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2010年4月3日土曜日

船橋漁港の「水神祭」に行ってきた(2010年4月3日)




(船橋漁港の水神祭 筆者撮影)

 東京ベイエリアというと、すぐに「東京湾岸署」が思い浮かぶかもしれないが、それはテレビドラマの見過ぎである。

 東京湾は実に広い海岸線をもつ。西は神奈川県の三浦半島の先端から、東は千葉県の内房(うちぼう)の最南端である州崎まで拡がる内湾である。東京湾は海上交通の要衝であり、しかも世界有数の漁場でもある。

 東京湾でも東京に近い千葉県船橋市は、実は有数の漁港をもつ漁師町であることは、このブログでも何度も取り上げて書いている(・・ブログ内関連記事は文末にまとめてある)。

(船橋大神宮にある「漁師町講中」石碑 筆者撮影)

 「江戸前の魚」にかんしては、船橋は江戸時代から特別扱いで、徳川家康が江戸入りして以来、「御菜浦」で採れる魚は、幕府に献上されてきた。現在でも三番瀬という、東京湾内では数少ない干潟が残っており、天然の漁場として有数である。東京湾岸の船橋は現役の漁港なのである。


(船橋漁港遠景 筆者撮影)

 なかでもスズキにかんしては、船橋漁港が日本一(!)の水揚げを誇るという。刺身で食べると最高に旨いスズキ(Japanese Seabass)は、つまるところ日本では東京湾が一番の漁場なわけなのだ。

 ほかにもヒラメやカレイ、サバ、イワシ、それにアサリやノリなど、さまざまな魚介類が捕れる好漁場なのだ。


 本日は船橋漁港の「水神祭」、私ははじめて見に行ったが、毎年4月3日に行われる水神祭は、今年はちょうど晴れて天気のいい土曜日にぶつかったためか、かなりの人だった。とはいっても、とくに告知していないので、知る人ぞ知るといった類(たぐい)のイベントである。いや、大漁祈願の神事である、これがこの水神祭の本質である。

 10時から始まるこの水神祭に、私は10分くらい遅れて到着したが、来賓あいさつの途中だった。船橋港に注ぎ込む海老川沿いの桜並木を満喫しながら、漁港まで約50分の距離を歩いて下っていったので遅れてしまったのだが・・・

(船橋漁港の水神祭であいさつする野田議員 筆者撮影)

 こんな重要なイベントに船橋市長が所用のため欠席、というのはいかがなものかと思うが、民主党の国会議員・野田佳彦(よしひこ)が来賓として来ていたのは、彼が千葉4区選出の地元出身の議員だからであろう。私の出身高校である、千葉県立船橋高校の先輩でもある。

 野田議員のあいさつは、簡潔だが内容の深いものであった。日本は国土は狭くても、領海面積では世界第6位、そして海の深さを考慮に入れたた体積からみれば、日本はなんと世界第4位という話から、海の重要性、漁業の重要性について語った内容であった。はじめてナマで演説(?)を聞いたが、実に話がうまい。こういう話はぜひ国会の場でしてほしいと思ったのは私だけではない、と思いたい。

 現在は大臣でなく財務副大臣であるから、本日も出席できたのだろうが、次回の内閣改造の折には、ぜひ国土交通大臣か防衛大臣として奮闘してもらいたいものである。野田よしひこの政策ビジョンを読んでみたら、かなり私の考えに近いことを知った。昨年8月末の総選挙の際は私は東京にいたので、よく知らなかったのは残念だ。

(船橋漁港の水神祭の神事 筆者撮影)

「水神祭」の神事そのものは、船橋大神宮の神職が執行する。

 船橋大神宮は、ヤマトタケルとの関係が深いので大鳥神社も併設しており、年の暮れには「酉の市」も開かれる。陸上の商売繁盛祈願とともに、海の大漁祈願も行うこの神社は、御利益も大きいハズと、私は勝手に思い込んでおく。

