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2010年6月19日土曜日

書評 『オランダ風説書-「鎖国」日本に語られた「世界」-』(松方冬子、中公新書、2010)-本書の隠れたテーマは17世紀から19世紀までの「東南アジア」




 情報と貿易を軸にした関係であった江戸時代の日蘭関係。

 日本とオランダという、現在でも実利優先のプラクティカルな傾向の強い二国民の関係を「オランダ風説書」の解読成果をもとに、時系列で通観した本書は実に面白い。

 本書の特徴は、海外商品と海外情報を必要とした日本側(=江戸幕府)だけでなく、商品の販売先としての日本市場を独占するために情報を徹底的に活用したオランダ側(=オランダ東印度会社、のちにオランダ東インド政庁)の状況を十二分に押さえたうえの、実に読みやすく、実に興味深い内容の日蘭関係史となっている。

 戦国時代を生き抜いて成立した江戸幕府は、現在の東南アジア海域を舞台にした欧州勢力の動きをつねにモニターしていた。

 武力ではとうてい欧州勢力に対抗し得ないことを熟知していたために実行した「鎖国」なわけだが、「戦わずして勝つ」ために海外情報を必要としていたのである。

 この点はもっと知られてよいことだ。しかも、様々なソースからの海外情報を付き合わせて、クロスチェックも行っていたようだ。

 江戸時代の日本は、朝鮮との「対馬口」、琉球との「薩摩口」、アイヌとの「松前口」、それにオランダ、シャム、清との窓口であった「長崎口」の「四つの口」による「管理貿易」体制が実態であった。だから「鎖国」とあくまでもカッコ書きとなる。そのなかでも、長崎だけは江戸幕府が直接管理していたのは、九州の諸大名のチカラを恐れていたからであり、西洋との窓口を一本化するためであった。

 当時のオランダは、世界最古の株式会社といわれる「東インド会社」の拠点をバタフィア(・・現在のインドネシアの首都ジャカルタ)に構えていた。17世紀はオランダの黄金期であり、欧州における貿易と情報流通の中心地であったが、最盛期は意外と短く、覇権は英国に奪われる。

 アジアが天下泰平を楽しんでいた間には欧州は激動期に入り、19世紀初頭には欧州の激動によりついにオランダは一時的に欧州の地図から消える。

 欧州によるアジアの植民地化が本格的に進行するなか、ついに米国主導により日本は「開国」、以後グローバル政治経済の波に再び飲み込まれた日本にとって、オランダ情報の価値は激減し、ついに「オランダ風説書」は廃止される。そして日本は明治維新を迎えることになる。

 日本とオランダの関係だけでなく、本書の隠れた主題である17世紀から19世紀までの「東南アジア」について関心をもつ人にも、ぜひ一読をすすめたい。


(国立歴史民俗博物館の常設展示より江戸時代の日蘭関係)


<初出情報>

■bk1書評「日本とオランダの関係だけでなく、本書の隠れた主題である17世紀から19世紀までの「東南アジア」について関心をもつ人にも、ぜひ一読をすすめたい」投稿掲載(2010年6月7日)
■amazon書評「本書の隠れた主題である17世紀から19世紀までの「東南アジア」について関心をもつ人にも、ぜひ一読をすすめたい」投稿掲載(2010年6月7日)





<書評への付記>

 いよいよ本日、FIFAワールドカップサッカー「日本 vs. オランダ戦」。欧州のスポーツ大国オランダは、もちろんサッカーでも強豪。

 日本とオランダの関係は、江戸時代の良好(?)な関係だけではない。大東亜戦争において、日本が蘭領インドネシアを軍事占領し、日本の敗戦後も「インドネシア独立」に日本人が多数関与したことが、長く尾を引いていたことは記憶しておくべき。

 また、南アフリカの白人には、オランダ系のブール人(ボーア人)が多い。

 とはいえサッカーはサッカー、ピッチでは実力がモロにでる。結果は・・・


P.S.
オランダ戦での敗戦。私の予想は3-1でオランダの勝利だったが、1-0で終わった。どうも、オランダは本気出さずに、体力消耗を避けていたように思われた。日本も攻めの姿勢は最後まであったのだが・・・posted at 22:54:04(twitter)


<関連サイト>

日蘭交流の歴史 (オランダ大使館・オランダ総領事館) (日本語)
・・400年に及ぶ二国間関係の歴史が詳細に記されている

江戸時代の日蘭交流 (国立国会図書館 電子展示館 2009年)
・・「第1部 歴史をたどる」「第2部 トピックで見る」 国会図書館の豊富な蔵書をもとにした電子展示館

(2016年2月24日 項目新設)


<ブログ内関連情報>

幕末の佐倉藩は「西の長崎、東の佐倉」といわれた蘭学の中心地であった-城下町佐倉を歩き回る ③

書評 『ニシンが築いた国オランダ-海の技術史を読む-』(田口一夫、成山堂書店、2002)-風土と技術の観点から「海洋国家オランダ」成立のメカニズムを探求

「フェルメールからのラブレター展」にいってみた(東京・渋谷 Bunkamuraミュージアム)-17世紀オランダは世界経済の一つの中心となり文字を書くのが流行だった
・・フェルメールとスピノザをつなぐものは光学レンズであった

政治学者カール・シュミットが書いた 『陸と海と』 は日本の運命を考える上でも必読書だ!
・・オランダのプロテスタント漁民による捕鯨業進出の話が触れられている

書評 『チューリップ・バブル-人間を狂わせた花の物語』(マイク・ダッシュ、明石三世訳、文春文庫、2000)-バブルは過ぎ去った過去の物語ではない!
・・17世紀オランダの「バブル経済」

書評 『植物工場ビジネス-低コスト型なら個人でもできる-』(池田英男、日本経済新聞出版社、2010)
・・・オランダの先進植物工場モデル。

書評 『中国市場で成功する人材マネジメント-広汽ホンダとカネボウ化粧品中国に学ぶ -』(町田秀樹、ダイヤモンド社、2010)
・・・グローバルビジネスの原型である「オランダ東インド会社」についての記述あり

書評 『「海洋国家」日本の戦後史』(宮城大蔵、ちくま新書、2008)-「海洋国家」日本の復活をインドネシア中心に描いた戦後日本現代史

書評 『帰還せず-残留日本兵 60年目の証言-』(青沼陽一郎、新潮文庫、2009)
・・・オランダからの「インドネシア独立」に関与した日本人たち

『大本営参謀の情報戦記-情報なき国家の悲劇-』(堀 栄三、文藝春秋社、1989 文春文庫版 1996)で原爆投下「情報」について確認してみる

(2014年1月18日 情報大幅追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)








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