澹(あんたん)とした気持ちになるのは、私だけではないだろう。海の世界ではないが、陸上でも「板子一枚下は地獄」である。

 それにしても、「ヤミ金」というコトバの響きには、なんともいえない気分にさせられる・・・





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(2014年8月30日 情報追加)


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