 神事は、漁船のうえにしつらえた依り代(よりしろ)に宮司が神下ろしを行い、四方を清めてから、漁業関係者による玉串奉奠(ほうでん)が行われる。

 戦後の高度成長時代に東京湾の埋め立てがはじまる以前は、船橋大神宮はもっと海の近くにあったときいている。それだけ、海や水と親和性の強い神社なのである。

 伊勢神宮系統のこの神社は、漁民からの信仰がきわめて篤かったというが、伊勢と関東の関係は実はかなり深いことにも注目する必要がある。太平洋岸の「東国水運の結節点」としての伊勢と江戸の関係が思った以上に深いことは、『家康はなぜ江戸を選んだか』(岡野友彦、教育出版、1999)という本に説明されている。


 そのあとはお神楽の奉納、今回はみこ舞猿田舞恵比寿舞山神(さんじん)舞の4つである。これは昨年秋の例大祭でみたものと内容はまったく同じだが、狭い漁船のうえで神楽を演じるのは初めてみた。

(船橋漁港のお神楽で演じられる「恵比寿舞」 筆者撮影)

 恵比寿(えびす)様は漁業関係の大漁祈願では当然の演し物で、コミカルな演技とガニ股歩きはビートたけし(=北野武)の原型のようなもの、北野監督の映画作品を礼賛するヨーロッパ人にみせてやりたいと思う。釣り竿をもって鯛を腹のうえにかかえた恵比寿様はめでたさの代名詞みたいな神さまで七福神の一人だが、なぜ神楽に登場するのか。

(船橋漁港のお神楽で演じられる「山神舞」 筆者撮影)

 山神舞というのは二人で舞うダイナミックなものだが、狭い漁船のうえで演じるのはさぞかし大変だろう。しかも動けば船も揺れるだろうし。しかし、なぜ水神祭に山神がでてくるのか、しかもコメで作ったモチをまくのか、よくわからない。

 最後は見物客がお待ちかねのモチまき。結局今回は丸モチは一個しかゲットできなかったが、まあこんなとこで運を使い果たしてもしょうがない、あまり欲張らないことだ、と自分を納得させる。

 私も新規開業して荒海に船出したら、すぐにとはいかないが、船長としては必ずや豊漁(!) と願いたいものだ。


(投げられた丸餅をゲット!)

 それにしてもあらてめて思うのは、日本がコメづくりの農業民の国であったことばかりが強調されているが、人口比としては小さいが、実は漁民の国でもあったという事実である。

 日本の製造業の基本は、コメづくりの集団労働にあったという例の言説であるが、日本史家の網野善彦の発言を思い出しながら、資本主義と海の関係に思いをはせたのであった。とくに証券の世界では、「寄り付き」とか「大引け」などの漁業関連用語がそのまま転用されており、現在でもそのまま使われているのは実に興味深い。


 いままでの人生のなかで、大学時代の4年間を除けば、内陸部や山間部に住んだことがない私は(・・沿岸部か、あるいは内陸であっても大型河川流域のみ)、どうしても目が海の向こう、つまり日本の外を向いてしまう。DNA 自体が私をして、そうさせるのかもしれない。

 幕末の警世家・林子平ではないが、日本は海をつうじて世界中とつながっている、とあらためていっておきたい。それはどんな沿岸の地方都市だろうが、ひなびた漁村であろうが変わりない。どんなに細い河川の流域でも同じである。いかなる河川であれ、最終的には海に流れ込むからだ。そして全世界とは海をつうじてつながっている。


 もうそろそろ日本人も目を醒ましたほうがいいのではないか。
 海の向こうから何かがやってくるのを待つけでなく、海の向こうへ積極的に獲りにいくことを忘れてはならない。

 たしかに「板子一枚下は地獄」だが、人生にリスクはつきものだ。

 「下り坂の衰退過程にある」日本で、内向きにじっとしながら知らず知らずに茹で上がっていくよりも、日本の外に打って出たほうがはるかにリスクが小さいのではないだろうか

 水神祭が終わったあと、大漁旗を翻しながら沖に向けて出港していった漁船をみながら、そう思うのであった。

(船橋漁港にひるがえる大漁旗 筆者撮影)



PS 読みやすくするために改行を増やした。文章にはいっさい手は加えていない。また、写真を大判に差し替え、あらたにキャプションを加えた(2015年3月20日 記す)。




<関連サイト>

[2010-04-03]船橋漁港の水神祭(2) (YouTube)
・・ちょうどわたしが訪問した際の水神祭がビデオで撮影されている

水神祭@船橋漁港 (facebookへの投稿写真集)

(2015年3月20日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

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